《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第36話 忠誠心の厚過ぎる極東のシノビに24時間護衛される

新しい村の住人として、早速カエデを村人に紹介する。

「我が特技は暗殺と諜報活。この力、必ずや村の、そしてこの村の役に立てて覧にれましょう」

「おう、よろしくなお嬢ちゃん。……しかし、暗殺とか諜報とかそんな騒な技、この平和な村で役に立つのか?」

と、あごひげをでながら疑問視するのはタイムロットさん。

「大丈夫です。そこについては考えがあります。とりあえず、今日のモンスター狩りにカエデを同行させてみてください」

――半日後。

「領主サマ! このお嬢ちゃんの技、めちゃくちゃ役に立ちますぜ!!」

モンスターの素材を臺車いっぱいに乗せて、タイムロットさん率いる村の冒険者達が帰ってきた。

「すげぇ速さでスパパー! って樹の間を飛び回って、モンスター群れのいるところをすぐ見つけて知らせてくれて助かったぜ。戦闘でも、モンスターのボスを暗殺して連攜を潰してくれたおかげで楽に倒せたしな」

「この程度、お安い用です」

カエデが得意げに言う。

「流石領主サマを暗殺しようとしただけあって、良い腕してるぜ。ガッハッハ!」

「その……主殿を暗殺しようとしたことは忘れていただきたく……!」

どうやらカエデも無事に村人に馴染めそうだ。

カエデのおかげでモンスターの狩りの効率も大きく上がって、モンスターの素材が多く手にり、村もより安全になった。

そして集めた素材はキャト族の皆さんに売りに行ってもらい、村の大きな収源になっている。

――そして、さらにその翌日の朝。

「さて、今日も日課のランニングに……」

「おはようございます。主殿。良い朝ですね」

玄関を開けると、ひざまずいた姿勢でカエデが待っていた。

そこで僕はふと、大事なことを忘れていたことに気付く。

「カエデ、昨日はどこに泊まっていたの?」

キャト族の皆さんが村に住むことになったときは新しく家を建てたが、今回は建てるのを忘れていた。何という失態だ。

「當然、主殿の寢室の屋裏です」

「へ?」

「主に使えるシノビとして當然、主がお休み中の間は見守っておりました」

「……屋裏から気配がして『野良貓かな?』とか思っていたけど、まさかカエデだったとは……!」

「おお、流石主殿。完全に気配を消していたつもりだったのですが、気付いておられましたか」

そこで、僕には別の疑問が湧いてくる。

「だったら、カエデはいつ寢てるの? 晝はタイムロットさん達とモンスターの狩りに行ってくれているし」

「その點はご心配なく。訓練したシノビは、1日5分寢れば十分なのです」

シノビすごいな。

その時、勢いよくマリエルが玄関のドアを開けて飛び出してきた。

「ちょっと、昨日の夜ずっと屋裏にいたって本當なの!?」

「はい」

「じゃあ、もしかしてアレも見て……!」

「アレとはどれの事ですか? 主殿に害をなすことではないので見逃しましたが、マリエル殿が寢ている主殿の手と人繋ぎしてにへらと笑っていたことですか? それとも、主殿の板にほおずりしていたことですか? それか、主殿の耳元で何事か囁いた後、頬にキ――」

「わああああぁ!」

顔を真っ赤にしたマリエルが手をバタバタ振り回して続きを遮る。マリエル、一僕に何をしたんだ?

「どうかしましたかマリエル殿? 他にも寢ている主殿の……」

「口封じー!」

マリエルがタイミングよく通りすがったメイドさんの手からフライパンをひったくって、カエデの頭に振り下ろす。

「おっと」

カエデが悠々とフライパンを回避する。

カエデは恐らく、僕を除けば村の中で1番スピードが高い。なんと、あのキャト族よりも速いのだ。特に戦闘訓練をしたことがないマリエルでは、攻撃が當てられるはずがない。

「こ、國家機洩ー! ここで敗してくれる!」

フライパンをぶんぶん振り回しながらマリエルがカエデを追いかけていく。カエデはそれをひらりひらりと回避していく。

「――捕まえた!」

フライパンがカエデの頭に直撃する。

が、いつの間にかカエデはカエデの上著だけ被った丸太にれ替わっていた。本のカエデはマリエルの後ろに立っている。

「忍法、空蟬の。敵の攻撃を代わりにけさせる技です」

シノビすごいな。

わざわざ忍法を使わなくても楽にかわせたはずなのに、忍法を使ったあたり、カエデもきっと遊んでいるのだろう。マリエルも本気で殺しにかかっているわけでも無いはずだ。

ほほえましい(?)景を見屆けたあと、僕は日課のランニングに向かうのだった。

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