《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―45― エピローグ

途中、偽神との戦いに熱中していたので忘れていたが、俺らはチーム戦の最中であった。

俺とミレイアはチーム戦を失格という形で終えた。

というのも、偽神を巡って追いかけっこをしているうちに、結界の外に出たせいだ。

実に間抜けなオチだ。

それと異界で殺された誰かがミレイアのことを異端だと気がつかないか、懸念したが杞憂に終わった。

誰も異界で起きたことを覚えていなかったのだ。

もし、うっすらと覚えている者がいても恐らく夢で起きたことだと判斷したのだろう。

そのせいで、誰もミレイアに倒されたと意識している者がおらず、また俺たちも特になにも言わなかったので、本來、俺たちのチームにるはずのポイントは一つももらえなかった。

そして、Dクラスのほとんどが謎の原因で気を失うという怪事件として學院では噂が広まってしまった。

毒ガスが撒かれたとか、催眠魔で眠らされたとか様々な憶測が渦巻いたが、この調子なら真実に気がつくものは誰もいないのだろう。

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そんなわけで俺たちは1點も稼げなかったわけだが、結果はなんと二位という悪くないものだった。

まず、一位はビクトルを気絶させたチームに送られた。

そして、なぜ俺たちが二位かというと、シエナがチーム戦終了まで生き殘っていたからだ。

他生徒を撃破したポイントが同數だと、生き殘った數が多いほうが順位が上になるというルールがあったらしい。

聞くところによると、シエナは砦の監視中に眠ってしまったらしい。そのせいで、偽神の〈霊域解放《サンタリオン・フィールド》〉に巻き込まれないで済んだのだから、なんというか幸運なやつだ。

「アベルくん、お邪魔しますね」

扉を開けると、そこにはミレイアがいた。

なんのようだ? と尋ねると、ミレイアは紙袋を見せて「これ、あげます」と渡してきた。

「どうしたんだ? これ」

「お禮です。け取ってください」

「あぁ、ありがとう」

禮を言いながら、紙袋を開ける。

「おい、なんだこれは……?」

中にっていたものを見て、俺は不満をらした。

というのも、中にはの洋服がたくさんっていたのだ。

「アベルくんには今後、たくさん必要になるかと思いまして」

「まぁ、それもそうか」

そう言いつつ、後ろにいる者に意識を向けた。

俺のベッドにはとなった偽神がぐーすかと寢ていた。

「中にはものの下著もっていますので、ちゃんと著せてあげてくださいね」

偽神は當初だったので、そのままではまずいってことで、今はミレイアから借りた服を著ていた。とはいえ、サイズが合っていないのでブカブカだが。

恐らく偽神のサイズにぴったりな服を揃えてくれたのだろう。

紙袋の中を見ると、意外と數があるな。

「けっこうっているな。お金かかったんじゃないか?」

「まぁ、そうですが。アベルくんに助けられた命に比べたら大したことじゃないので、気にしないでけ取ってくれるとこっちも助かります」

「そうか」

せっかくの善意だし、ありがたくけ取ることにしよう。

「それと、偽神とはいえの子なんでちゃんとの子扱いしないといけませんからね」

と、ミレイアが念を押す。

なんのことを言っているのか俺はすぐ察しがついた。

偽神がした直後、あまりの嬉しさに俺は偽神に無理やり力を使わせようとしたことを言っているのだろう。

「あれは興しすぎた結果だ。反省している」

どうも自分は好きなものが目の前にあると暴走してしまうきらいがあるらしい。まぁ、反省したところで直せないと思うが。

「なら、いいんですが……」

一応納得してくれたのか、ミレイアは頷いてくれた。

「その、アベルくん、本當にありがとうございました」

ミレイアが照れくさそうに頭を下げてくる。

「改めて言うことか?」

「いえ、ちゃんとお禮を言っていなかったと思って」

別に気にする必要はないと思うが。

正直、俺はミレイアを助けようなんて微塵も思っていなかった。

俺は妹の呪いを解くため最善の方法を選んだに過ぎない。偽神を殺したら、呪いについて聞けなくなる。ならば、どうすべきか。

偽神を使役すればいい。

なんとも合理的な判斷だな。

まぁ、流石にそのことをミレイアに言うつもりはないが。

「別にミレイアが気にする必要はないからな」

と、代わりにそんなことを言う。

「いえ、気にしますよ」

本當に気にしなくていいのに。

しかし、どうしたものか? と俺は後ろのベッドで寢ている偽神のことを思い浮かべながら、そんなことを考える。

偽神のおかげで、俺は知らないことをたくさん知ることができた。

だが、同時に疑問もたくさん増えた。

なぜ、偽神は人間を殺そうとするのか?

偽神と我々が崇める神の関係。

そして、偽神ゾーエーの呪い。

とりあえず、こいつから全部吐かせるか。

未だ、グースカ寢ている偽神を見て、俺はほくそ笑む。

わざわざ隷屬させたのだ。

知っていることは全部教えてもらおう。

第一部 ―完―

第二章も引き続き更新する予定です。

それと、評価いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

↓それと、新作投稿しました。よろしければ、どうぞ。

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