《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第13話 差し向けられた盜賊団の持つ激レア魔法をコピーする

「いたぞ、ゴブリンの群れだ! 全員戦闘態勢にれ!」

「「「了解!!」」」

タイムロットさんの指揮で、村の冒険者さん達がモンスターに突撃していく。

今日は、森で一緒にモンスターの狩りをしている。

定期的にモンスターの數を減らさないと、村をまたモンスターが襲いに來る。壁があるとはいえ、モンスターを放っておいてドンドン増えるとどんな脅威になるかわからない。それに、モンスターの素材は高く売れるものもあるのだ。

「よし、ゴブリンの群れ討伐完了! ……って、なんだあれは!」

木々の奧から、大斧を攜えたミノタウロスがゆっくりと歩み出てきた。

「全員逃げるぞ! あんな危険モンスター相手に戦ったら全員死ぬぞ!」

逃げる村の冒険者さん達を、ミノタウロスが猛烈な速度で追いかけてくる。

能力強化魔法、”フォースブースト”発!」

僕は強化した腕力で橫なぎの一閃を繰り出す。ミノタウロスを水平に両斷し、一撃で仕留める。

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「これでよし、と。怪我人はいませんか?」

「あ、俺が慌てて逃げたときに足を巖にぶつけて怪我をしました」

「任せてください。回復魔法”ローヒール”!」

回復魔法によって、傷口が見る見る間にふさがっていく。

「ありがとうございます領主様。本當に、領主様にはお世話になりっぱなしで……」

「気にしないでください。これからも、ミノタウロスのような危険なモンスターは僕が相手をします」

「ありがとうございます。……すみません、僕らがふがいなくて……」

怪我をした冒険者さんだけでなく、みんなどこか表が暗い。

「領主様はやはり神の使い。これからは教會ではなく、領主様のお屋敷の前で祈るようにしますね」

「やめてください……」

シスターのリリーさんが、僕に対して祈りをささげてくる。やめなさい。

”ドオンッ……!!”

そのとき、遠くから音が聞こえる。村の方で、煙が上がっているのが見えた。

「マズイ、敵襲だ! 急いで村に帰るぞ!」

僕たちは、全力で走って戻る。

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――村に戻ると、正門が敵に突破されたところだった。

村を襲っているのは、盜賊団。數十名ほどの規模で、全員が黒い鎧をまとっている

「鎧の肩にっているサソリの紋章。ということは、あれは黒蠍盜賊団! 數々の村を略奪し、焼き払ってきた最悪の盜賊団の1つ……!」

「おお、詳しいじゃないか、坊ちゃん。いかにも我らは悪名高き黒蠍盜賊団。そして俺が、頭のドノボーグだ」

そういって大柄な男が歩み出てくる。片目には眼帯をしていた。

「俺たちは村から全ての資や金を奪った後、住人ごと焼き払うのが好きでな。この村は小さいが、畑もかで防壁は王都の城のように立派だ……くくく、こいつは燃やす時が楽しみだぜ。さぁ野郎ども、やっちまえ!」

「させるかよ! 領主様ばっかりに戦わせてらんねぇ! 行くぞお前ら、この村を守るんだ!」

「おう!!!」

盜賊団と村の冒険者さん達が激突。だが……!

「なんだこの盜賊団、めちゃくちゃ強い……?」

盜賊団達の腕力に、村の冒険者さん達が押されていく。剣で打ち合うどころか、攻撃を防ぐだけで一杯だ。

「へっへっへ。俺たちは、お頭のギフトで強化されているのさ」

剣で村の冒険者さんを圧倒しながら、1人の盜賊が余裕たっぷりに手の甲を見せつける。そこには、鎧と同じ蠍の紋章が刻まれていた。

「いかにも。俺のギフトは”刻印魔法”。この魔法で魔法を刻まれた者は、一生俺の命令に逆らえなくなる代わりに全能力が數倍に強化されるのさ」

盜賊団リーダーのドノボーグが、余裕たっぷりに笑う。

「俺の部下には全員この紋章を刻んでいる。俺たちなら、王國騎士団の1個師団とだって戦って勝てるぜ。さぁ野郎ども、歯向かう雑魚どもを全員ぶちのめせ!」

「うおおおぉ!」

盜賊団はますます勢いづいて、村の冒険者を押している。僕も”フォースブースト”で能力を強化して応戦する。

「ぐはぁ! なんだこのガキ、1人だけめちゃくちゃつええ! どうしましょうお頭!」

「放っておけ! 數ではこっちが勝ってるんだ。他の村人を全員殺してから袋叩きにしてやれ!」

確かに僕は盜賊団より強い。だが、僕が戦っている間にも他の冒険者さん達は盜賊団に押されて、今にも死者が出そうな有様だ。

”ファイアーボール”を使えば盜賊団を全滅させられるが、村の冒険者さん達も巻き込んでしまう。一どうすれば……っ!

「クソ、力が、俺にもっと力があれば……! モンスター相手でも盜賊団相手でも、俺は領主様の足を引っ張ることしかできねぇ……!」

盜賊団と打ち合いながら、タイムロットさんが悔しそうな聲をこぼすのが聞こえた。

そのとき、僕の頭の中にまた聲が響く。

『永続バフ魔法”刻印魔法”をコピーしました。

源魔法】

〇使用可能な魔法一覧

・火屬魔法”ファイアーボール”

・狀態異常回復魔法”ローキュアー”

能力強化魔法”フォースブースト”

・回復魔法”ローヒール”

・土屬魔法”ソイルウォール”

・植魔法”グローアップ”

・永続バフ魔法”刻印魔法”(ギフト) [New!!]

「え!? 僕の【源魔法】はギフトの魔法もコピーできるのか!?」

これは自分でも驚いた。

これまで、人の才能(ギフト)を見てもコピーすることはできなった。だが、魔法形式のギフトであればコピーすることができるようだ。

これは大きな発見だ。ただでさえ強力な【源魔法】がまた一段と強力になった。

「領主サマ、奴らの”刻印魔法”もコピーしたんですかい!? それなら、俺に使ってくだせぇ!」

「何を言っているんですかタイムロットさん! この魔法で刻印を刻むと、もう一生僕の命令に逆らえないデメリットが……!」

「構いやせん! 俺を含め村人全員、もとより一生領主様に盡くすつもりです! そんなデメリット、あっても無くても何も変わりやせん! そうだろう、野郎ども!?」

「そうだ、俺たちは一生領主様についていくって決めてるんだ!」

「領主様に死んで來いと命令されれば俺は死ぬぜ! この村の住人ならそれくらい當然だぜ!」

「それに領主様が俺たちを苦しめるような命令をするわけないしな!」

皆さん……!

「わかりました。”刻印魔法”、発!」

僕の前で藍が弾け、村の冒険者さん達に飛んでいく。そして全員の手の甲に、刻印が刻まれる。

「これは……!」

刻まれたのは、剣に龍が絡みつくデザインの紋章。ロードベルグ伯爵家の家紋だ。

「うおおおお!! 力がみなぎるぜ!」

「なんだこれは!? が軽い! これまでの自分のと別みてぇだ!」

「パワーもスピードもさっきまでと桁違いだ!」

村の冒険者さん達全員が、強化される。しかし、強化の度合いがおかしい。

「とりゃあ!」

一人の冒険者さんが剣を振るうと、盜賊団の剣を真っ二つに斬り落として、勢いあまって足元にあった巖を両斷する。

別の1人が槍を突き出すと、突風が巻き起こり數人の盜賊をまとめて吹き飛ばす。

また別の1人がファイアーボールを放つと、発が起きて冒険者さんも盜賊もまとめて10人以上を吹き飛ばす。

「いってぇな! 味方を巻き込むんじゃねぇ!」

「わりぃわりぃ! まさかこんなに威力が上がると思ってなくてさ!」

巻き込まれた盜賊は倒れて起き上がれないが、村の冒険者さん達はピンピンしている。

「これが領主様の刻印魔法による強化……! 強化の度合いが半端じゃねぇぜ!」

見る限り、村の冒険者さん達のパラメータは全て10倍以上に強化されている。盜賊団の強化は、せいぜい元のパラメータの數倍。

戦力の差は歴然だった。村の冒険者さん達が、盜賊団を蹴散らしていく。國で最悪の盜賊団が、まるで子供扱いだ。

……こうしてあっという間に、盜賊団を倒すことができた。

「いやー、今回は僕が出る幕はなかったですね」

「「「いやいや! 勝てたのは領主様が”刻印魔法”で俺たちを強化してくれたおかげです!」」」

総突っ込みを喰らった。

「領主サマ。強化していただいてありがとうございます。これからは、俺たちももっと頑張りますんで、もっと領主サマは休んでくだせぇ。俺たちも、もっと領主サマの役に立ちてぇんです」

「……わかりました。では、次にミノタウロスが出た時も、皆さんにお任せしましょうかね。僕もずっと働き通しで正直し疲れてきましたし」

「うおおおお! やったぜお前ら! 領主サマにほんのちょっとでも頼って貰えたぞ! 今夜は飲むぞ!!」

「「「宴だ! 宴だ!!」」」

そんなに喜ぶことではないと思うのだけれど……。

なにはともあれ、村を無事に守ることができ、冒険者さん達は桁外れに強くなった。

こうしてまた一つ、村を発展させることができたのだった。

――――――――

一方、ロードベルグ伯爵家にて。

「馬鹿な、あの黒蠍盜賊団が全員捕まって王都に引き渡され、しかも多額の賞金がメルキスの村に払われただと……!?」

知らせを聞いて、メルキスの父ザッハークは驚愕していた。

「王國の一個師団に匹敵するあの黒蠍盜賊団が敗れるとは、一メルキスの村はどうなっているのだ……!? いやそれより。黒蠍盜賊団を差し向けたことが明るみに出れば、俺が危ない……! 下手をすれば盜賊団の協力者とみなされて、伯爵の稱號を剝奪されて逮捕されるではないか!」

ザッハークはを噛み締める。

「ええい、仕方ない! こうなればもう誰も頼りにならん! 俺が出る! そして全ての証拠を消し去ってくれる!」

こうしてついに、ザッハークはメルキスの村へと単で乗り込むことを決意した。

「いくら黒蠍盜賊団が強いと言っても、所詮盜賊団。【剣聖】のギフトを持つ俺1人の方が強い。俺がメルキスの村を壊滅させて、力づくでメルキスも連れ戻してやる!」

こうして意気揚々ザッハークはメルキスの村に乗り込むのだが……。

これがきっかけで、ザッハークはとんでもない目に遭うのだった。

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