《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》402 夜襲3
アマンダは魂のびの効果で萎している自分の倍以上の背丈のある丘巨人(ヒルジャイアント)の足元を得意の矛で薙ぎ払った。相手はたまらず後ろに倒れる。
「こりゃぁ、なかなか良い時に來れたもんだ。マート、こいつらは頂くよ」
丘巨人(ヒルジャイアント)たちはアマンダの魂のび(ウォークライ)に萎してけない様子だった。彼は無造作に巨人どもを薙ぎ払い前に進んでいく。アマンダに続いて背中に羽が生えていたりして空を飛ぶことのできる蠻族討伐隊の面々が次々とアマンダの背後に著地し霜の巨人(フロストジャイアント)の呪文で吹き飛ばされたパーカー騎士団のけが人は後ろに運びそのを埋めていく。
「アマンダ、助かった。でも気をつけろ。そっちには霜の巨人(フロストジャイアント)が居る。前線は任せるぜ」
「あいよ」
マートは立ち上がると剣を収めて弓に持ち替えた。軽くステップを踏んで下がるとふたたび牽制とゴブリン退治に戻る。
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「助力ありがどうございまず」
マートに庇われていたリディアも立ち上がった。パーカー騎士団の面々も蠻族討伐隊を迎えれて丘巨人(ヒルジャイアント)たちに対抗し始めた。彼自は頭を何度か振ると騎士団の面々に指示をしながら、盾と剣を構えつつアマンダの橫にまで進み出た。アマンダはにやりとする。
「私(あたい)に並ぼうなんて、なかなかいいね。リディアって言ったか。巨人とずっと戦ってきたらしいね」
「ばい、並ばぜでぐだざい。蠻族をなんどがじだいのでず」
橫に並んで戦い始めた2人の前に海の巨人(シージャイアント)がでてきた。丘巨人(ヒルジャイアント)は長が5mほどあるが、さらに一回り大きい。6mは超えているだろう。以前、ダービー王國の舊王城で蠻族討伐隊1番隊100人がかりでも苦労した相手だ。
「ふぅん、やってみな」
アマンダは勝手にすれば良いというじで自分の戦いを再開し始めた。矛の石突でなんども海の巨人(シージャイアント)を突くそぶりをした。海の巨人(シージャイアント)はアマンダのことを知っている様子だった。警戒して右手のこん棒でそれに合わせるようにしアマンダもなかなか攻撃する隙が見つからない。そこにリディアも剣を振って割りった。アマンダに気を取られていた海の巨人(シージャイアント)の足を深々と切り裂く。
「ギャヒー」
海の巨人(シージャイアント)は苦痛の聲を上げてその場でよろめく。
<溜突> 槍闘技 --- ダメージアップ
アマンダはその隙を逃さず思い切り矛を海の巨人(シージャイアント)の板に向けて突き出した。矛の穂先の元あたりまで深々と刺さる。
「ざずが!」「へぇ、やるじゃないか!」
リディアとアマンダの聲が錯し、お互い微笑む。
「よし、次に行くよ。もうすぐシェリーたちも來るだろう。巨人どもを狩りつくすよ」
そう話している2人の背後で空間が揺らめいた。マートが慌てて時間を確認する。ローレライ城からの増援のための転移門が開く時間だった。果たして、空間の揺らぎの先に見えたのは見覚えのあるローレライ城の中庭の景だった。
「増援も來たぜ、わざわざ霜の巨人(フロストジャイアント)も転移して來てやがる。やつの呪文の再使用時間(クールタイム)はまだのはず。今日こそ止めを刺すチャンスだ。一気に倒すぞ」
マートの激が飛ぶ。騎士団第1大隊の増援が転移門からつぎつぎと現れ、オズワルトの守る広い通路、そしてリディアとアマンダが守る細い通路に向かって素早く馬に乗って駆け出していく。戦況は変わり蠻族たちを押し始めた。
転移門を最後に抜けてきたのは者であるジュディの他、ライラ姫、マシュー達神だった。基本的にローレライ侯爵家だけの戦いではあったが、ライラ姫はワイズ聖王國として神を派遣することを調整したのだ。さすがに第1陣では危険ということで狀況が安定するであろう第2陣での到著となった。ほかの戦場にも何人かづつは到著しているはずだ。
「お嬢、ライラ、なんとか予定通りに行けそうだぜ」
「よかったわ。ほんと、私も先に來たらよかったってずっと思ってた」
「よかったです。一時期はどうなることかと心配していました」
彼たちをマートはぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫。あとしだ」
「はい、マシュー様、神様たちは私たちがお守りします。治療をよろしくお願いします」
ライラ姫は頷くとマシュー達神と共に治療が必要な騎士や従士たちの手助けを始めた。ジュディもマートの橫で魔法の援護を始める。もうすぐ太が頭を出すだろう。あたりはかなり明るくなりはじめている。
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