《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》06 スキル検証

2020.4.4 魔法にルビを追加しました。

2020.4.4 スキル発は『』ではなく【】表記にし、ルビを追加しました。

2020.5.30 ステータスの呪などの素養を調整しました。

「飛行スキル……ってことは、飛べるんだよな。しかし、こんなの人に見られたら、気がふれたのかって思われるぞ」

人の目を避けて、再びバッテンの森の奧にやってきていたマートは、すこし高い巖の上から、地面に向かってジャンプするのを繰り返していた。

一時的にパニックに陥り、見ていないことにした魔獣系のスキルだが、もし本當に使えるとなれば凄いことだ。特に空が飛べるというのは、すごいアドバンテージになる。そう考えなおし、練習を始めたのだった。

何十回跳んだだろうか。彼の想像するようなふわっとするようなじなど全くおこらない。それどころか、そろそろ跳びすぎて足首に痛みをじ始めてきた。

「くそ、だめだ。何かやり方があるのかな?しかし、こんなの誰にも聞けねぇしな」

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ふてくされたマートは、地面に座りこもうとして、何かに気がついた。

「ん?何かいた?」

見落としがないように、慎重に周囲を見回す。そして、30mほど先に1mほどの巨大キノコが生えているのに気がついた。いや、キノコのかさ部分は毒々しい赤に緑の斑點でかなり目立つのに、今まで見落としていたわけがない。

「こいつは、ファンガス……」

ファンガス。キノコ型のモンスターで攻撃をけると菌を吐き、相手を毒狀態にしてしまう。毒狀態のまま治療できないと、その毒狀態にされた人間やは次第に菌に冒されてファンガスになってしまうという恐ろしい相手だ。だが、ファンガス自はそれほど強いモンスターではなく、當たりぐらいしか攻撃手段はもっていないし、知能も低いので、注意深くすれば怖い相手ではない。

「丁度いい、試してみるか」

モンスター相手に使えそうな魔獣スキルは 呪、毒針、爪牙だが、この場合、爪牙は使いにくい。一番遠距離で使えそうなのが呪になる。

『痛覚(ペイン)』

彼はファンガスを遠くから見つつ、呪文の名前らしいものを呟いてみた。

すると、ファンガスがぴょんと飛び上がった。周りに黃い煙が出る。

「お?効いた?」

ファンガスは何が起こったのかよくわからない様子で周りを見回している。

『痛覚(ペイン)』

マートはもう一度唱えてみた。今度は何も起こらない。

「なんだよ、よくわからねえな。連続ではつかえねえのか?しかし、言葉に出すとなにか起こったぞ。よし、じゃぁ【毒針(ポイズンニードル)】」

ひゅっとなにか風を切るような音がした。しかし、ファンガスには何も起こらず、逆にマートに気がついたようだった。

「くそ、気付かれた。でも、胞子は今出したばっかりだ。チャンスだな。じゃあ、これはどうだ?【強化(ボディブースト)】」

彼のに力が溢れるようなじがした。

「おお、すげぇ、じゃぁ、次だ。【飛行(フライ)】」

そういうと、がふわりと浮く。

「いいぞ、なんとなくわかった」

浮いた狀態のまま、いつものように走ろうとしてみる。だが、足は宙を掻くばかりでゆっくりとしか前に進めない。

「いや、わかってねぇ……!!」

ファンガスは彼のすぐ近くまで近づいてきた。

「くわー、やべぇ、降りるにはどうすりゃいいんだ?やっぱり言葉か?下りろ!降下!下!地面!」

マートは思いつくままにぶが、ふわりと浮いたままだ。落ち著かない狀態でなんとか剣を抜き振りまわす。丁度そこに當たりしてきたファンガスは半ば自分からその剣に刺さった。強化された筋力でそのまま剣を持ち上げる。ファンガスはケェーと奇聲を上げて、力盡きた。

「ふぁ……」

安堵して力すると、浮かんだ狀態が解除され、勝手にゆっくりと地面におりた。

「ちくしょう……。焦った」

マートは布切れで汗を拭った。

「まぁ、しかし、なんとなくどうしたら良いかは判ったぞ。飛行はかなりゆっくりっぽいな。でも練習すればもうし早く飛べるかもしれねぇ。毒針は距離が問題なのか、ああ、ファンガスに毒は効かなかっただけかもしれねぇな。そういえば、毒針の毒ってどんな毒なんだ?毒の種類とかもあるのか?あとは、できれば相手に気付かれないように使いたいが、もっと、ちっちゃい聲でも使えねぇかな?」

マートは森の木相手に毒針を使って距離を測り始めた。先程30m離れていた場合は屆かなかったので、10mぐらい離れた木に試してみる。再びプシュっという音がして、目標とした木の幹にまるで針でついたかのようなが空き、そこに明のがほんのしだけ垂れた。距離を離すと、命中度は明らかに落ちて、15mも離れると、木の幹には殆ど當たらなくなった。

逆に木のすぐ前に立って毒針を使ってみると、プシュという音はしなくなったので、距離がある程度近づくと発音はしないことがわかった。その距離はおよそ1m程。試しにボロ布をかぶせて同じようにしてみても、木の幹には微かなが空き、革の袋をかぶせても同じだったが、銅貨をそこに置くと、銅貨には目に見えた傷は殘らず、だけがすこし殘るだけだったので、いものは貫通できないようだった。

そこまで検証をしたところで、丁度ねずみを見つけたので、マートはそのねずみに毒針を使ってみた。そいつはなにも無かったかのように2、3歩あるいたが、その後、キュゥと鳴いて、仰向けにひっくり返り、をピクピクと痙攣させた。

「結構強い毒なのかな。狩りとかにつかえないかも知れない」

毒がに殘るようなら、狩りにつかってもそのは食べられないことになってしまう。あたった箇所を切り取れば良いかもしれないが、今まで使ったじで言うと、木なら明なが殘るので見分けれるかもしれないが、針などが殘るわけではないので、相手では場所の特定が難しそうである。そして、毒針スキルは1度使うと、次が使えるのは1分ほど経ってからだった。

「ゴブリン相手とかなら使えるかもな。でも、皮が厚かったりすると通らないかもしれない」

爪牙スキルは、爪と犬歯が鋭くびたので、木登り程度には使えるかもしれないが、彼にとって見れば剣のほうが便利であり、戦闘に使えるほどではなかった。一度スキルを使うと、しばらくびたままだったが、飛行と同じように元に戻すのはこつを摑めば簡単だった。

強化スキルは使うと、しばらくの間、筋力や素早さが上がるじで、これは単純に戦闘力の強化に使えそうだった。

そして、全てに共通する話であったが、スキルや呪呪文については、発聲は必須だった。ただ、口の中でモゴモゴと小さく言うだけでも使えたので、周りには気付かれない程度には抑えられるかもしれなかった。焦った時には聲が大きくなりがちなので注意が必要ではある。後、スキルや呪文には必要なクールタイムがあり、あまり連続してはつかえないのも判った。

そこまで試して、マートは検証を終えることにした。これ以上は相手が必要だし、夕方に街に帰りつくにはそろそろ出発しなければならない時刻だった。殘りは、討伐クエストなどをこなしたついでに検証しよう。そう考えたのだった。

最後にマートはステータスカードを額に當て、表示をしなおしてみた。魔獣系のスキルはどれもちゃんと1つめの☆が★に変わっていた。

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名前:マート

種族:人間

所屬ギルド

冒険者ギルド リリーの街 ランクC

※以下非表示

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前世記憶:マンティコア

戦闘力評価

訓練所3級

スキル

戦闘:片手剣 ★☆☆☆

短剣 ★☆☆☆

格闘 ★☆☆☆

投擲 ★☆☆

霊: ☆☆☆☆☆☆

:斥候 ★★★☆☆

★★★☆

生活:調理 ★☆☆

音楽 ★★☆

 ★☆☆

魔獣:飛行 ★☆

毒針 ★☆☆

爪牙 ★☆

鋭敏覚★☆☆

★☆

強化★☆

魔法

:痛覚 ★☆

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読んで頂いてありがとうございます。

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