《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―03― 実験

家を追い出された俺は途方に暮れていた。

持っているのは3ヶ月は暮らせるだけのお金と最低限必要なものがったカバンだ。

カバンの中には服がってるだけで魔導書はっていなかった。

追い出すならせめて魔導書も一緒に追い出してくれ。

まぁ、魔導書はまた買えばいいかと思いつつ、ひとまず優先すべきは宿の確保だろう。

もう夜も遅いので今日寢るためにも必要だ。

できる限り安い宿だとなおよしといったところ。

「悪くない部屋を見つけたな」

と言いつつ俺はベッドに腰掛けた。

狹いが小綺麗な部屋だ。

「さてと――」

そう言いつつ、俺はいつものくせで魔導書を探してしまう。

そうだ魔導書は持ってくることができなかったのだ。

まぁ、家にある魔導書はほぼ頭にっているので今更読む必要もないんだが。

仕方ないので俺はベッドで大人しく寢ることにした。

目を覚ますと、もうお晝を過ぎていた。

いかん、つい寢過ぎてしまった。

俺は慌てて著替えると、外へ出た。

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とはいえ、仕事を探すために外に出たわけではない。

の研究をしようと思った次第だ。

俺は今、ある研究に取り掛かっていた。

それは〈火の弾(ファイア・ボール)〉を魔を使わないで再現できるかどうかというものだ。

〈賢者の石〉の生功させるには、四大元素の理解が必須だ。

あらゆる質は火、風、水、土の4つの元素で構されている。

それは〈賢者の石〉も例外ではない。

〈火の弾(ファイア・ボール)〉を魔を使わないで再現できれば、四大元素の一つ、火の元素に対する理解が深まると俺は考えたのだ。

そのためには火に対する理解がより必要だと考えて、そのための道を揃えるために店を回っていた。

「よし、準備できたな」

用意したのはマッチ棒とろうそく、ガラス瓶だ。

俺はこれらを用いてある実験をしようとしていた。

魔導書には、火の元素とはこのような説明がされている。

火の元素とは、非常に軽い質であり、上へと向かっていく質がある、と。

そしてあらゆる質には火の元素が含まれており、それが外へ出て行こうとするとき火として発現する。

つまり、わかりやすく書くとこういうことだ。

木炭 → 灰+火の元素

これが火の仕組みである。

このように我々が通常、火を見る際には火はなにかを燃焼させている。

対して、火の弾(ファイア・ボール)は純粋な火の元素そのものだ。

俺が実験にて葉えようとしているのは、火の弾(ファイア・ボール)のように純粋な火の元素を魔を用いないで生み出そうというわけだ。

そんなわけで俺は引きこもり生活をしながら、火の研究をしていた。

的な手法としては、んな質を燃やしては観察していたのだ。

そんな中、ある異変に気がついた。

金屬を燃やした場合に限って、燃えた後の金屬のほうが重たくなるってことに。

まとめると、

金屬 → 火の元素 + 金屬灰

こういうことだ。

金屬灰というのは、金屬が燃えた後に殘る黒焦げたのことだ。

魔導書によれば、火の元素というのは元々金屬に含まれており、燃える際に外に出ていくとされている。

ならば、火の元素が外に出ていった分、殘った金屬灰は軽くならなくてはならない。

現に、石炭なんかは燃やしたら灰となって軽くなる。

「火の質が負の質量を持っているということか?」

もしそうなら金屬灰が重たくなっているのも説明できる。

が、なぜ金屬灰に限って重たくなるのか説明ができないし、それに負の質量というのはいまいち納得できない。

と、まぁ疑問は盡きないわけだが、今日は別のアプローチから火を実験を行うつもりでいた。

火の実験を繰り返す中で、燃焼後に金屬が重くなるってこと以外にも俺は気がついたことがあった。

箱に閉じこめられた火はすぐ消える。

なぜ、こんな事象が起きるのか俺は悩んだ。

そして、ある仮説を立てた。

火には空気が必要不可欠なんじゃないかと。

しかし、どう必要なのかまではわからない。

そこでこんな実験を思いついた。

活躍するのは特殊な形をしたガラス瓶だ。

俺は追放される前にガラス細工を作ってくれるお店で、ある注文をしていた。

それを今日け取った。

俺は學校も行かなければ仕事もしない引きこもりではあったが、必要とあれば外には出る活発的な引きこもりではあった。

ガラス瓶はろうそくがる程度の細い形をしている。

そこに俺は4分の1いかない程度の水とろうそくをれる。

そしてろうそくに火をつけた上で蓋をする。

ちなみにガラス瓶にっていない狀態のろうそくも用意し、火をつけた。

そして思通り、ガラス瓶の中で閉されたろうそくはすぐに火が消えた。

まだ閉されてない方のろうそくは火が爛々と輝いている。

やはり閉じ込められた火はすぐに消えることが立証された。

しかし、この実験の真骨頂はこれからだ。

「水面の高さが上にあがっている」

そう、俺は事前にガラス瓶の中に水をれていたわけだが、その水面のところに印をつけていた。

それが今確認すると、水面の高さが印より上にあった。

それが意味すること。

ガラス瓶の中の空気が減っている。

つまり――

「燃焼をすれば空気が消費されるってことか」

金屬 + 空気 → 金屬灰 + 火の元素

式に表すとこういうじか。

しかし空気というのは風の元素が集まって作られているとされている。

風の元素が火の元素に変換されたということか?

あり得ない話ではない。

4つの元素はお互いに流転するとされているからだ。

ちなみに、そのことを中心に取り扱った理論を錬金と呼んだりする。

「しかし、金屬灰が金屬より重い理由が説明できないな」

それから俺は火を扱った様々な実験を行った。

木炭や油を燃やす。

金屬は値が張るので今回は諦めた。

やはり木炭や油でも閉された空間ではすぐに火が消えた。

やはり同様に空気が必要なんだろう。

「けど、木炭の場合は燃やすと軽くなるんだよな」

パラパラになった灰を見て、俺はそう言う。

魔導書にも書かれていた。

木炭にはたくさんの火の元素が含まれているため、よく燃えると。

その証拠に木炭を燃やした後に殘った灰は火の元素が出ていってしまったので、木炭に比べ軽くなっていると。

実際、金屬以外のほとんどの質が燃やしたら軽くなる。

しかし、金屬だけは違った。

燃やすと重たくなる。

魔導書には金屬の燃焼のことまでは書かれていなかった。

「そういえば秤を実家に置いていったままだな」

準備する暇もなく追い出されたもんだから、必要なものを持っていくことができなかった。

「一度、家にこっそり戻るか」

そう俺は決めていた。

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