“ほほう、それは面白そうだ。だが、今は商隊の護衛(別の仕事)中だ。後でも行けるか？”

“ふむ、おそらく大丈夫じゃとは思うが…護衛の仕事には數日かかるのじゃろう。お寶の価値は今やっている仕事より斷然上じゃから、普通はそんなのは放り出して先に確保したくなると思うのじゃが、それでも今の仕事を優先するのか？”

“ああ、そうだな。アニスたちには世話になってる。放り出して行ったら、お寶を手にれても、楽しくなくなるじゃねぇか。そんなの意味ねえだろ？”

“なるほどのう。そなた、損な分じゃな。でもよかろう。面白くなってきたぞ。わしが見込んだだけのことはある。では、お寶探しは今の仕事とやらが終わってからにしよう。それまでに、そなたの持っている力をばす手伝いでもするか”

“持っている力をばす手伝い？”

“ああ、まずはそなたの剣の使い方じゃな。それと【強化(ボディブースト)】【毒針(ポイズンニードル)】、他にもスキルがあるのか？”

“他によくわからないスキルは、【飛行(フライ)】【爪牙(クロウファング)】【鋭敏覚(エクステンドセンス)】【呪(ソーサリーマジック)】【霊(シャーマンマジック)】といったところか”

“なるほどな。よし順番に説明してやろう”

魔剣がマートに説明したのは、こんな容だった。

【霊(シャーマンマジック)】

霊を使役する技能。霊との親和度がスキルレベルとなる。

使用するためにはまず、霊と出會い、契約を結ぶ必要がある。

霊によって出來ることが違い、火の霊であれば、に火をつけたりできる他、炎を塊にして相手にぶつける（ファイヤーアローやファイヤーボールなど）、金屬を熱する（ヒートメタル）、炎耐（レジストファイヤー）といったことがお願いできる（お願いできる範囲は親和度による）

【飛行(フライ)】

空を飛ぶことができる。スキルレベルによって飛行速度が異なるが、★２つでは軽く走る程度、★３つで全力疾走よりし早い程度の速度で移できる。

【毒針(ポイズンニードル)】

毒の針を飛ばしたり、近くに居る相手に針を刺したりできる。毒の強度と、攻撃可能範囲、攻撃可能數についてはレベルによって異なる。★２つで普通の人間が即死する程度の神経毒を出すことが出來るが、毒の耐について個差があり、どの程度にするのかはかなりの練を要する。毒の強度を弱めたり、レベルが高くなれば睡眠毒や麻薬に似た効果を持つ毒を出すことも可能。

【爪牙(クロウファング)】

爪や牙がび、鋭さが増す。★１でも薄い鉄の鎧程度なら貫通することができるほどの強度をもつ。

【鋭敏覚(エクステンドセンス)】

★１で暗視能力や遠能力といった視覚、★２で犬貓並みの聴嗅覚、覚を得る。★３まで行くと人が見えない覚（赤外線や紫外線、音波の波など）を得、壁の向こうなども視できる。

【呪(ソーサリーマジック)】

痛覚をじさせたり、幻を見させたりといった五に対する幻覚のほか、歩けない、話せないといった暗示による呪いを與えたり、魔に変させたり死をったりする魔。

【強化(ボディブースト)】

筋力や反神経などを強化して、持ち上げられるものを増やしたり、速度を上げたりすることができる。スキルレベルによって強化度合いが違う。

“へぇ、どれも凄そうだな。でもまだどれも★１なんだよな”

“そのあたりは、どうせ一緒におるのじゃ、剣などもそうじゃが、細かくアドバイスしてやろう”

“口うるさいのは勘弁してくれよ”

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マートがそんなやり取りをしていた頃、後方の馬車では、３人組が馬車に揺られていた。

「お嬢様、シェリーさん、どうもありがとうございました。ほんと、油斷してました。巨大な蜘蛛に食べられちゃうなんてぞっとします」

「どうして、草むらになんて行ったのよ」

「ちょっとトイレに……行きたくなっちゃって」

ジュディに聞かれ、クララは頬を指で掻く

「屋外の、特に町から離れたところでは、いくら街道沿いとはいえ、注意しなくてはいけないということですね。私も今回の件では勉強になりました。そして、斥候役の重要についても再認識しました」

「そうなんだ、シェリーは貓(キャット)と２人で行したのよね。どうだった？」

「あ、はい。彼は凄いです」

「凄いって、何が凄いの？」

「彼はまったくの闇でも目が見えるみたいでした。クララが川から草むらにった足跡にも気付きましたし、クララが引きずられた跡も追跡できたのは彼のおかげです。あの闇で、彼が居なかったら何もできなかったでしょう」

シェリーは、マートが夜営地に報告に向かい、獨りで置いていかれた時の心細さを思い出してぶるっとを震わせた。

「へぇ、シェリーさんは、貓(キャット)ちゃん、お気にりになっちゃいました？」

クララがにやにやしながらそう聞いた。

「はい、彼は頼りになります」

真面目なシェリーの言葉に、クララとジュディは目を合わせて肩をすくめた。

「じゃぁ、貓(キャット)ちゃんは合格ですね」

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以降の行程では、特に襲撃などもなく、フィンレイたちの商隊とアレクサンダー伯爵の次であるジュディの一行は、予定通りリリーの街に到著した。

「貓(キャット)、次の仕事の予定ってってる？」

護衛連中の解散が済み、報酬をうけとったマートに、ジュディはそう聲をかけた。

「今のところ、予定はってないが、金もったし、ちょっと用事もあるので、２週間程休もうと思ってる」

「そんなに休むの？頼みたい事があるのだけど」

「うーん、上手くいけば１週間ほどで用事のほうは片付くとおもうんだが、しは休みたいしな」

「とりあえず、用事を済ませたら、私に連絡を頂戴。次の仕事れないでよ。冒険者ギルドに連絡先は伝言しておくわ。いいわね？」

「ああ、わかった」

読んで頂いてありがとうございます。

2020.5.30 飛行技能、鋭敏覚の説明をすこし書き足しました。