《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》74 ラシュピー帝國へ
2020.9.27 つじつまが合わない部分がありましたので、一部書きかえました。
(ちょっとした事件を → この間の地下跡にクランの仲間を助けに行った時の事を
(そんなことがあったのね。 → すっかり有名人じゃない。・・・以下略)
出発の朝、王都の北門に向かう道中で、マートはジュディに尋ねた。
「お嬢、何か不機嫌だな。どうしたんだ?」
「ねぇ、貓(キャット)、水の救護人(ウォーターレスキュー)って何?どうして、ライラ様が貓(キャット)を知ってるの?」
「いや、この間の地下跡にクランの仲間を助けに行った時の事を、遊詩人たちがネタにしてるのさ。俺もリリーの街でよく謡われてたのは知ってたが、王都でまでとは全然知らなかったんだ。それも、お嬢は俺が泉の霊(ナイアド)と契約してるのは知ってるだろ?どうして俺がシェリーの従者になったっていう話を聞きつけたのかはしらないがな」
そう言いながら、マートは、自が話題となっていることを簡単に話した。
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「ふぅん、すっかり有名人じゃない。なるほど、そんな風になってるのね。水中呼吸に耐寒は、たしかに真理魔法では聞かない呪文だけれど…。水の救護人(ウォーターレスキュー)の話を私が知らなかったのは納得がいかないわ。帰ってきたら、そのサーガを細かく聞かせてね」
「ああ、構わないぜ。ん?門のあたりが騒がしいな」
王都の北門には、完全裝備の騎士が10騎整列し、その脇に輜重用と思われる馬車が4臺並んでおり、その前にライナス・ビートン子爵が、これも完全裝備で待ち構えていた。
その橫には、馬車の橫で灰のローブを著たブライトン男爵が、2人の従者に荷の點検を任せてりっぱな裝丁の本を読んでいた。
「まだ、時間には早いけど、もう揃ってるみたいね。シェリー、貓(キャット)、そしてアレクシア 気を付けてね。帰ってきたら、今度は私の杖の材料探しよ」
「お嬢様、行ってまいります」
「ああ、わかった。お嬢も魔法の勉強頑張れよ」
「はい、行ってまいります」
シェリーを先頭に、彼の馬と、荷を積んだロバをマートとアレクシアが曳き、一行は、調査隊を率いるライナス卿に挨拶に向かったのだった。
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「シェリー殿は、アレクサンダー伯爵家の騎士団に所屬されておられるのだな」
「はい」
「アレクサンダー伯爵家は、わがワイズ聖王國の東の守りとして勇猛で知られる家だ。今回の調査隊の參加に謝する。よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いいたします。ビートン子爵の武闘大會でのご活躍はかねてから伺っておりました。私自は伯爵家の大會しかまだ參加したことはありませんが、今回ご一緒できることを大変栄に思っております」
「ほほう、伯爵家の大會ではどれほど?」
「いつも準決勝か準々決勝といったところでしょうか」
「その若さでそこまでとは、すばらしい。伯爵家の騎士団長だったランス卿の息子のアゼル殿と武闘大會で戦ったことがあるが、なかなかいい剣筋だった」
「アゼル殿とは領でよく手合わせをしております。勝敗は五分五分というじです」
「それはそれは、今回の調査旅行での楽しみが増えた。日々の鍛錬を一緒に」
「はい、よろしくお願いします」
「では、出発するぞ。シェリー殿の荷はロバ一頭のみか?」
「はい、あとは従者2名が運んでくれています」
「そうか、かなりの軽荷のように見えるが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「よし、では出発しよう。とりあえず騎士たち6騎が進み、その後ろに私と輜重隊、後ろを4騎が守る隊列を想定しているので、シェリー殿は、私と一緒に。ブライトン男爵の馬車と他の貴族の方々の馬車は輜重隊と一緒に進むらしいので、従者も彼らと一緒に進むようにしてくれたまえ。本日は、ワインバーグの街まで移する予定だ」
「わかりました」
「騎乗!」
ライナス卿が合図をすると、騎士たちは一斉に馬に乗った。彼らの錬度は高いようで、隊列が崩れることもなく、旅は順調に始まったのだった。
読んでいただいていありがとうございます。
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