《【書籍化】雑草聖の逃亡~出自を馬鹿にされ殺されかけたので隣國に亡命します~【コミカライズ】》見習いの大聖 03
とりあえず、ティアラに釘を刺された日の夕食は、頭が痛くて熱っぽい事にしてアベルの天幕に行くのは辭退した。
次の日の朝食も回復しきっていないという名目で辭退し、代わりに特別に作って貰った消化のいいご飯を食べる。
討伐中の食事は料理擔當の兵士が擔當しているのだが、指揮用、一般兵士用に加えて病人食を作らせることになったのがし申し訳ない。
昨日はオーツ麥のミルク粥で今朝はパンをコンソメスープでトロトロに炊いたお粥が出てきた。
お腹に貯まらない上にちょっと足りなさをじるご飯だが、アベルにマナーをチェックされて食べるご飯よりずっと良かった。
この討伐隊は明日にはこのフェルン樹海を撤収して次のホットスポットに向かう予定だ。今晩と明日の朝はどう言い訳をしよう。
そんなことを考えながらいつも寢泊まりしている天幕を出ると、口にアベルが立っていてマイアはギョッとして直した。
「マイア、調はどうなんだ」
Advertisement
今日もアベルの視線はとても冷たい。
「まだあまり良くないですが一応く事は出來ます」
「調子が悪いなら休みなさい。今はティアラ嬢がいるし、聖は討伐の命綱だ」
「し熱っぽいだけで食事は摂れていますから……」
何より仮病で休むのはちょっと気が引ける。
「……今日は休め。指揮命令だ」
強く言われ、マイアはぽかんと呆気に取られた。
氷海のような青い眼差しとマイアの視線が錯する。
(聖は大切だものね……)
メンテナンスも隊長の仕事のうち、そういう事だろう。
マイアはありがたく天幕の中でごろごろさせてもらう事にした。
◆ ◆ ◆
日中イエルは討伐隊の雑務を手伝っている。そしてダグはティアラを手伝いたいと言い出して、衛生兵として救護用の天幕に向かった。彼はすっかりティアラの信奉者になっている。
一人寢泊まりしている天幕で休む事になったマイアは刺繍をして過ごした。
これは街で過ごす時用の暇つぶしに持ってきたものである。
魔蟲の討伐には魔の助けが必須なので、新月とその前後は避けて行われる。
月が痩せている間はホットスポット近郊の街で過ごす事になるので、ある程度の暇つぶしを皆用意しているものだ。
マイアは元々お針子を目指していたので針仕事は得意なほうだ。今取り組んでいるのはリボンに刺繍をれる作業である。
チクチクと手をかしていると、いつの間にやらかなりの時間が過ぎていた。
「マイア様、今よろしいですか?」
話し掛けられたので刺している最中の作品から目を上げるとダグがいた。
「ティアラ様がマイア様をお呼びです。晝をご一緒しませんかと仰られています」
ティアラは専屬の料理人を連れてきているから、大多數の兵が討伐に出ている今ならいに応じれば晝だけはまともなものが食べられそうだ。
「どこに行けばいいの? ティアラ様の天幕?」
「……いえ、今日は暖かいので外に準備をさせているようです」
「そうなの?」
マイアは刺しかけの刺繍を簡単に片付けると、上著とマントを羽織ってからダグに付いて天幕を出た。
◆ ◆ ◆
確かに今日は晴れていていつもより気溫が高い。
暖かい日は魔蟲のきが活化するのでちょっと心配だ。
怪我人と後方支援の人間しか居ないので當然だが、晝間のベースキャンプは人がなくて靜かだった。
ダグは天幕が立ち並ぶ一角を抜け、森の中へとって行こうとする。
「ダグ卿、どこへ行くんですか? そっちは結界魔の範囲外ですよ?」
「合ってますよ、マイア様。ティアラ様がこちらにお連れするようにと」
首を傾げた瞬間、振り向いたダグがマイアの鳩尾(みぞおち)に一撃を加えた。
「……っ!」
突然のお腹への攻撃に息ができない。
ダグは崩れ落ち掛けたマイアの口に猿轡を噛ませた。
そして手足をどこからともなく取り出した縄で縛り上げると、肩の上に擔ぎ上げて森の中へと足を進める。
結界を抜け、魔蟲避けのお香の匂いも屆かない範囲に連れて行かれ――。
「んー! んむーっ!!」
じたばたとできる範囲で暴れてみるが、縛られている上に格のいいダグにがっちりと封じ込まれてどうにもできない。
(どうして?)
ダグは國王陛下に忠実な元騎士で、ずっとマイアを守ってくれた護衛のはずなのに。
訳がわからなくて混している間にベースキャンプから隨分と離れた場所へと移していた。
「上手く連れ出せたんですね。ご苦労様です、ダグ卿」
木々の影から男が三人現れた。見覚えのある兵士たちだ。
――全員魔蟲との戦いで負傷し、マイアが絶的と判斷して四肢を切り落とす処置をした者たちである。
今はティアラに欠けた手足を再生してもらい、全員が五満足になっている。
「ダグ卿、は一応こちらの方に掘っておきました」
「そうか、協力謝する」
ダグと男たちがわす何やら不穏な會話に背筋が冷えた。
「あんたには可哀想だけど死んでもらいますよ、マイア様」
「可哀想なもんか。こいつの能力が足りないせいで俺たちは手足を切り落とされる羽目になったんだぞ」
「違いない。この役立たずが」
兵士たちはマイアに冷たい言葉を投げかけてきた。その眼差しは奇妙な熱を帯びていて、本能的な恐怖が呼び覚まされた。
「……ずっと騎士に戻りたいと思っていました。あの目を失った日から」
ダグがぽつりとつぶやいた。
「あなたにもっと力があればこの二年、あなたの護衛などに甘んじてくすぶる事はなかったんですよ」
その聲はぞっとするほど暗かった。
「消えて下さいマイア様。ティアラ様がそれをおみです」
ダグはそう囁くと、マイアのを暴に地面に放り投げた。
そして腰の剣を振り上げると、容赦なくマイアの左に突き立ててくる。
(どうして――)
熱い痛みを覚え、目を見張ったマイアの目に最後に映ったのは、氷のように冷たいダグの青灰の雙眸だった。
銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者
『銀河戦國記ノヴァルナ』シリーズ第2章。 星大名ナグヤ=ウォーダ家の新たな當主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、オ・ワーリ宙域の統一に動き出す。一族同士の、血縁者同士の爭いに身を投じるノヴァルナ。そしてさらに迫りくる強大な敵…運命の星が今、輝きを放ち始める。※この作品は、E-エブリスタ様に掲載させていただいております同作品の本編部分です。[現在、毎週水曜日・金曜日・日曜日18時に自動更新中]
8 190【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】
とある地方都市に住む主人公。 彼はいろいろあった結果無職になり、実家に身を寄せていた。 持ち前の能天気さと外面のよさにより、無職を満喫していたが、家族が海外旅行に出かけた後、ふと気が付いたら町はゾンビまみれになっていた! ゾンビ化の原因を探る? 治療法を見つけて世界を救う? そんな壯大な目標とは無縁の、30代無職マンのサバイバル生活。 煙草と食料とそれなりに便利な生活のため、彼は今日も町の片隅をさまようのだ! え?生存者? ・・・気が向いたら助けまぁす! ※淡々とした探索生活がメインです。 ※殘酷な描寫があります。 ※美少女はわかりませんがハーレム要素はおそらくありません。 ※主人公は正義の味方ではありません、思いついたまま好きなように行動しますし、敵対者は容赦なくボコボコにします。
8 183DREAM RIDE
順風満帆に野球エリートの道を歩いていた主人公晴矢は、一つの出來事をキッカケに夢を失くした。 ある日ネットで一つの記事を見つけた晴矢は今後の人生を大きく変える夢に出會う。 2018年6月13日現在 學園週間ランキング1位、総合23位獲得
8 1622度目の人生を、楽しく生きる
日本で殺されたはずの少年は、死ぬ前に「次は自由に楽しく暮らせる人生がいいな…」と願いながら命を落とした。 そして次に目を覚ますと……そこは見知らぬ家のベッドで、少年は5歳になっていた、しかし少年には日本での記憶があった。 そこで少年が目にしたのは…剣を腰に差す男性と、手から火を出し調理をする女性だった。 男性は自分は父だと言いと女性は自分は母だと言った。 この2人には全く見覚えがない。 2人は少年の事を見ると口を揃えてこう言った。 「「おはよう、ルージュ!」」 ………いや、誰? どうやら少年は異世界に記憶を持ったまま転生したらしい。 少年は…ルージュは誓う、この世界では、楽しく、自由に生きると。
8 112女神様の告白を承諾したら異世界転移しました。
突然の雷雨、走って家まで行く途中に雷に直撃した。 目を覚ますと超絶美少女の膝枕をされている。 「貴方の事が前前前前前前……世から好きでした。私と付き合ってください。もしダメなら、一生隣に居させてください」 それって?俺の答え関係なくね? 少年にぞっこんな美少女の女神様と怠惰で傲慢な少年の異世界ストーリー。
8 159僕は精霊の王と契約し世界を自由に巡る
僕は生まれながらにして、不自由だった 生まれてからずうっと病院で生活していた 家族からも醫者からも見放されていた そんな僕にも楽しみが一つだけあった それは、精霊と遊ぶことだ 精霊は僕にしか見えなかったがそれでも精霊と遊んでいるときはとても楽しかった 僕は死んだ だが、異世界に僕は転生した! その世界で僕は精霊の王と契約し自由に生きていく
8 180