《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―73― 獄
「おはようございます、アベルくん」
目を開けると、パジャマ姿のミレイアが立っていた。
「あぁ、おはよう」
同級生のパジャマ姿。普段見ない姿なだけに、エロティシズムをじるのは仕方がない。
匿ってもらっているため、同じ部屋に男が一夜過ごしたわけだが、特に変なことは起きず、ミレイアはいつも使っているベッドで、俺は床にゴザを引いて眠った。
「寢心地悪くありませんでしたか?」
「いや、特に問題はなかった」
本音言えば、床がくて眠りづらかったが文句をいえる立場ではないので黙っておく。
「それじゃ著替えますので、あっちに行ってください」
それからミレイアが制服に著替え終わるまで、トイレのある部屋に1人籠もることになった。
その後、いつも通りミレイアは學院に通い、死んだことになった俺は部屋で大人しく待っているのだった。
◆
「無事にというとおかしいかもしれませんが、アベルくんの分はちゃんと処刑されてましたよ」
帰ってきたミレイアがそう報告する。
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話を聞くと、俺と見た目が同じ人造人間(ホムンクルス)はしっかりと処刑されたそうだ。
処刑方法はギロチンだったらしい。
公衆の門前でしっかりと首が斬り落とされたらしい。
「妹さん、泣いてましたよ」
「そうか。それは悪いことしたな」
ああ見えて兄思いの妹だからな。俺が死んだらさぞショックに違いない。だからといって、こうしてまだ生きていることはまだ妹に知らせるつもりはないが。
「一応、アントローポスにも話を聞くか」
アントローポスが俺の分にってをかしていた。痛いのは嫌だと行っていたから死ぬ直前、霊域にいる元のアントローポスのに戻っているはずだ。
だから、霊域を開いてアントローポスを呼ぶ。
「あいつら、中が我であることに一切気がつく気配がなかったな!」
霊域から出てきたアントローポスはそう言ってを張る。
「そうか、よくやった。助かったよ、アントローポス」
「む、そうやって素直に褒められるのはなんかこそばゆいな」
「二人にはこれでも相當謝しているつもりだ。二人がいたおかげで、穏便に済ますことができた」
最悪、暴れて1人で逃げるなんて考えもあったが、それだといつか限界がやってくる。
二人がいたおかげで、こうして隠れることができている。
「それで、アベルくん。これからどうします?」
「そうだな、目下の問題はクラス対抗試合だな」
會長とのの契約のせいで、クラス対抗試合で俺は優勝する必要がある。
だが、異端認定されて表面的には処刑された俺がのこのこと試合に出るわけにはいかない。
「クラス対抗試合について、なにか話し合いは行われたか?」
「ええ、アベルくんがいなくなったので、代わりに出場する生徒を決める必要があるって話をされていました」
「そうか」
恐らく、この前みたいに出場したい生徒たちが戦うなりして決めるんだろう。
「どうするつもりですか?」
「一応、手は考えてある。ただ、またミレイアの手を煩わせることになると思うが、かまわないか」
「はい、私アベルくんのためだったらなんだってしますよ」
「そうか、それは心強いな」
「ただ、一つだけ気になることがあるんです」
ふと、ミレイアが眉をひそめて聲に出した。
「なにが気になるんだ?」
「その、勘違いかもしれないですけど、今回アベルくんが異端認定をけて処刑されるまで、あまりにも展開が急すぎませんか?」
「確かに、そうかもな」
それは俺も薄々じていたことだ。
「私自が異端者だったから詳しいんですけど、異端審問ってもっと慎重に行われるはずなんですよ。そもそも異端か否か判別する手段はまだ確立されていませんので、異端だと認定されても処刑はもっと慎重に行われるはずです」
異端者。
それは偽神を崇拝し、偽神より異能の力を授かった者のことだ。
異端者となれば、偽神の命令に従い人々を殺戮するようにき始める。
だが、異端者となったからといって、すぐに行を開始するわけではない。
時が來るまで一般人に紛れては潛伏する者もいる。
人々を殺戮する前に潛伏している異端者を見つけ出すのが異端審問の役割だ。
だが、潛伏している異端者を見つけるのは非常に難しい。異能の力を持っていたとしても、それを隠すのが一般的だからだ。
だから、異端審問が行われること自現代では稀だ。
一昔前は、怪しい者を片っ端から異端審問にかけ異端認定されたものを本當に異端か否か関わらず処刑していた時代もあるらしいが、今ではそういった行いは反省され、なくすよう努力されている。
「まるで、アベルくんを殺したい誰かが裏で手を引いているそんな気がしてならないのです」
ふと、ミレイアはそう結論づける。
「そんなやつがいるとするなら、犯人は學院長かシエナだな」
「え……?」
ミレイアが驚いた表をする。
なので説明することにした。異端審問でどういったことがあったのかを。
「なるほど、確かに、その二人が怪しいですね。それにしてもまさかシエナさんが私たちのやりとりを聞いていたとは」
神妙な表でミレイアがそう呟く。
「ひとまず、學校での向を探ってみてくれないか」
「わかりました!」
ミレイアが両手で拳をつくって張り切る。
これは心強いな。
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