《貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】》403 夜襲4
最後の転移者であるライラ姫やマシューたちが移したあと、転移門が靜かに揺らめきゆっくりと閉じていった。マート配下の軍勢は最初に転移してきた500名に加えて、今転移してきた500名で併せて1000名となり、これで元から想定していた兵力のほぼ半分が転移してきたことになった。
もちろん最初の500名が全く無傷という訳ではないが、蠻族側も奇襲をけてかなりの損害を出している。霜の巨人(フロストジャイアント)が移してきた転移門でどれぐらいの數が増援として転移してきたのかは不明だが、人間側は他の2ヶ所でも同じように戦力が補充され兵力としてはかなり有利な狀況になったはずだった。
「ギャギャギャヒッ……(何をやっている、人間など我等巨人相手にどれほど集まろうと大したことはあるまい。裏切り者の元魔龍王なども一ひねりにせよ。それに儂には奧の手がある。ここではなっ)」
霜の巨人(フロストジャイアント)が大聲でぶ。
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「ちっ、まだ奧の手をもってるっていうのかい」
蠻族の言葉がわかるアマンダが不安そうに呟いた。今まで霜の巨人(フロストジャイアント)は何度も罠を仕掛けてきた。しぐらい優勢になったとは言ってもなかなか安心できない。
続けて霜の巨人(フロストジャイアント)が大聲でんだ。
「Subitis occurrit. Subeuntes eliminate」
皆、それの意味がわからない。その次の瞬間、マートたちローレライ騎士団、蠻族討伐隊、パーカー騎士団が戦っている中に混じるように人型のものが転移してきた。マートはそれに見覚えがあった。一度海底の跡の中で戦ったことのある守護(ガーディアン)ゴーレム。それもかなりの數だ。他の戦場はわからないが、マートの見える範囲だけでも100は超えているかもしれない。それがマートたちの軍勢の中にばらばらと転移してきたのだ。
マートはなんとなく霜の巨人(フロストジャイアント)の言った言葉の雰囲気に聞き覚えがあるような気がした。
“ピール王國の古代語じゃ、『急事態が発生した。侵者を排除せよ』 と言っている”
魔剣が念話を送ってきた。たしかに以前守護(ガーディアン)ゴーレムを停止させたあと、魔剣に言われて使った命令の言葉、それに雰囲気が似ていたのだ。同じようなことを巨人連中も行い再起して命令に従うように刷り込んだのか。それも、命令ひとつで転移させれるとは……。
守護(ガーディアン)ゴーレムはそれぞれの手近にいた人間側の騎士や戦士、従士たちに毆りかかり始めた。マートのすぐ傍に転移してきた守護(ガーディアン)ゴーレムも居て、そいつはマートにいきなり足蹴りを放ってきた。武は持っていない様子だったが、首の後ろにあるはずの急停止ボタンにはカバーが被せられ押せないような細工がなされていた。
「くそっ、こいつはぇんだよ……」
マートは守護(ガーディアン)ゴーレムの回し蹴りをとっさに弓を放り出し、代りに抜いた剣でけ流した。続けて左手も剣を抜く。守護(ガーディアン)ゴーレムのきは素早く、かなり高い片手剣のスキルがあるマートでも近くに居るジュディを庇いながらでは攻撃をかわすだけで一杯だ。
「マシュー様っ」
ライラ姫の悲鳴に似た聲が聞こえる。彼のすぐ橫にはマシューや他の神たちも居る。皆、魔法は得意だが接近戦はほとんど駄目だ。そこにも複數の守護(ガーディアン)ゴーレムが襲いかかろうとしていた。
「ニーナ、ウェイヴィ、ブレイズ、フラター頼むっ」
「まかせてっ」「はーい」「うむ」「はいっ」
マートは左手を突き出した。ミスリルの仮面を被ったニーナが、そして、泉の霊(ナイアド)のウェイヴィ、炎の霊(サラマンドラ)のヴレイズ、竜巻の霊(トルネドラ) フラターが次々と姿を表す。彼たちは守護(ガーディアン)ゴーレムたちの前に立ちふさがった。
「ギャヒヒ、ギャ……(人間どもを倒せ。今転移門は閉じたばかり。すぐに転移はできぬはずだ。ここに居る連中を倒せば我らは逆転できる! 突撃せよ)」
霜の巨人(フロストジャイアント)が脇に控えていた海の巨人(シージャイアント)と山の巨人(マウントジャイアント)に命令をした。彼らは雄びを上げ、真っすぐにアマンダとリディアが戦っているところに向かってきた。その後ろには丘巨人(ヒルジャイアント)も多く居る。2人は防陣形を指示しようとしたが、蠻族討伐隊、パーカー騎士団共に急に現れた守護(ガーディアン)ゴーレムに混しておりとっさに反応できない様子だった。
「ちっ、なんとしても食い止めるさ」
アマンダが矛をぎゅっと握りしめる。
マートが守護(ガーディアン)ゴーレムの拳をかわしながら、何か思いついた。
「リディア、あれだ、あれを試してくれ。後で使うかもしれないから持って來ておいてくれといった、あれだ」
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