《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》47 跡地下出3
2020.9.14 剣技 → 闘技 に変更しました
マートが2人を助けようと祭壇の傍まで移した途端、彼は祭壇の前に、見慣れぬ男が1人立っているのに気が付いた。アニスとアレクシアが倒れているのはその男の足元だ。
「何者だ?急に湧き出てきやがって」
マートは、剣を握り直し、その男に警戒しながら尋ねた。
「こやつ、儂が見えるのか。くそ、貴様らこそ何者だ。急に現れて、儀式の邪魔をしおって、あともうしで1000目の生が終わるところであったのに。また最初からやり直しではないか。半年かかったのだぞ」
男はかなり不機嫌そうにそう言った。
「ああ、見えるね。そうか、お前さんが姿を隠してアンデッドを作ってたのか。やり直しとか冗談じゃねぇ」
「儀式を中斷したくはなかったが、ここは始末するしかないか。小僧、黙れ」
『痛覚(ペイン)』
その男は無造作にマートに魔法を放った。マートはそれに合わせて意識を集中し、魔法に抵抗する。
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「ほう、抵抗できるのか。このリッチの生まれ変わりたる儂が放った魔法に耐えられるとは、余程高い魔法の素養を持っていると見える」
「リッチの生まれ変わり…だと?お前さんは生きてるじゃないか。そうか、生まれ変わり……」
リッチというのは、高位の魔法使いがアンデッド化したもので、魔法のより高みを目指すために手段を選ばぬ存在であることが多く、人々に災害級の被害をもたらす存在として知られている。もちろん、高位の魔法を使うため、普通の人間では手も足も出ないほどのモンスターだ。しかし、目の前の男はアンデッドではない。
「なんだ、あんたも生まれ変わりか……」
小さな聲でマートはわざとそう呟いた。ショウたちには聞こえないぐらいの音量だ。
「あんたも?そなた、あんたもと言ったな。ということはお前も前世記憶があるというのか。それで魔法の素養も高いのか。なるほど、それならば儂の魔法に抵抗できたのもわかる。その目……貓に似た姿で魔法も使えるとなるとケット・シーか?それとも、貓じゃなく、ライオンか。それならば、キメラ、マンティコア……」
マートは黙ってそれを聞いている。
「ならば、力を貸せ。我ら生まれ変わりは、その魔の特徴をに宿し、忌み子としてい頃から迫害されることが多い。儂が儀式を完し、リッチからさらに進化を遂げ、デイモスリッチになった暁には、我が王國を築き、生まれ変わりが支配する國となるのだ」
橫目でシュウたちの戦況を見ながら、マートは反撃のタイミングをうかがう。
「あくまで前世記憶だろうが、お前自がリッチではないんだろう。魔として進化するのかよ」
「ゴブリンが、ホブゴブリンになるのは確認できておる。確かに儂はリッチではないが、そうやって前世記憶の魔が進化するのは確認済みじゃ」
“魔法は凄いのじゃろうが、捌きをみると、接近戦はたいしたことが無さそうじゃの。リッチというのは、そのものが存在せぬ。その加減かのう”
魔剣がそう呟いた。
「リッチが進化するには、アンデッドを作ればいいのかよ」
「ああ、リッチは死者の王と呼ばれるアンデッドじゃ。アンデッド生、支配は魔であれば習得できるが、リッチはそれが特に優れておる。前世はわからぬが、一般的にモンスターは優れておるスキルを極めることにより進化すると言われておる」
「ほほう、なるほどな」
「もし、そなたも魔獣を前世に持つのなら、これほど近くに祭壇をじ、不死のオーラに接しておれば、初歩ぐらいはに著けたのではないか?」
「馬鹿な。そんな能力要らねぇ」
“うへぇ、こんな時間かけるんじゃなかった。さっさと片づけるぞ。加速頼むぜ”
“わかった”
『加速(クイック)』
魔剣が呪文を唱えると同時に、マートは一歩踏み込む。
<暗剣> 直剣闘技 --- 相手の死角に回りこんで斬る
斬られるのを予想していなかったのか、男は何の反応も出來ぬまま、その首がとんだ。
「まだだ」
殺したはずの男の聲がした。とんだ首は、霧となって消えた。何かの代わりか幻覚か。そのための呪文を自分にかけていたらしい。しかし、聲のする方向には、別の実が存在するはずだ。
【毒針(ポイズンニードル)】
マートは、聲を頼りに毒針を打ち込んだ。うっとうめき聲がした。手ごたえをじてマートがそちらを見ると、男が驚いた顔をして立っており、そのまま、その場に崩れ落ちた。
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