《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》28.あまーいパンを作ろう
お父様とお母様から、ワインのお墨付きも頂いた。
そのため、國王陛下へ獻上させていただく日取りの打診をお父様にお願いすることになった。
「デイジー、獻上品に、『ふんわりパン』も加えてはくれないか?」
その日の勤務を終えて帰ってきたお父様が、意外なことを口にした。
私たちは會話の場を居間のソファへ変えた。
「あれ?パンはなしって話だったんじゃ?」
ソファに腰を下ろしながら、私は不思議に思って首を傾げる。
「陛下の侍従長に、面會の調整をお願いしていたら、ちょうど陛下ご自がお見えになってね。ワインを獻上したいというお話を直接お伝えしたんだよ。そしたらね、『その本を見て作ったものはワインだけなのか?デイジー自はあの本を楽しんでいないのかい?』と尋ねられてね」
お父様は事を話しながら、疲れた様子でソファの背もたれへ重を預けた。
「それで、陛下に『ふんわりパン』のお話をすることになったと……」
私の言葉に、うん、とお父様は頷いた。
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「陛下のご家族は、王妃殿下と、第一王子殿下と、第一王殿下の四人でしたっけ?」
「ああ、そうだよ。それぞれ六歳と三歳になられるお子様がいらっしゃる」
……そうするとふんわりパンだけでもいいんだけれど、もっと小さな殿下方が喜ぶようなものもしいなあ、と私にが出てきた(王子様は同い年だけれど!)。
ちなみに獻上の日は、陛下のご都合が埋まっている関係で、一週間後に決まったそうだ。
◆
「そういう訳でね、一回でパンは八個できるわけだから、半分は何か工夫を加えたパンにしたいのよね」
私は、実験室の椅子に腰かけて、リンゴをベースにした酵母のもとがった瓶を振りながら、マーカスに相談していた。今日は良い林檎が手にったのだ。
「王子様たちが喜ぶようなもの……甘いもの?ひらべったくしたパンに乗せる?それとも生地に混ぜる?いや、それなりに味しそうだけど、なんか違うなあ」
マーカスが上目遣いに虛空を眺めながら思案する。
「パンと……甘いもの……甘いと言ったらジャムかしら?」
私が答える。
「そうだ!パンにジャムを挾んで焼くんだ!」
思いついた!とばかりにマーカスが機を手のひらで叩く。
「そして、一口食べてびっくり!中からあまーいジャムが現れる!」
マーカスがうっとりとした表で続ける。
「「ボブたちに作ってみてもらおう!」」
私たちは酵母を持って廚房に走ったのだった。
◆
午後のティータイムの時間に、それをお母様と兄様姉様のおやつとして試食をしてもらった。
「うわあ!パンからイチゴジャムがでてきたよ!」
「私はブルーベリーだわ!」
「私はりんごジャムのシナモンがけかしら。こんなパン、初めて見るわね」
『驚き』という意味では、アイディアは大功のようだ。
……が。
「うーん、紅茶がないと、口の中がパサパサしちゃう」
そう言って、お姉様が侍に紅茶のおかわりをお願いしていた。
「もうしこう……ジャムだけじゃなくて、しっとりするものを加えられないかしら?」
お母様も、もうひと工夫がしいらしい。
試作第一品目は、こうして課題を持ち帰ることになったのだ。
◆
今度はボブとマリアを含めて、廚房で四人での反省會となった。
「確かに、これは水分がしくなりますなあ」
ボブも一口食べて湯冷ましを口にした。
「しっとりと言っても、あんまり水気の多いものだとパンがビシャビシャになってしまうでしょうねえ」
頬に手を添えて、マリアも悩み顔だ。
「ジャムをれるのが決まりなら、足すのは甘さが控えめのものがいいわよね……プリンはちょっと固くて違うわね。お皿にれて焼くアレ……カスタードタルト?あれってしっとりらかじゃなかったかしら?」
「あのクリームですか?」
ボブが首を傾げる。
「あれはトロリとしていて、パンに包むのは難儀しませんかね?」
マリアもできるのかといった顔をする。
「あれよ!」
私は『冷蔵庫』を指さした。……と言っても、要は大きな氷をれておくことで庫を冷やすというシンプルな構造の保存庫だ。
「作ったカスタードクリームをトレーにれて冷やせば、し固くなるわ。それを、平たくしたパン生地の上に敷いて、ジャムを乗せる。口を閉じて形を整えれば、カスタードクリームとジャムのったパンができるわ!」
「では、それで二作目を作ってみましょう!明日の午後のお茶の時間に合わせて作りますね!」
ボブとマリアが了承してくれた!
◆
次の日は休日だったので、午後のお茶の時間にはお父様もいらっしゃった。
小さな殿下方向けの試作品の試食をお願いしたいと頼んで、またお茶のお供は甘いパンだ。
「わっ、中からクリームがでてきた!」
真っ先にかぶりついた兄様は、口の端にクリームをつけたまま驚いている。
「あれ、これはパン自もししっとりしているのね」
パサパサが嫌だった姉様も、これは気にったようで、想を述べたあと二口目にった。
「カスタードが甘すぎないから、私にも食べやすいな」
お父様も大丈夫らしい。
「私は、要にそったものが出てきて満足よ。とても味しいわ」
お母様もにっこり。
こうして、ようやく獻上の日に向けた品が決まったのだった。
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