妹の命令により、俺は魔を使ってはいけないことになった。

なので、會長と妹の戦いを黙って観戦するはめに。

二人の魔の特を解析してみよう。

妹は土屬の魔だ。

會長は大量の蛾を使った使役魔。

一言で説明するとこうなるが、実際には二人の魔はもっと複雑なんだろう。

単純に攻撃力を図るなら、妹のほうが上だ。

まず、妹から繰り出される〈土巨人の拳(ピューノ・ギガンテ)〉の破壊力は圧倒的だ。

本來、土の魔は他の、火、風、水に比べ構築するのが難しいとされている。

それは他のに比べ、土の持つ質が複雑だから。

だから、他の魔師が妹と同じことをしようとしても、魔を構築するのに何倍も時間がかかるはず。

なのに、妹は瞬時に、土でできた巨大な拳を作ったり、消したりすることができる。

圧倒的な攻撃力がある魔を何度も繰り出すことができるのが妹の強さのだ。

妹がこれだけ土屬の魔構築が速いのは、本人の適以外にもなにかがありそうだ。

パッと思いつくのは、土の上位霊と契約を結んでいるとかだな。それなら、妹が土以外の屬の魔を使わないことにも納得がいくが、実際のところは本人に聞かないとわからないな。

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ともかく、プロセルは土の拳を用いて毆りかかり、土の足場を使って、飛んだり空中に靜止したりと立的な移を用いる。

以前、會長がプロセルのことを戦闘の天才と呼んでいたことを思い出す。

プロセルの使う魔はそこまで高度ってことではない。

だが、魔構築の速度や戦闘の反応速度がずば抜けている。

これら戦闘におけるセンスがプロセルを天才たらしめているんだろう。

一方、會長も妹に引けを取らない戦いを続けている。

例えば、妹から繰り出される〈土巨人の拳(ピューノ・ギガンテ)〉に対して、大量の蛾を使ってを守ったと思ったら、蛾たちが発して、攻撃に転じたりしていた。

恐らく、蛾の魂を魔力に変換させて、発を起こしているのだろう。

それと不思議なことが２つ。

１つは、蛾の數が一向に減る気配がないというもの。妹の攻撃や會長自による発に巻き込まれ、何もの蛾が死んでいるはず。

それであれば、蛾の數は除々に減っていくはずだが、その気配が一切ない。

もう１つは、會長自が大量の蛾に変したり、元の姿に戻ったりを繰り返す現象だ。

この魔には妹は相當翻弄されている様子で、妹が會長に攻撃したと思ったら、會長が大量の蛾に姿を変え、その場から飛び立ち、また別の場所に蛾に大量に集まったら、そこから會長がでてくる。

そんなやり取りを何度も繰り返していた。

変魔は比較的使用者がない魔の１つだ。とはいえ、こんなに自在に変したり解いたりできる魔があるなんて聞いたことがないけどな。

どんな魔構築をすればできるんだろうか？　と、俺はしばらく會長の魔を観察していた。

魔法陣を見れば、どんな魔なのかしはわかるはずだ。

といっても、魔法陣は者にしかわからないよう暗號化されている場合が多いから、簡単ではないけれど。

それでも俺は観察を続けていた。

それは単純に、會長の魔の正を確かめたいという、知的好奇心からきたものだった。

そして、気がつく。

會長の魔の正に。

これは変の魔なんかではなかった。

幻覚を見せる魔だ。

蛾の數は実際はもっとないが、それを幻覚によって多く見せているというのが本當。

蛾が一向に減らない仕組みはこういうことだ。

そして、會長が蛾に変しているのではなく、そういう幻覚を見せているに過ぎない。

恐らく、會長本人は、違う場所でこの様子を観察しているのだろうな。

さて、そろそろ頃合いかな。

俺は妹に魔を使うなと言われていたから、今まで大人しくしていたが、それを最後まで守るつもりなんてない。

ここまで律儀に守っていたのは、二人の戦力を分析するため。

結論。

今の俺ならこの二人を圧倒することができる。

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