《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第38話 極東料理再現プロジェクト、始

「――というわけで、私の部下になったシノビの一族を連れて參りました。主殿の手足として、ご自由にお使いください」

カエデが出掛けていった次の日、大量にシノビを連れて帰ってきていた。

「この者たちは、私ほどではないですが隠や諜報に優れる者たちです。暗殺が得意な者もいますよ」

「うーん、あんまりそういう騒なことを頼むことはないかなぁ。モンスターの索敵はカエデ1人で事足りてるしなぁ……」

「それから、この者たちは料理もうまいですよ?」

「そうなのか?」

カエデが連れてきたシノビたちが揃って頷く。

「左様。我らはに隠れる暗殺一族。しかしそれゆえに、暗殺の仕事もなかなか來ないのです」

“あなたの気にらない人、暗殺します!”なんて広告を出すわけにもいかないからな。

「そこで、副業として料理の腕を磨き、我らが生まれ育った極東の大陸の伝統料理を振る舞う料理人としても働いているのです」

「なるほど、異國文化を味わわせてくれるのか!」

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聞いたことがある。貴族の中でも一部の上流階級では、極東から流れ著いた料理人を雇うのが流行っていると。

「私も食べたことあるよ、極東料理! この國の料理とは違う、あっさりした風味のメニューが多いよね。たまに無に食べたくなるんだ!」

極東料理についてはマリエルも知っているらしい。

「そしてシノビの里では料理に凝るのが流行っておりまして。……というか実は最近料理の道が楽しく、暗殺の仕事をしている場合ではなくて」

1人のシノビさんがし恥ずかしそうにそう言った。

「本末転倒じゃないか。いいことだけど」

「先代里長には無理やり暗殺の仕事をさせられていましたが、正直したくなかったというのが本音でございます。人なんて殺しても楽しくないですからねぇ……」

話に聞いていたシノビは、冷酷無比で、人間らしいを持たず、ただ淡々と任務をこなすという存在だった。しかし実際に會うと、思っていたよりとても人間らしい。

「早速、我らが祖國、極東料理を振る舞いましょう。と、言いたいところなのですが……」

「どうしました?」

「実は、極東の國の料理を振る舞うための食材が足りませぬ。極東大陸の野菜や穀のほとんどが、この大陸の土地では育たず……」

シノビの皆さんは、とても悔しそうだ。

「上流貴族や王族相手にふるまっていた極東料理も、実はこの大陸の材料で何とか味を近づけただけの、ニセ極東料理でございます。とても本の極東料理には及ばず……」

「え、そうだったの!?」

マリエスはショックをけている。

「ああ、極東大陸にいたときの食事がしい……!」

「米と味噌と焼き魚の朝食が食べたい」

「パンしか主食がないのは辛すぎる」

「あの先代里長さえいなければ、とっくに極東大陸へ帰っていたのに」

シノビの皆さんが次々と極東料理への思いを口にする。シノビの皆さんはとても忍耐強いと聞いていたが、慣れ親しんだ味が食べられないことについては耐えられないようだ。

「そうだ、主人殿の魔法で極東大陸の食材を育てられませぬか?」

そう提案したのはカエデ。

「できるよ。種さえあればだけど」

「「「本當ですか!?」」」

シノビの皆さんが一斉に顔を上げる。

1人のシノビさんが、木箱を差し出す。

「ここに、食材を含めた、極東大陸の植の種がっております。極東大陸を旅立つ際、新天地で故郷の街並みや食事の味を再現するべく持ち出したものですが、この大陸ではどれも育たなかったため実現せず……。主殿、我らが命の次に大事にしているこの種を託します」

こうして、村で極東大陸の料理と街並みを再現するプロジェクトがスタートしたのだった。

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