《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第45話 剣聖をも超える剣士を圧倒する
いよいよ僕は、闘技場に降り立つ。
『本戦一回戦の選手をご紹介しましょう! 昨年のジュニアクラスチャンピオン、メルキス選手! 昨年は14歳とは思えない見事の剣技と格闘でライバルを圧倒した強者です! 如何なるギフトを手にしたのかは不明ですが、ギフト無しでも強いことは証明されております!』
司會が紹介すると、観客が沸き立つ。
「一回戦、こりゃ勝つのはメルキスだろ。基礎能力が段違いだからな」
「でも、ロードベルグ家の跡取りは弟のカストルになるって……」
「ハズレギフトだから実家追放されたんじゃないのか?」
観客が々と推測を口にする。僕がハズレギフト持ちだから追放されたわけではないことを、今に証明してみせる。
『対するは、昨年のジュニアクラス準優勝者、ジャッホ選手! 昨年はジュニアクラス決勝にてメルキス選手に惜しくも敗れましたが、お互い15歳となり、“ギフト”を手にして実力関係がどう変わったか、注目です!』
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ジャッホ君が闘技場に場してくる。年は僕と同じ15歳。金髪碧眼の形だ。
家は貴族の中で最も位が高い“王侯“で、同じ貴族でも“伯爵”であるロードベルグ家とは文字通り格が違う。
「久しぶりだね、メルキス君。ボクはずっとこの日を楽しみにしていたよ」
ジャッホ君は腰の剣を抜く。
「王侯に生まれ、剣の才能もあり、家柄にも容姿にも恵まれていた。これまでどんな勝負でも、同世代には一度も負けたことがなかった。去年。君と戦うまでは」
ジャッホ君の目には怪しいが宿っていた。
「これまで研鑽してきた剣技がまるで通用しない絶。打ちのめされた屈辱。あの時のは、忘れられないよ」
僕も剣を抜く。今のジャッホ君からは、得の知れない圧力をじる。
『それでは、メルキス選手VSジャッホ選手、試合開始!』
「君がどんなギフトを授かったか知らないが、ボクの斬撃を防げる者など存在しない! ギフト【アクセラレーション】発! このギフトは、ボクだけ時間の流れを5倍に加速する!」
ジャッホ君のきが急激に早くなる。
「覚悟したまえ、メルキス君!」
確かに速い。初太刀をけるのは、【剣聖】のギフトを持っていても難しかったかもしれない。
だが、【源魔法】の力で能が高まった能力向上魔法【フォースブースト】を使っている僕は、普段の數十倍にパワーもスピードも上がっている。
“キィン!”
僕の剣がジャッホ君の斬撃を弾く。
続く連撃も、すべてけ、払い、け流す。
「そこだ!」
攻撃をけ流されたジャッホ君の姿勢が崩れ、隙が生まれる。
それを僕は見逃さない。掌底をに叩き込み、更に姿勢を崩して——
“むにゅん”
「え?」
おかしい、今らかながしたぞ。
そう言えば、聞いたことがある。貴族では男児に恵まれない場合、娘を男として育てるケースがあると
もしかして、ジャッホ君は……
「お察しの通り、だよ」
「ええと、ごめん」
「気にすることはないさ。それより、やはりメルキス君、君は素晴らしいよ!」
「……え?」
「限界まで鍛え上げた僕の剣に、最強のギフト【アクセラレーション】を合わせたボクに敵はないと思っていた。しかしそんなぼくの自信を、木っ端微塵にぶち壊してくれる。しかもまだ君は全力を出していないんだろう?」
確かに、僕はまだ全力を出していない。
魔法融合や切り札のサファイアブルーフレアを使えば、ジャッホ君を跡形もなく消しとばしてしまう。使うわけにはいかない。
「この手も足も出ない絶、堪らないよ!」
今気づいたのだが、ジャッホ君……なんか喜んでないか?
「限界まで修行して、全力を盡くしてそれでも手も足も出ないこの無力! 絶! 敗北! 堪らないよメルキス君! 君に敗れてからずっと、ボクはもう一度このを味わうために修行に打ち込んできたんだ! 文句のつけようのない、完璧な敗北を味わうために!」
ジャッホ君、いやジャッホちゃんは大分変わった癖を持っているようだ……。
というか、もしかして僕が発現させてしまったのか? ウソだろ……?
「さぁ、もっとボクを打ちのめしてくれ! 完なきまでに、手も足も出ないくらいに!」
ジャッホちゃんの目は、悅びに満ちている。うう、戦いづらい……。
鋭いジャッホちゃんの斬撃を弾く。ジャッホちゃんの持っていた剣が宙を舞う。
僕は剣の切っ先をジャッホちゃんに突きつけた。
「……決著だ」
「ああ、やはり君は素晴らしいよ。ここまで完璧な敗北を與えてくれるなんて」
ジャッホ君は、恍惚とした笑みを浮かべていた。
『ここで試合終了ー! 勝者、メルキス選手!』
客席から歓聲が上がる。
「來年もまた、君と戦える日を楽しみにしているよ」
そう言って、ジャッホちゃんは満足そうに出口へと向かって行った。
正直なところ、僕はもうジャッホちゃんとあまり戦いたく無い……。
「主殿、お疲れ様でした。何というかその……本當にお疲れ様でした」
席に戻ると、カエデが僕を労ってくれる。
「ありがとう。力は全然使っていないはずなんだけど、なぜかどっと疲れたよ……」
そうしている間に、次の試合が始まる。
『続いての試合は、ナスターシャ選手VSカストル選手です!』
司會の聲が響くと、両者が會場りする。
お互い、迷いがない様子だ。
「先程の試合で圧倒的な強さを見せつけたメルキス選手の弟、カストル選手! 対するは、予選で異次元の強さを見せつけた無名の新星ナスターシャ選手!」
両者が場すると、歓聲が巻き起こる。
2人は迷いなく會場中央へと進んでいく。これは熱い戦いが期待できそうだ。
『ナスターシャ選手VSカストル選手、試合開始——』
「「——棄権します!!」」
聲を高らかに、両者が同時に宣言した。
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