「ただいま帰りました」

久しぶりの実家に戻った俺は玄関の扉を開ける。

鍵はかかっていなかった。

「アベル、よく來たな」

なぜか父さんが玄関の前で仁王立ちで待っていた。

表をひと目見ればわかる。

父さん、めちゃくちゃ怒っているな。

「アベル、こっちに來い」

そう言って父さんはズンズンと足音を立てながらどこかへ行こうとしていた。

「はぁ」

俺はため息をつきながらついていく。

これからなにが待っているんだろうか。

俺は父さんと対面して座っていた。

父さんはいつになく険しい表を浮かべている。

「なんで俺が怒っているかわかるか？」

いえ、わかりません。

俺のこと勘當したのはそっちじゃん。なら、俺がなにしようが勝手じゃない？

と、俺は思うのだが、それを素直に言うほど俺も馬鹿ではない。

「しゅ、就職していないことですかね……？」

なんとか捻り出してみる。

父さんは俺に就職させるために、家から追い出した。

けど、俺は父さんの意向を無視して験をけた。

とはいえ學すれば寮にれるし食事の提供もある。自立していることに違いはないのだから、なにも問題ないと思うのだけど。

「プロセルからおおよその話は聞いている。お前がプラム魔學院に合格したと。最初は話を疑ったが、學院に照會したところ確かにお前は合格していた」

と、父さんはここで一度言葉をとめて、こう主張した。

「お前、不正しただろ！」

ドンッ、と機で拳を叩いていた。

察するにだ。

俺は不正をして合格を手にしたと疑われているらしい。

マジか……。

「いや、誤解なんだが」

「そんなわけあるか！　魔力ゼロのお前がプラム魔學院に學できるわけがないだろ！」

「えっと、実は魔使えるようになって」

「ふざけんのもいい加減しろ！　白狀しろ！　一どんな不正を使って合格した！」

確かに魔力ゼロの俺が學できるわけないと思う気持ちは理解できるが、だからって不正したと決めつけなくてもいいではないか。

流石に傷つくんだが。

「だから、俺は魔が使えるようになったんだよ」

多のイラつきを込めながらそう主張する。

「まだ噓をつくか。だったら今ここで〈火の弾《ファイア・ボール》〉を見せてみろ」

よりよって〈火の弾《ファイア・ボール》〉か。

〈火の弾《ファイア・ボール》〉は俺には扱えない。

俺の魔は現実の理現象をベースに魔を行使する。

〈火の弾《ファイア・ボール》〉は四大元素という架空の理現象をベースにしないと存在が許されない代だ。

「悪いけど〈火の弾《ファイア・ボール》〉はできない」

「〈火の弾《ファイア・ボール》〉は基礎中の基礎魔だぞ！　それすらできないで難関校のプラム魔學院に合格できるわけがないだろ！」

はぁ、こうなったら見せるのが手っ取り早いか。

「〈重力作《グラビティ》〉」

瞬間、父さんのが宙に浮く。

「いでぇ！」

父さんは悲鳴をあげていた。

見ると、天井に頭をぶつけていた。

あ、やりすぎてしまったな。

もしかしたら頭にたんこぶができてしまったかも。

「これでわかっただろ。不正していないのが」

重力をる魔は四大元素をベースにしてもできないことはない。

といっても上級魔ではあるので、それをやってのければ父さんは認めるしかないだろ。

「アベルがこれをしただと……？　いや、そんなことあるはずがないだろ……」

まだ父さんは疑っていた。

仕方がない。

俺は重力をさらにり、上へ下へと父さんを上下に揺さぶる。

父さんがをあげるまでやり続けるか。

「これでもまだ疑うのか？」

「わ、わかったから、やめてくれ！　アベルがやったんだと認めるから！」

思ったよりあっさりと父さんは認めてくれた。

なので父さんを床に降ろそうとして――。

フワリ、となにかが落ちてきた。

父さんのカツラだった。

「あ、ごめん……」

反的に謝ってしまう。

「構わん」

そう父さんは言うと、カツラを拾って自分の頭に乗せた。

父さんカツラだったんだ。

初めて知った事実に俺は驚愕していた。

あれ？　父さんがハゲってことは俺も將來ハゲる可能高いんじゃ……。

やばっ、の震えが止まらなくなってきたんだけど。