《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―65― 代表決め

放課後、予告通りクラス対抗試合のDクラス代表を決めるための試合をするために生徒たちが集まっていた。

ここに集まっている生徒は全員、參加希の者たちだ。人數は20名以上はいる模様。

「試合方式はどうしようか?」

ユレンが全員に語りかけるようにそう言った。

すると、生徒たちは各々が好き勝手に提案を口々に言う。リーグ戦とかトーナメント方式とか、そんなじの単語が飛びっていた。

「短く済ませたいから、全員同時に戦って最後に殘ったやつが代表ってことにしたらいい。なんだったら、俺一人でお前ら全員を相手してやってもかまわない」

さっさと決めたかったので、そう口にする。

「てめぇ、俺たちを舐めやがって!」

「魔力ゼロのくせに調子乗りやがって」

「絶対、殺してやる!」

ふむ、こいつら単純だな。こんな安い挑発にまんまとひっかかるとは。

俺としては自分の提案を通すために、ただ挑発しただけなんだが。

「そう、なら、バトルロイヤルってことにしようか。學院の敷地なら、どこで戦ってもオーケーで、開始は今から10分後。それまでに各自、散らばるじで。そして、殘った二人が代表者に決定ということにしよう」

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と、ユレンがまとめてくれる。

そんなじで、各自、好きな場所に散らばっていった。

俺も皆にならって散らばるように歩く。

さて、俺はどこにとどまろうか。

「隨分と強気なんだな」

見ると、顔半分を霊域から覗かせたアントローポスの姿がそこにはあった。

端から見ると、顔半分だけが宙に浮いているように見えるから、気持ち悪がられそうだ。

「なんとしてでも優勝する必要があるからな」

會長との契約もあるし、アゾット剣を研究する権利のこともある。

だから、どんな手段でも使うつもりでいる。

「だが、勝ち過ぎるのも問題じゃないか? お前の魔は特殊すぎる。見る人が見れば、異端者だと疑われるぞ」

そう、それが俺にとっての唯一の問題だった。

この世界の魔師は原初シリーズを絶対視し、それから外れるものを異端者扱いする。

というか、今の俺はアントローポスを使役している以上、異端者と言われても否定できないんだけどな。

「この前、気がついたんだよ」

「ん? なににだ」

「別に異端者と認定されても問題ないのかもしれないってことに」

「ほう。その心は?」

「よく考えたら、今の俺って、それなりに強いと思うんだよ」

學した當初は、俺の魔師としての実力はそこそこだった。

だが、ここ數ヶ月。特に、アウニャの実家で見つけた『電気と磁気に関する論文』からの俺の魔は著しく長している。

「たとえ、この學院の生徒全員が俺の命を奪おうとしても、生き延びる自信はあるな」

「くっはっは! 流石にそれは傲慢じゃないか?」

アントローポスが大口を開けて愉快そうに笑う。

「なら、それを今から証明してみようか」

そう言って、俺は戦いに集中する。

「見つけたぞ、アベル!!」

「死ねぇええええええええええ」

「ぶちのめしてやるぅううううううう!!」

見ると、さきほど俺に対し怒りをあらわにしていた生徒たちが突撃しようとしていた。

ざっと數えた限り、10名以上はいるじか。

「おい、でてこい」

そう言って、顔半分を異界から出していたアントローポスの首っこを捕まえ、全を引きずりだす。

「おい、なにをさせる気だ」

アントローポスの問いに答えるまえに、行に移した。

「〈重力作(グラビティ)〉」

アントローポス自の重力を作して、高く上に打ち上げる。

そして、頭上にあることを確認して、もう1つの呪文を唱えた。

「〈魂を魔力に変換(コンヴァシオン)〉」

アントローポスの魂を魔力に変換。

これで、膨大な魔力が手にる。

そして、最後の仕上げ。

「〈雷神の咆哮(ゼウス・ルギド)〉」

あたり一帯が雷の餌食となった。逃げる場所は一切なく、防する暇も與えない。

直撃すれば確実に死ぬであろう攻撃。まぁ、アゾット剣の加護のおかげで、最低限生きてはいると思うが。

雷が止んだ頃には、誰一人として立っている者はいなかった。

「おい、我を殺す気か」

ぬくっ、霊域からアントローポスが顔を覗かせては文句を口にした。

すでに、魔力の供給源にさせたもらったは雷の餌食となって黒焦げになっていた。

「いいだろ。がたくさんあるんだし」

まだ、霊域の中にはこの前作ったはいいが、使いみちが特にないアントローポスの〈人造人間(ホムンクルス)〉で埋まっている。

「だからって、雑に扱うな!」

アントローポスの非難が耳障りだ。

と、そのとき、周囲の異変に気がつく。

「おい、今の見た?」

「どう見ても雷の魔だよな」

「なんだ、この攻撃は」

さきほど、俺の〈雷神の咆哮(ゼウス・ルギド)〉を見て、生徒たちが駆けつけてきたらしい。

「ほう、隨分と人気者だな」

アントローポスがしたり顔でそう言う。

生徒たちはたくさんの生徒が瀕死の狀態で倒れていること、そして、その原因を作ったのが俺であることに気がついていく。

「そのようだな」

そう、俺は応えつつ、心の中ではこう思っていた。

覚悟していたとはいえ、面倒なことになりそうだな、と。

下より評価いただけると幸いです。

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