「みなにはこの學院で最も貴重なを紹介する」

Ｄクラスの生徒たちは大広間に集まっていた。

その大広間の中央。

ガラスケースにれられた一本の剣が収められている。

「この剣は賢者パラケルススの聖のひとつ、アゾット剣だ」

そうセリア先生が言うと、生徒たちがざわついた。

「この剣が學院にあるおかげで、お前らは加護を得られている。的に言うと治癒魔が強化される。他には自然治癒力の強化や致命傷をけにくいといった加護も得られる。つまり、お前らがこの學院にいる限りは滅多に死ねないってことだ。安心してお前らは魔で殺し合え。それがお前ら生徒たちの義務だ」

殺し合え、なんて非常に騒な言葉だが、アゾット剣がある限りなんら問題がない。

このアゾット剣は、プラム魔學院が國最難関の學院であることをたらしめる象徴のようなもの。

そして、俺がこの學院に來た理由でもある。

「噂には聞いていましたが、実を見ると圧巻ですね……」

隣にいたミレイアを想を述べる。

「しいな」

それに釣られてか、俺も思ったことを口にしてしまう。

「えっ」

と、ミレイアが聲をあげて驚く。

「ちなみに言っておくが、このアゾット剣は大変貴重なだ。興味本位でガラスケースから取り出そうとするなよ。トラップ式の魔法陣が発する仕組みだからな」

まるで俺の心でも見かしたように、先生が注意を促していた。

確かに、ぱっと見るだけでも三重のトラップ型の魔法陣が施されている。恐らく、俺でも気がつけないような魔法陣が他にも複數はられているだろう。

どうにかして手にれたい。

そうじゃないと、この學院に來た意味がないからな。

アゾット剣は〈賢者の石〉の生のヒントになる可能が非常に高い。

というのも、アゾット剣の柄には〈賢者の石〉が埋め込まれていたという伝承がある。

アゾット剣そのものに加護があるのも、〈賢者の石〉のおかげだとされている。

今は〈賢者の石〉こそ失われているが、アゾット剣を調べれば、〈賢者の石〉の生に近づける可能が高い。

だから、この學院に來た理由は、アゾット剣だと言っても過言ではない。

「アベルさん、冗談ですよね」

ふと、心配そうにミレイアがそう口にする。

「まぁな」

そう答えつつも、アゾット剣を手にする現実的な方法を頭の中で模索していた。