《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第69話 モンスターに襲われているドワーフを助ける③

――時はしさかのぼる。

僕は、ナスターシャの背に乗ってドワーフの村へと向かっていた。

村のみんなには地上から、手分けして複數方面からドワーフの村へと向かってもらっている。

魔族に襲われているドワーフは、きっと散り散りになって逃げるだろう。どんなルートでドワーフが逃げるかわからないので、なるべく手広く探索するためだ。

ドワーフの村の上空にたどり著くと、遠目に破壊された村の様子が見えた。

「ナスターシャ、僕はここで降りる。ナスターシャは安全な場所で待機していてくれ!」

そう言って僕は飛び降りる。

地上の様子がより鮮明に見えてきた。

魔族が、モンスターを使ってドワーフをいたぶっている。いつでもとどめを刺せるのに敢えてそうせず、必死で抗う様子を楽しんでいるのだ。

「許せない…! 氷屬魔法、”アイスニードル”14連発

僕は氷の杭を発し、ドワーフを捕まえているドレッドコブラを仕留める。

そして、広場の中央に著地した。

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「ドワーフさん。もう大丈夫です。離れていてください」

ここにいては、今から魔族に対して使う魔法に巻き込んでしまうかもしれない。

「おい、誰だお前? 俺の手下を全滅させてくれやがってよぉ」

ドワーフさん達をいたぶっていた魔族が問うてくる。

「メルキス・ロードベルグ。ある村の領主を務めている者だ。何故ドワーフ達を、ここまでいたぶった? 山奧の小さな村でひっそりと生きている彼らを、何故殺す必要があった?」

僕はボロボロになった村を見渡す。燃えている。あちこちにドワーフさん達のが橫たわっている。

「馬鹿かよ。雑魚をいたぶるのに理由なんてあるわけねーだろ。この土地には用があったが、住人には用はなかった。けどまぁ、退屈だし雑魚がこんな田舎でうじゃうじゃしてるのが気持ち悪かったから、ついでに楽しみながら掃除しとこうかなって思ったわけよ」

「そんな理由で……」

僕は剣を強く握りしめる。

「退屈なヒマつぶしなはずだったけどよ、お前が來てくれたんならラッキーだぜ。魔王パラナッシュ陛下を倒したお前の首を持って帰れば、我が派閥の魔族での立場は上がること間違いなしだからな!」

『我が派閥』とこの魔族は言った。どうやら、魔族も一枚巖ではなく、幾つかの派閥があるらしい。

魔族は上半の服をぎ捨てる。すると、筋が膨れ上がっていく。見る見るうちに筋は異形に変形していき、甲蟲のような裝甲に変質した。

「上位魔族は、を変質させることができる! この狀態のオレ様のの高度は魔族トップクラス! 防力だけなら、お前が倒した不完全な復活だった魔王パラナッシュ陛下をも上回る!」

魔族が勝ち誇ったように笑う。

「戦う前に1つ聞く。お前たちが魔王パラナッシュを復活させたとき、王國騎士団副団長ザッハークをさらったはずだ。今どこにいる?」

「あ? 知らねーな。パラナッシュ陛下を復活させたのは、うちじゃない。別の派閥だ」

「そうか。ならいい」

「ひゃっははは! お前を殺して、任務に失敗した連中に首を見せびらかしてやる!」

魔族が正面から突っ込んでくる。

「氷屬魔法、”アイスニードル”発

僕が放った氷の杭は、魔族の甲殻に傷一つ付けられず弾かれる。なるほど、魔王パラナッシュ以上の防力というのは噓ではないらしい。

あの裝甲を突破するのはかなり苦労するだろう。

――以前の僕であったなら。

だが、大賢者エンピナ様が來てから村の魔法のレベルは格段に上がった。

それは、僕も例外ではない。

村の仲間が覚えた新しい魔法をコピーし、僕も更に強くなっている。

僕は、剣の構えを解き――渾の力で剣を空へと投げる。

「は? なにしてんだ、お前? 自分から武を捨てるなんて、馬鹿なの?」

「僕は重力魔法”グラビティフィールド”と鋼鉄魔法”ジャイアントブレード”を融合」

2つの魔法陣が宙で融け合っていく。

「複合魔法”力場と聖剣の裁き”発

魔法により、空の剣が巨大化。刃が広く、長く、そして厚くなっていく。

「なっ……!?」

僕が空に投げた剣は、全長20メートルを超える大剣に長した。鋭い刃がを反して煌めく。剣が切っ先を下にして、魔族めがけて落下していく。

「うっそだろ!? 規格外にも程があるだろうが!」

魔族のさっきまでの威勢は消し飛び、背を向けようとする。だが――

「なんだ!? 急にが重く……!?」

魔族が地面に膝をつく。

「駄目だ、一歩もけねぇ! これはまさか重力!? ということは……!」

そう、空の大剣は、重力によって更に落下の破壊力を増す。今の剣の質量はおよそ10トン。それが、30倍の重力によって加速して落下する。その破壊力は――

「メルキス、まさかこれほどとは……! 俺なんかが相手するべきじゃなかった! クソ、チクショオオオオオォ!!」

大剣の切っ先が魔族の裝甲に著弾。堅牢な裝甲を貫いて、地面を抉る。

”ズドオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ……!!!”

大地が激しく揺れ、土が空高く舞い上がる。

はるか遠くの森から、鳥が飛び立つのが見えた。衝撃は數キロ先まで伝わっているだろう。

――――――――――

――――――

――――

――

ようやく土煙がおさまったとき、剣は元まで深々と大地に突き刺さっていた。剣に掛かっていた魔法の効果が消えて元の大きさに戻るので、回収する。

広場の真ん中には、深い深いが開いていた。念のため魔法で底を照らして見るが、くものは何もない。魔族が跡形もなく消し飛んだことを確認出來て、一安心だ。

「人間さん、凄すぎデス……!」

魔族にいたぶられていた、村長らしきドワーフさんが腰を抜かしたまま呟く。

「領主サマ、今日も隨分派手にやりやしたねぇ!」

音を聞きつけて合流してきたのは、タイムロットさんだ。他にも逃げていたドワーフさん達を保護した村の仲間たちが、続々と村の広場に集合してくる。

僕は村長らしきドワーフさんに話しかける。

「もう大丈夫です。森に逃げたドワーフさん達も、僕の仲間が助けてくれています」

「人間さん、ありがとうデス。でも……」

ドワーフの村長さんの顔は暗いままだ。多くの仲間が亡くなっているし村も破壊されつくしているのだ。無理もないだろう。

「みなさん、ドワーフさん達のを広場に集めてください」

村の仲間と生き殘ったドワーフさん達が、を粛々と運ぶ。

「人間さん、どうかみんなをあの深いに埋葬するのを手伝って――」

「超上位死者蘇生魔法”ヘヴン・ゲート”発

空が割れて、天から橙が亡くなったドワーフにさん達へと降り注ぐ。

「「「……?」」」

死んでいた數十人のドワーフさん達が起き上がる。

「みんな、生き返った……? 噓デス……」

「噓ではありませんよ。神アルカディアス様の使いであるメルキス様に掛かれば、一度に數十人を蘇生する程度造作もありません。さぁ、共にメルキス様を崇めましょう」

「リリーさん、崇めないでくれ」

源魔法】を託し人類を救ってくれと神アルカディアス様から頼まれている以上、神の使いというのはまぁ間違いではない。が、崇められるのは違う。

――こうして、ドワーフの村の住人全てを助けることができた

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