《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》379 推察
さらに調査をつづけたマートだったが、調査員の姿を見つけることはできなかった。とりあえず一區切りついたところで、再びアレクシアと連絡をとろうと使われていない部屋の天井ちかくの片隅にを隠した。
既に火の巨人《ファイヤージャイアント》が生み出されている可能があることに気が付いた彼はし焦燥をじていた。最上位種であり伝説の存在であったはずの霜の巨人(フロストジャイアント)、嵐の巨人(ストームジャイアント)、火の巨人《ファイヤージャイアント》、そのうち2を人間側は倒すことに功した。だがその進化條件を殘る霜の巨人(フロストジャイアント)は知っているのかもしれない。蘇生したことにより退化した嵐の巨人(ストームジャイアント)があの島で進化を遂げようとしたのも、この地下深くの割れ目を覆う、いや割れ目を守る建を作りあげたのもそのせいかもしれないのだ。
元來、巨人族は蠻族の中でも圧倒的な力を持つものの知能は低い存在とみなされてきた。だが、1の巨人が高い知能をもつドラゴンの前世記憶を持つことによって霜の巨人(フロストジャイアント)が生まれた。その結果、人間はワイズ聖王國とハドリー王國に分かれて爭い、それ以外の地域は蠻族の手に落ちるような危機となった。再び火の巨人《ファイヤージャイアント》や嵐の巨人(ストームジャイアント)が生まれればここまで積み重ねてきたこともまた元のようにひっくり返されてしまうかもしれない。
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“そのように焦る必要はあるまいよ。その前提であるドラゴンの前世記憶を持つこと自何百年に1度のことよ”
“だけどよ、霜の巨人(フロストジャイアント)だけじゃねぇんだ。火の巨人《ファイヤージャイアント》はともかく、嵐の巨人(ストームジャイアント)はドラゴンの前世記憶を持ってたぜ。何百年に1度が続けて起こったのかよ”
長距離通話用の魔道を取り出しながら、マートは魔剣からの念話のようなものに苛立ちを隠しきれずにそう答えた。
“そういう偶然が重なった事も人間はあそこまで追い詰められた原因の一つであろう。そういう意味ではマンティコアがディモス(恐怖の)化することも稀有のことぞ。深い叡智をもつ儂でも聞いたことがないわ”
マンティコアはたくさんの知ある生を倒すことによりヒュージ(巨大な)マンティコアに進化するということは聞いたことがあった。そしてディモスはふつうリッチやスペクターといった特別なアンデッドに起こる進化であり、ディモス(恐怖の)マンティコアになったという話はマートもたしかに聞いたことはなかった。
“そりゃそうだがよ……、わかった。その話は後だ”
自が稀有のことだといわれて、マートは偶然が過ぎるとは言いにくくなった。とりあえず長距離通信の魔道の耳にあたる部分をタップして小聲で通信を行う。すぐにアレクシアが出た。
「わりぃ、まだ全部は見回れてないんだが、とりあえず1階に5人の姿は無かった。し休憩してから2階に……」
「マート様、お喜びください。5人と連絡が取れました。降下の途中で危険をじてその場で息をひそめ時間を過ごしていたため連絡が取れなかったそうです。2時間程前に潛を斷念して裂け目の上に戻ってきたとの連絡があり無事が確認できました」
アレクシアの言葉にマートは安堵した。あとは3人の救出だが、あそこにはゴブリン、せいぜい居てもホブゴブリンかゴブリンメイジだ。大して手間はかかるまい。
「わかった。3人の救出は俺が……」
「いえ、我々にやらせてください」
急にワイアットの聲が聞こえた。アレクシアの橫で聞いていたらしい。今回の失敗を余程気にしていたようだ。確かに夜は巨人族のほとんどは寢ていてゴブリン族だけのようだが……。マートはし考えてからわかったと答えた。全部自分がやるのは良くないと考え直したのだ。
「蠻族の拠點の真っただ中だ。しっかり作戦を考えろ。だが、あの3人はかなり寒がってた。凍死の可能もあるから余裕はねぇぞ。期限は巨人族が起きてくる夜明けまでだ」
「わかりました。頑張ります」
マートはじゃぁ帰り際に3人の様子を見てから……、そんなことを考えながら通話を切った。だが、その途端に頭の中にニーナの聲が響いた。
“やった。チャンスだ。そのタイミングで霜の巨人(フロストジャイアント)を狙おうよ!”
マートは思わず眉をひそめ、頭を抱えた。この戦闘狂(バトルジャンキー)め……
“だって、どうせこの巨人の里に人間が忍び込んだっていうのはバレることになるんだよ。それだったら同じ事じゃないか。この程度の警備狀況なんだし、他の人(足手まとい)がいるんならともかく、僕たちだけならたとえ失敗しても逃げ出すことは可能だよ。今から萬全の襲撃制が作るのはどうせ無理なんだからさ。それなら試してみようよ。こっちで騒ぎを起こせばワイアットたちは楽になるしね”
逃げ出すことは可能だという大前提がそもそもどうかと思う。マートはため息をついた。
“じゃぁ、様子を見て、あとは騒ぎだけは起こそうよ。ワイアットたちのため、ねっ”
しぶしぶマートはしばらくこの建で夜明けを待つことにしたのだった。
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