《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第54話【実家SIDE】 なりふり構わず逃げようとした結果何故か大変なことになる

――時はし遡り、數分前。

メルキスが魔法融合を使い、闘技場に大を空け魔王パラナッシュを殘りの命1つまで追い込んだ時のこと。

メルキスの父ザッハークと、一緒に悪巧みをしている魔族の男。2人は、観客席の隅に隠れながら戦いの様子を伺っていた。

「どういうことだ貴様! 我が息子カストルを魔王復活の核に使い、しかもそれでもメルキスに手も足も出ぬとは!」

「私も驚いているところです。カストル様を生贄に魔王パラナッシュ陛下を復活させたのは、あの魔族達の獨斷です。これについては素直に謝罪しましょう。我が同胞がご迷をお掛けしました」

いつになくしおらしい態度で、魔族の男が頭を下げる。

「そして、魔王パラナッシュ陛下がメルキスに敗れるというのも完全な計算違いです。核が不十分な上に復活直後で本來の力のほんの一部しか発揮できていないとはいえ、まさか人間に遅れを取るとは。誠に殘念です」

魔族の男が悔しそうに拳を握る。

「しかし、今はそれどころではありません。魔王パラナッシュ陛下が敗れれば、メルキスはまだ他に魔族がいないか探し始めるでしょう。そうなれば、私は終わりです。それに、仲間に今回の事件の詳細を伝えなければ」

魔族の男が指笛を鳴らす。すると、風を巻き起こし青のワイバーンがやってくる。

「私はこれで退散します」

「待て、俺も連れてゆけ!」

メルキスの父ザッハークは、魔族の男に詰め寄る。

「今回の企みが失敗したせいで、俺も間違いなく魔族との関與を疑われる。いや、メルキスはもう気づいているだろう。このままでは俺もメルキスに殺される! 俺はあんな規格外の流星を落とされて死にたくない! 頼む、俺も魔族の仲間のところへ連れて行ってくれ!」

「そうしたいことろですが……あいにくこのワイバーンは1人乗りでして……」

「ワイバーンの腳に檻が付いているではないか! ここにならあと1人くらい乗れるのではないか!?」

「それは、“混に乗じて王族何人かを拐して、王國を混させる”というサブプランのために用意した、捕虜を運ぶための檻です。乗り心地は悪いですよ?」

「構わん! 捕虜のような扱いでいいから、俺を乗せて行ってくれ!」

「わかりました、では早く乗り込んでください」

謝する!」

ザッハークは、檻に自らる。そして、檻を持ち上げてワイバーンが飛翔する。背中には、魔族の男が乗っていて指示を出している。

「我が魔族の拠點に著くまで4、5時間の辛抱ですよ伯爵」

「そうか。メルキスからは無事に逃げ切ったことだし。しばかり乗り心地が悪いが、のんびりとこの空の旅を楽しませてもらうと――」

その時、ザッハークは言葉を失った。

メルキスが、レインボードラゴンに乗って猛然と追いかけてくるのだから。

「父上ーーーーーー!! いま(助けに)行きます!!!!」

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