《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―13― 初戦

「意外と賑わっているもんだな」

プラム魔學院に行くと、大勢の人で賑わっていた。

これだけ人がいれば、妹と顔を合わせることはなさそうだ。

まぁ、験の前に下手に會って驚かせるのも悪いし、會わないほうがお互いのためにもいいだろう。

「では、験生の皆さんは試験の前に魔力測定を行います!」

見ると、先生らしき大人が拡聲と呼ばれる魔道を用いて指示を出していた。

なるほど魔力測定をするのか。

そんなわけでいくつかある列の1つに並んで順番を待つ。

「お名前は?」

「アベル・ギルバートです」

「出の中等部は?」

「通っていないです」

「え……っ」

と驚かれる。

プラム魔學院は難関校だけあって、中等部を通っていない人が験をするのは珍しいことなのかもしれない。

「じゃあ、この魔道の上に手をかざして」

他に質問をいくつかされた後、水晶の形をした魔道を見て先生はそう口にした。

指示どおり、手をかざす。

見るからに魔力を測定する魔道のようだ。

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魔道が発すると同時、數字が浮かび上がる。

ゼロ、と表示されていた。

まぁ、當然だろう。

「え、えっと……」

ゼロの數字に揺したのか先生が困した目でこちらを伺う。

「別に魔力がないからって、験資格がないってルールはありませんよね」

「まぁ、そうだけど」

そんなわけで俺は魔力測定をスルーして次の會場に向かう。

「ねぇ、あなた。冷やかしなら帰ってくれないかしら」

ふと、真後ろから話しかけられた。

「はぁ」

面倒そうなのに絡まれたな、と思いながら俺は振り向く。

立っていたのはいかにも気が強そうなだった。

った髪をツーサイドアップに纏めている。

大きなつり目が特徴的か。

「別に冷やかしではないのだが……」

「あなたの魔力量見たわ。ゼロって。ここは魔師でない人間が來るとこじゃないのよ!」

聲が大きい。

おかげで他の験生たちがギョッとした目でこっちを見た。

ゼロって言葉に反応したのだろう。

「人の魔力量を勝手に見るなんて、隨分と失禮なやつだな」

「話を逸さないで! あなたは今すぐ帰りなさい」

面倒くさっ。

付き合いきれんな。

「俺がけようがけなかろうが、俺の勝手だろ。勝手に介してくんな」

俺は一蹴するとを無視して験會場のほうに向かった。

後方からはの喚く聲が聞こえたが無視して歩く。

「では、これから験の説明を行います! まずは対戦表をお配りしますので、それに従って會場に向かってください」

俺は自分の対戦表を確認して、その會場に向かった。

試験はすべて5戦行われるらしい。

そのうち4勝すれば合格とのことだ。

他の魔師と戦うなんて初めての経験だ。

だからか、しだけ張していた。

とはいえ、今日のため開発した數々の魔を使いこなせば、合格はできるだろう。

「では次、私立クリスト學院出のケント・ロメロ験生。そして、えっと、中等部には行っていないみたいですね。アベル・ギルバート験生です」

俺の名前が呼ばれる。

観客席には他の験生たちが座っていたが、なんだがザワついていた。

「おいおい、初戦は學校に行っていないやつが相手かよ」

見ると向かいには、対戦相手の験生が立っていた。

々と訳ありでな」

「まぁ、いい。遠慮なく勝たせてもらうぜ」

対戦相手は余裕といったじで笑みを浮かべている。

學校へ行っていないのだから、舐められるのは仕方がない。

「勝敗はどちらかが戦闘不能、もしくはギブアップをしたら決著がつきます。それでは、これより試験開始です!」

審判役の先生が合図を出した。

先手必勝。

合図と同時に呪文を唱える。

「〈気流作(プレイション・エア)〉」

宙に魔法陣が展開される。

「はっ、なんだこのそよ風は。馬鹿にしてんのか?」

対戦相手があざ笑う。

確かに、俺が今行っているのは一見、ただのそよ風を相手に送っているだけだ。

「それで終わりってことなら、こっちからいかせてもらうぜ!」

そう言って対戦相手が豪語した瞬間――

「ふむ、殘念ながらすでに終わっている」

「う、うがぁ――ッ」

突然、相手は苦しそうにもがき始める。

なんとか逃れようと必死に手でを抑えるが意味はない。

そして最後には泡を吹きながら地面に倒れてしまった。

「ア、アベル選手の勝利――!」

審判は俺が勝つのが意外だったのか、揺しながら俺の勝利を宣言する。

「おい、今なにが起きた?」

「ただの弱い風が吹いているようにしか見えなかったが」

「なんでケントが倒れたんだよ!?」

「クリスト學院って名門校だろ。それが初戦で負けるってあり得るのか! しかも、相手は學校すら行っていないやつだぞ」

「なんだ、あの生徒……」

どうやら他の験生を驚かせてしまったらしい。

確かに魔導書を盲信している彼らには刺激が強かったかもしれない。

別に俺がやったのは特段すごいことではない。

使った魔は〈気流作(プレイション・エア)〉一つのみ。

しかし、ただ空気を作したのではない。

俺は窒素だけをり、対戦相手の周囲を窒素のみになるよう仕向けたのだ。

人は酸素がないと呼吸できない。

それを四大元素を信じている彼らは知らないだけだ。

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