《魔力ゼロの最強魔師〜やはりお前らの魔理論は間違っているんだが?〜【書籍化決定】》―89― エピローグ
「ん……」
目を覚ますと、ベッドの上に寢かされていることに気がつく。
「アベルお兄!」
ガバッ、強く抱きしめられるを味わう。
見ると、妹のプロセルが俺を抱きしめていた。
「うっ、うぐぅ……生きててよかっだぁ」
普段なら絶対に見せないような泣き顔を見せていた。
「悪かったな。心配かけて」
「今度同じことをしたら、許さない」
それから、プロセルは俺から離れるのを拒むように中々手を離してくれない。
とはいえ、プロセルばかりにかまってもいられない。
恐らく自分が今いる場所は學院の保健室なんだろうが、周囲には人だかりができていた。
知っている顔もあれば、知らない顔もある。
「それで、どういう狀況なんですかね?」
誰かに言い聞かせたというよりは、全員に対して俺はそう聞いていた。
「アベル殿、此度は偽神ヌースの討伐、心より謝致す」
ふと、一人の男が前に出て頭をさげる。
やはり、というか俺が偽神ヌースを倒したことは知られているらしい。
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まぁ、あれだけ派手に魔を使ったんだ。多くの人たちに見られていただろうし、當然といえば當然か。
「えっと、あなたは?」
「はっ、申し遅れました。わたくし宮廷魔導師団、団長を務めていますマンフレート・アイヒンガーと申します」
「宮廷魔導師団の団長ですか」
隨分と立場の高い人がこんなところにいるもんだ。
「改めてになりますが、アベル殿には魔導師団の代表として心より謝致します。近々、アベル殿には國王より褒賞の授與の予定もございます」
「褒賞ですか」
「ええ、あなたは今や國の英雄ですから」
英雄か。そう言われも、正直ピンとこない。俺はただ、できることをしたまでだからな。
「ただ、一つ問題がございましてね……」
「問題ですか」
「あなたは、先日異端認定をけて処刑された。それは間違いありませんね?」
「それは、そうですが」
「処刑されたのに、どうして生きているのか? に関しては深く尋ねは致しません。ただ、一つだけ確かなことは偽神を討伐したあなた様は異端者ではないということです」
「そう言ってもらえると助かります」
偉い人の立場から、異端者でないと認めてもらえたなら、これほど楽なことはない。
これからは、隠さずに魔の行使ができるようになるかもしれない。
「逆に、あなたを異端認定にして処刑を実行をした者にはなんらかの処罰が與えられるでしょう」
「はぁ、処罰ですか」
別に、処罰なんかんではいないんだがね。
「來たまえ」
団長が誰かに対し、そう聲を張り上げる。
すると、やってきたのは手枷をはめた學院長だった。
その學院長は、前見たときよりもげっそりと痩せ細ったをしている。
「彼がアベル殿の処刑を実行したということで間違いありませんか?」
と、団長が俺に対し、そう尋ねる。
「間違いないです」
正直に話すことに抵抗をじたが、異端審問の場には他にも大勢いた。だから、噓ついても仕方がないと思い、正直に言葉を吐く。
「そうか、ご協力に謝する」
そう団長が口にすると學院長がどこかに連れて行かれそうになった。
「あの、すみません」
「なにかね?」
「學院長にはあまり重い罪を科さないであげてください。彼は自分の仕事を全うしただけなんで」
「そうか、君の言うことだ。配慮しよう」
そう団長が言って、彼らは去って行った。
これで、一連の事件は幕を下ろしたのだろう。
◆
それから數日後。
俺は王城の謁見の間にて、國王直々に褒賞をけ取る手はずとなっていた。
「此度は偽神ヌースの討伐への盡力、まことに見事であった」
「ありがたきお言葉です」
ふと、俺はそう口に頭をさげる。
國王ってことだから目の前にいる人はこの國で一番偉い人なんだろう。
「アベル殿、なにかみはあるか?」
「みですか?」
「あぁ、葉えられる範囲なら応えよう」
「そうですね。プラム魔學院にあるアゾット剣の管理権をみます」
「ふむ、あれは非常に貴重なものだが、よかろう。お主にアゾット剣の管理を一任しよう」
ふと、思通り進んでほっとする。
これでアゾット剣を調べることができる。
パーツは揃ったな。
ふと、俺はそんなことを考えた。
今、手元にあるものがなにか順番に思い浮かべていく。
そして、俺の計算どおりであれば、これだけあればゴールは近いはず。
〈賢者の石〉の生まで後しだ。
これにて、第二章完結です!
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