《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》01.魔導師になるはずだった

主人公の髪を、エメラルドグリーンからアップルグリーンに変えました。ちょっとらかい印象に変えたかったので……

私はデイジー・フォン・プレスラリア。ザルテンブルグ王國の子爵家の次、もうすぐ五歳。アップルグリーンの髪に、アクアマリンの瞳。プレスラリア子爵家の王都の屋敷に住み、暇があれば植図鑑や薬草図鑑を読み耽り、時には我が家の庭師にくっついて歩いている。私は、きちんと問いかければ答えてくれる、植というものが大好きだった。

「今年の薔薇はとても花の數が多いし、しいわ。見事ね」

お母様が、庭のバラをほめていた。

「恐れながら、今年はお嬢様も薔薇の世話にご興味をお持ちになられ、それは丁寧に薔薇の生育の様子を見守り、手當てなさってらっしゃいました。きっとそれにバラも応えたのでしょう」

お母様は微笑んで私の頭をでてくれた。

実は私は、植好きが高じて、まだあまり高レベルのものでは無いが、後天的に【鑑定】スキルが芽生えた。だから、植の様子を見て効率的にケアができるのだ。

例えばこんなじ。

【薔薇】

元気がない。小さな芋蟲に若葉を食べられている。

人間だったらこんなじ。

【デイジー・フォン・プレスラリア】

子爵家次

力:10/10

魔力:150/150

職業:なし

スキル:鑑定(3/10)

でも、みんなスキルを見られて嬉しいことは無いだろうと思って、覗き見をすることは滅多にないけれど。

話は変わって私はもうすぐ五歳。

私たちの國には國民全員が五歳になる年に、洗禮式をけることが義務付けられている。その時に、みな神に職業を與えていただくからだ。

ちなみに、私たち貴族にとって洗禮式は、將來の職業や結婚の優劣に至るまで影響がある大事な儀式である。まれるのは剣聖や魔師などの國を守る力を持つ職業や、優秀な文職。こういった職に當たると親も喜ぶし、こういう職業は親から子へ伝することも多いので、本人も就職に有利かつ結婚相手として引く手數多になるのだ。

そして私の家は優秀な魔法使いを輩出してきた家柄である。お父様は、魔導師団の副師団長をしていて、お母様も、魔力の才能がかなり高かったそうだ(直ぐに結婚してしまったが)。一人ずついる兄様、姉様も、職業は魔導師を與えられ、將來を期待されている。

……私も、當然『魔導師』を與えられるだろうと期待されていた。

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