《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―57― 第二ラウンド

「ふわっ、なんだ急に!?」

突然、霊域に現れた俺とアスモダイにアントローポスが驚く。

「おい、アントローポス! あれはアスモダイっていう悪魔だ。なんとかしろ」

「なんとかって、なんだ!?」

無茶振りをするな、といったじでアントローポスはぶ。

「なにこれ……?」

霊域に巻き込まれたアスモダイは困した様子で、周囲を見渡していた。

その隙に、俺はアスモダイから離れ、アントローポスのところにいく。

「おい、今、この世界を好きに改変することはできないんだよな」

この霊域はアントローポスの好きに改変することはできる。

ただ、神にしか作用しない世界のため、質には直接危害を加えることはできないが、それでもアスモダイに対抗することはできるはずだ。

「無理だ。今は霊域を維持するので限界だ」

ただ、今のアントローポスは俺に〈魂を魔力に変換(コンヴァシオン)〉をけたせいで、魂の小化に伴い弱化している。

だから、本來の力を使えなくても仕方がない。

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「役立たずだな」

「な、なんで! 貴様にそんなこと言われなければならないのだ!」

アントローポスが真っ向から反論してくる。ただ、事実を言っただけなんだがな。

しかし、アントローポスの力が使えないとすれば、どうしたものか?

「この力は、ま、まさか……偽神様……ッ!?」

ふと、アスモダイが驚いた様子でそう口にしていた。

「あ、あぁ、確かに我は偽神アントローポスだが」

ふむ、これはどういうことだろう……?

アスモダイは、アントローポスが偽神だとわかった瞬間、態度が急変したな。

的に言うと、殺気を放っていた目が憧憬を抱いたになっている。

「ふわぁ……ファ、ファンだから、握手してほしいかも!」

「あ、あぁ……別にかまわんが」

とかいって、二人はなぜか握手していた。

そもそも偽神と悪魔ってどういう関係なんだろうな?

アントローポスの話だと、偽神は創造神よりも先に生まれた存在らしい。一方、悪魔は創造神によって造られた存在だ。

それと、偽神は一様に人を殺そうと畫策するが、悪魔は悪魔によって考えが異なる。

人に協力的な悪魔もいれば、人に反抗的な悪魔も存在する。

アスモダイは後者のようだが、そうなると、アスモダイにとって偽神って尊敬すべき存在なのか?

「私も偽神様みたいに、人に迷をたくさんかけたいと思っている! だから、すごく尊敬してるかも……!」

「そうか、そうか! お主も我のようになりたいか。ならば、日々進するがいい」

「うん……がんばる!」

なんかアントローポスも調子にのってるのか鼻を高くしているし。

「あの、お二人はどういう関係なのですか?」

アスモダイは俺とアントローポスを互に見て、そう口にする。

「ふふんっ、こいつは我の従僕だ」

アントローポスが俺を指で指しながら偉そうにそう口にした。

ペシン!

「いだぁ!」

なんの躊躇もなく噓をついたので、アントローポスの頭をチョップしたのだが。自分を尊敬してくれる存在の前だからって、調子にのりすぎるのはよろしくない。

「俺が主人、こいつが俺の使い魔だ」

「え……っ、じゃあ、あなたは偽神様のご主人様……?」

「まぁ、そうなるな」

「ふわぁ! 偽神様を使い魔にするなんてすごい……!」

今度は俺に対してアスモダイが尊敬の眼差しで見てくる。

「あの……っ、名前教えてしいかも」

「えっと、アベル・ギルバートだけど」

「わ、私もアベル様の使い魔にしてほしいかも!」

「……は?」

「私も偽神様と一緒に戦いたい」

アスモダイは目をキラキラさせた様子で俺にそう語りかける。

なんでこんなことになったんだ……?

最初はアウニャが従屬させるために、アスモダイを降霊させたはずなのに、なぜか俺に対して従屬化したいと申し出ている。

「……普通に、お斷りだ」

一瞬、アスモダイという最強格の悪魔を従屬できるのは悪くないと思ったが、なんかこいつを従屬したら、面倒なことが起きそうだと、頭の中の危機が察知した。

それに、アスモダイを俺が従屬させたらアウニャから橫取りしたみたいになるしな。

「な、なんで……?」

しかし、アスモダイは斷られると思わなかった様子で、驚愕と愕然が混ざったような表をしていた。

「うっ……うう……っ」

その上、涙を流し始めた。

泣くほどがっかりするようなことか?

俺の橫にいるアントローポスは困った表で「泣かせてしまったみたいだが、大丈夫なのか?」と口にしている。

「ゆ、る、さ、な、い……っ!」

泣き止んだと思ったら、今度は激怒した表でそう口にしはじめた。

喜怒哀楽が激しいやつだな。

「私のいを斷るなんて、絶対に許せない! こうなったら、実力を示して、なんとしてでもアベル様に従屬してもらうかも!」

そういって、アスモデウスは両手をばし、呪文を唱えた。

「〈火の矢(フエゴ・フレッチャ)〉」

そして、無數ともいえるほどの火の槍を出現させる。

結局、戦うことになるのか……。

そんなことを思いつつ、俺は嘆息した。

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