《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第16話 【実家SIDE】メルキスの父、魔族と斷の契約をわす

「あああああああーー!!! 悔しい! 悔しい! 悔しい! 悔しい! 悔しい! 悔しい!」

メルキスの父ザッハークは、ロードベルグ伯爵家に帰るや否や、大聲でび腰に提げていた剣を床に叩きつける。

「何なのだあの村人どもは! なんであんなに強いのだ! 一メルキスはあの村で何をしたというのだ! ああああああ腹が立つ腹が立つ腹が立つ腹が立つ!」

玄関に飾られていた高価な絵畫や品を、片っ端からザッハークはたたき壊す。価格にして、合計1000萬ゴールド近い損失だ。

「メルキスめ! 絶対に許さんぞ! 村人もろとも叩き潰してやる!」

「ええ、何としてもメルキスを叩き潰しましょう!」

は分からないが、聲を聞きつけてやってきたメルキスの弟カストルも同調する。

怒りにかられたザッハークの頭の中では、メルキスを連れ戻すことからメルキスを村人ごと叩き潰すことに目的が変わっていた。

「しかし、直に乗り込んで手も足も出なかったのだ。もはや俺にできることなどない……!」

「話は聞かせてもらいましたよ、ザッハーク伯爵」

突如、聞き覚えのない聲が響く。

ザッハークとカストルが振り向くと、いつの間にか屋敷の中に見知らぬ男が立っていた。

頭部から生える、捻じ曲がった角。淺黒い。そして何より、纏っている邪悪な雰囲気。ザッハークはすぐにその正に気が付く。

「貴様は、魔族……!? 魔族は300年前に人類を滅ぼそうとして大戦を起こし、人類に敗れて絶滅したはず。なぜここにいるのだ……!?」

「フフフ、確かに我々は先の大戦で多くの同胞を失い、致命的なダメージをけました。しかし、生き殘りはいたのです。そして今も、人類を打ち倒し、この地上の覇権を握る計畫を著々と進めています。しかし、その計畫のためにはメルキスが治めるあの村が邪魔なのです。まだ詳しい理由は明かせませんが。……どうです? 我々と手を組みませんか?」

そう言って、魔族の男はザッハークに手を差し出す。

「俺と手を組むだと? 本気で言っているのか?」

「もちろんです。我々の目的は一致している。それに、300年前と違って魔族も人類を完全に滅ぼすつもりはないのです。人類の90%は殺しますが、殘りの10%は魔族に仕える労働力として生かします。協力して頂けるなら、貴方には人類の統括者を任せましょう。つまり、人類の王です」

「俺が、人類の王……!?」

ザッハークが唾をのむ。

「人類統括の仕事さえキッチリしてもらえば、貴方が何をしていようと自由です。たとえ現王宮に住もうが、を百人侍らせようが、ご自由に」

「しかし、魔族と手を組んだ事が発覚すれば俺は投獄、どころか死刑までも有りうる……」

「そうですよ父上、魔族なんて危険な連中と手を組むなんてやめましょう! 危なすぎます!」

カストルもザッハークを止めようとする。

だが、

「俺は何としてもメルキスを叩き潰す! そのためには、手段を選ばん」

ザッハークは魔族の手を握る。

「では早速、メルキスの村に刺客を送り込む準備をしましょう。……そうですね、ドラゴンを送り込むのがいいでしょう。それも、上位種の」

「上位種のドラゴン! なるほどそれならば、あの異常に強い村人もろともメルキスを叩き潰せる! ……しかし、そんなことが可能なのか?」

「ええ。メルキスの村の近くにあるシバ山。そこに住むというドラゴンの口に、これを投げ込んで來てください。それでドラゴンの意識をり、メルキスの村へ向かわせることが可能です」

そう言って魔族の男は、濁った黒い球を懐から取り出してザッハークに手渡す。

「この球をドラゴンの口に放り込めばいいんだな! よし見ていろ、すぐに終わらせてやる! カストル、お前もこい!」

「は、はい父上!」

ザッハークとカストルは意気揚々と屋敷を出発する。その背中を見送った魔族の男は、ニヤリと口元を歪めた。

「ククク、思った通り扱いやすくて助かるよ」

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