自宅にいる私は、まだ王城で変事があったことなど知らない。

ただ、失敗した実験結果を目の前にするのみだった。

……失敗したのは、糧にしよう。うん。気を取り直して……。

紙に書出して、素材ごとの出條件などを整理してみる。

①毒消し草→下処理不要、沸騰させるとダメ（検証済）

②マンドラゴラの→沸騰させないとダメ？（未検証）

③魔石→としての効果を発揮していない。分が出できていないのでそれ以前？（未検証）

まずは②のマンドラゴラのの出溫度を確認しないとダメだなあ。

私は、新しいビーカーにみじん切りのマンドラゴラのと蒸留水をれて、加熱を始める。

【マンドラゴラのエキス？？？】

分類：薬品のもと

品質：低品質ーーー

詳細：分の出が出來ていない。

もうしたつと、気泡が大きくなってきた。そして、沸騰前まで行っても狀態は変わらない。

そして、沸騰が始まる。

ボコボコと気泡が泡立つ中、マンドラゴラののみじん切りが踴っている。

よし、沸騰させても大丈夫！

ならこのまま続けて……。

【マンドラゴラのエキス】

分類：薬品のもと

品質：高品質

詳細：分は十分出されている。

しばらく煮込むと、エキスをちゃんと取り出すことが出來た！

書き出したメモを訂正する。

①毒消し草→下処理不要、沸騰させるとダメ（検証済）

②マンドラゴラの→沸騰させて煮出す（検証済）

③魔石→としての効果を発揮していない。分が出できていないのでそれ以前？（未検証）

おそらく、毒消し草の出とマンドラゴラのエキスを別々に作り、混ぜたものに魔石をれて、魔石をとして分を変化させる。溫度は沸騰させてはいけないが、それ以外は不明。……ここまでは整理出來た。

……と、その時だった。

バン！と大きな音を立てて、暴に実験室の扉が開かれた。

「お父様？」

私は突然やってきた父に驚いて首を傾げる。だってまだ職務中のはずだ。

「デイジー、解毒ポーションは作っていないか？前に誕生日に毒消し草をいただいたよな？」

お父様は急いで來たのか息も荒く、急に尋ねてくる。

「ちょうど今『強力解毒ポーション』を作ろうと思って実験中ですが……」

「じゃあそれを急いで仕上げてくれ！」

お父様が「よし、これで間に合う！」と、勝手なことを言っている。

……『実験中』と『できる』はイコールじゃない。

だいたい今は試行錯誤している途中で、割り込まれるとすごく頭が混してくる。

「靜かにやりたいので、お父様は居間で待っていてください」

そう言ってお父様を実験室から追い出して、扉を閉めた。

……どこまで進んだかを、もう一度思い出そう。

私はひとつ深呼吸をして、ノートに視線を落とす。

毒消し草の出とマンドラゴラのエキスを別々に作り、混ぜたものに魔石をれて、魔石をとして分を変化させる。

今は、マンドラゴラのエキスが出來たところだ。

次は、毒消し草のエキスを作る。

私は、新しいビーカーにみじん切りの毒消し草となめの蒸留水をれて、加熱を始める。

沸騰直前まで加熱して止めると、エキスが出できた。

【毒消し草のエキス】

分類：薬品のもと

品質：高品質

詳細：分は十分出されている。

毒消し草のエキスの中に魔石をれ、だいぶ冷めてきたマンドラゴラのエキスを加える。

そして、丁寧にかき混ぜていく。

【強力解毒ポーション？】

分類：薬品

品質：低品質ーーー

詳細：複數の分同士が反応できていない。

そのままの溫度であまり反応に進行が見られないので、慎重に加溫していく。

やはり、沸騰前であれば品質の低下は見られないので、そこまで上げて、その溫度をキープする。

【強力解毒ポーション】

分類：薬品

品質：低品質ーー

詳細：複數の分同士が反応し始めている。

うん、このままいけばいけるはず……。

私は、棒でゆっくりかき回していく。

すると。

【強力解毒ポーション】

分類：薬品

品質：高品質

詳細：あらゆる毒を治療する。ただし他の狀態異常は除く。

お父様が急いでいるようだったので、タライに水魔法で氷水を出して、そこにビーカーを浸して素早く冷やす。そして、布でこして、薬をポーション瓶にれた。

二つポーション瓶を持って、お父様が待つ居間に急ぐ。

「お父様！出來ました！」

「でかしたぞ、デイジー！」

お父様は私を抱き上げ頬りする。

「デイジーを連れて王城へ行ってくる！」

お父様は私を抱き上げたまま馬車へ行こうとする。

「お父様、いつもの私のポシェットをとってください」

お願いすると、気づいた侍のケイトが私にポシェットを手渡してくれた。

「ありがとう、ケイト」

私は新しいポーションをポシェットにれて、肩からかけた。

私とお父様は馬車に乗って、王城へ急いだ。