《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》392 作戦會議

翌日、晝過ぎになってローレライ城では、主だった連中を集めて會議が開かれた。新しく見つかったオーラフ島に関する報共有と霜の巨人(フロストジャイアント)の対策に関する事が主な議題だ。

「ホブゴブリンの話だと、島の巡視は一週間程前に始まったようだ。5つほどのグループが蠻族側のこの島の本拠地となっているダオチンと呼ばれる集落を出発してぐるっと40日ほどで回る予定だったみてぇだな。ダオチンってのは山頂の球の建築の近くに築かれてるやつだ。巡視の切っ掛けは獅子頭島や火口湖島に俺たちが侵したからだってよ。本土から離れているからといって安心はできねぇから一度見回れって命令されたらしい」

マートはホブゴブリンの記憶を奪取した結果わかったことをあくまで聞き出したことのように皆に伝えた。マートが呪呪文を使えることは婚約者たちのほかはごく一部しか知らないことなのだ。

「アンソニーの記憶を覗いたことによっての影響ではなかったのですか? そちらを心配していたのです」

Advertisement

ワイアットがし申し訳なさそうな口調で尋ねた。

「ホブゴブリンレベルが知ってる容からだとそれはわからなかった。なくとも表面的には違うようだな」

マートの答えはそれに対して特に脅威でもないといった風だった。つかまった兵士や調査隊が記憶奪取をされる可能については何度も考えられてきたことだった。

「では、どうする? そのダオチンとやらには霜の巨人(フロストジャイアント)がいるのかい? どうせマートの事だから集落についてはおおよそ聞き出したのだろ? 奇襲して止めを刺せればいいんだけどねぇ」

マートは首を振った。

「地理はなんとなくはわかったけどよ、霜の巨人(フロストジャイアント)がどこにいるかまではわかってねぇな。まだ奇襲するには材料が足りねぇ。もうり付いて……」

自由なじで話をし始めた2人を見て、アレクシアが立ちあがった。

「マート様、アマンダ様、しお待ちください。もうすこし狀況を整理しましょう。バーナード様、跡から何かわかったことはありますか?」

指名をけて、バーナードはし驚いた顔をして眉から左右にびたを摘まんで捩る。そしてし考えこんだ後、巨をゆすりながらゆっくりと立ち上がった。

「んー、まず海に転落していた跡は超巨大な魔導裝置、いや施設というべきか、それの一部だったみたいだよ。おそらくだけど、あの山の尾に並んでいる大小の球の建、それぞれが役割を(モジュール化)持っ(され)て全で一つの何かの働きを持っていたようだね。殘念ながらその働きが何かというところまではまだわかってない」

多くの者が一様にそれはどういうことかというような顔をして首を傾げた。

「んー、難しかったかな? とりあえず一つの大きな魔導裝置だとおもってくれればわかりやすいかも。それぞれの大小の球はそれの一部にしかすぎないんだ。一応、その大小の球の建に関しては地図がみつかったので、アレクシアさんのところには屆けてあります。それぞれの建の説明についての資料を今解析中だよ。あと、兜ぐらいのサイズの銀の球の魔道については魔石を作る魔道だった。砂を注いで1時間程経つと魔石がころんと出てくるんだ。すごい魔道だよ。ただし晝間じゃないとかないんだ。それらの仕組みについても現在調査中。建とこの魔道とは同じ球形なんだけど、その類似に意味があるのかどうかについてもまだわかってないんだ」

「そうなのか。霜の巨人(フロストジャイアント)のこの島にくる目的が何なのか。食料などを増産しようとしてるのか、それともこの跡、魔道施設にかかわりがあるのか、それによってどうするのかは全然違ってくるんだがなぁ」

マートはため息をついた。

「あと、問題が一つあって、あの資料や魔道を回収した部屋には直接転移ができません。これについては研究所と同じ狀況です。エリオット様から転移でしかったことがなく外に直接出れない場所についてはうまく座標が特定できず転移ができないのかもしれないという仮説が出ています」

「あー、そうなのか。そういえば研究所から転移はできたが、研究所への転移はできなかったな」

マートは思わず落膽の聲を上げた。つまりあの部屋につないだままの魔法のドアノブは外すことができないということらしい。調査が終わるまでは仕方ないようだ。

「お嬢、パーカー一族ってのはどうだった?」

マートに尋ねるとジュディが首を振った。

「全然わかんないわ。集落らしきものはまだ見つかっていない。探索は時間がかかりそうよ。森で出會った猟師はピール王國については何も知らない様子だった。でも彼が言ってた昔から森にいた男については接を試みても良いかもね」

「ピール王國か。結局獅子頭島もピール王國に関わりがあったのかもしれねぇな。ってことは蠻族がほかにもどこかの島を領地にしている可能ってのはあるんだろうか。それならそっちの調査もしないといけない事になるんだが……」

その呟きにのパウルが立ちあがった。

「ワイアット様やアマンダ様による人間奪還の遠征に同行したが襲撃した蠻族の集落に備蓄されていた食料について最近はかなりなくなっているという報告が來ています。その事からするとこのオーラフ島での食料生産を抑えれば蠻族側はかなり苦しくなる可能が高いです。ということであれば、ほかの島を調査する必要は低いのではないでしょうか」

マートは顔をすこし綻ばせた。

「ほほう、火山湖島を制圧した影響が早速出てるってことか? それならもうあんまり大きい島はないってことになるが、萬が一ってこともある。鱗(スネーク)、ネストル。どうせ魔空で待機なんだ。さらに北上をつづけて確認をしておいてくれよ。雰囲気でいうとまだ島があるかもしれねぇんだろ?」

「ああ、いいぜ、貓(キャット)」

長距離通信用の魔道で會議に參加していた鱗(スネーク)は気軽に返事をした。

「じゃあ、俺はお嬢に合流してパーカー一族を探すことにするか。バーナードたちは引き続き解析を頼む。今回は島の人口がかなり多い。いつ騎士団と蠻族討伐隊に出してもらうことになるかもわからねぇ。殘った連中はいつでも軍勢を出せるようにしておいてくれ」

會議はまだしばらく続いたものの、新たな事実などは出てこずそのまま解散となった。マートはアレクシアとし打合せをした後ジュディたちと一緒に西の森に向かったのだった。

読んで頂いてありがとうございます。

誤字訂正ありがとうございます。いつも助かっています。

いいね、評価ポイント、想などもいただけるとうれしいです。是非よろしくお願いします。

2022.6.1 誤)そういえば研究所からの転移はできなかったな

正)そういえば研究所から転移はできたが、研究所への転移はできなかったな

※ 転移先としてうまく指定できないのでした……書き間違いです><

    人が読んでいる<貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください