《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》50.石化解除薬を作ろう①
私は、自室で『錬金教本』で、石化の解除について探した。今は機の上にそのページが開かれている。そして、他にも、參考にした本が何冊か開かれたままだ。
うん、見つかるには見つかったのだ、そのページ。だけど、結構大変そうだった。
そのページを見ながら、私はをへの字に曲げて首を傾げ、うーん、と唸る。
材料はこう。
マンドラゴラの→ある
石化の袋(魔の臓)→ない
水(蒸留水)→ある
道はこう。
コイル(金屬製のワイヤから作る)→ない
磁鉄鉱→ない
作り方はこう。
ビーカーの中で作ったマンドラゴラのエキスに石化の袋をれて、その中にコイルをれる。そして、上から磁鉄鉱をコイルに近づける(磁鉄鉱は水にはつけない)。そうすると、コイルの中に見えない『何か』が流れるので、魔力を磁鉄鉱に注いでその『何か』の量を増やす。すると、マンドラゴラのエキスと石化が反応して薬になるのだそうだ。
ちなみに、コイルっていうのは、金屬の針金で作る。針金の中央部分にぐるぐると螺旋狀にした部分を作ったら、それが『コイル』だ。
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また、私たちの住む國では、針金というものはとても高価だ。鍛治師さんが、何度も何度も金屬を熱して叩いてばすことを繰り返して作るからだ。針金は鳥籠にも使われたりするが、一部の裕福な人だけが手に取ることができる高価な品なのである。
そして、『磁鉄鉱』というのは、鉱山などで時々見つかる鉄を引きつける質を持つ石のことだ。普段お目にかかることも、使うこともないものだった。
知らないものも多かったので、『錬金教本』だけではなく、我が家の蔵書もひっくり返しながら探した。と、まあ、調べて理解すること自も大変だったのだ。しかし一番の問題は、作れるかどうかの確証が持てないことだった。
コイルの中を流れる『何か』の正がわからずに、魔力を上手にコントロールできるだろうか?
私は、部屋の花柄のシーツが敷かれたベッドの上に、ぽふんと倒れ込む。ベッドで寢ていた子犬姿のリーフが、私の脇にり寄ってくる。癒されるなぁ。だけど。
……自信、ないなあ。
しばらくリーフの溫もりに癒される。
「リーフ、ありがと」
私はのそりと起きてリーフをでてから、調べたことをノートにまとめて、お父様に相談してみることにした。
「デイジー、本當によく調べたね。がんばったな」
居間でゆっくりしていらしたお父様は、まずここまでの私の頑張りを褒めてくださった。頭をでる大きな手が溫かく、褒めてくださるのもなんだかこそばゆい。私の不安ばかりだった心が、しほっこり暖かくなった。
「それにしても、手困難な品がいくつかあるね。オリバーさんは、商業ギルドの長なのだし、珍しいものについても手する伝は々お持ちかもしれない。我が家へお招きして相談してみてはどうかな」
私は素直にお父様の提案をけれることにした。
お父様はその日のうちにオリバーさん宛に手紙をしたためてくれた。
◆
數日後、オリバーさんが我が家へ訪ねてきてくれた。
オリバーさんが手土産に持ってきてくださった、『ダリオル』という名前の最近王都で流行りだという卵のタルト菓子と、侍が用意してくれた紅茶がテーブルに乗せられている。
私はお父様と並んでソファに腰を下ろし、向かいにオリバーさんが座っている。
「この度は、娘の石化の解除薬を作る手段を見つけてくださったそうで……、本當にありがとうございます。お招きいただいたご用件は、手困難な品についてのご相談ということでしたね」
そう言って、オリバーさんが私に向かって確認をしてくる。
「はい、魔の臓である石化の袋、金屬のワイヤー、磁鉄鉱を手する伝がお有りでしたら、ご協力をお願いしたく思いまして」
そう言って、私はオリバーさんに、その三品をメモした紙を差し出す。
「そうですな、確かにお嬢様には馴染みのない品ばかりですね。磁鉄鉱と金屬のワイヤー、これは私の知り合いから手できるかと思います。石化の袋は、魔の臓なのでタイミング次第ですが、もし在庫がなくとも冒険者ギルドに依頼を出せば良いでしょう。そうですね、これらの材料については、私の方で準備させていただきましょう。揃い次第、お宅にお屆けいたします」
オリバーさんは、笑顔で大きく頷いてくださった。その頼もしい表に、私はほっと安堵を覚えた。
だが、私にはもうひとつ相談しなければならないことがあった。
「必要な材料と機材と方法については、調べはつきました。ですが、私はこの方法で薬を作ったことがありません。おそらく試行錯誤しながら作ることになります。ですから……」
私が俯き加減に言い淀みかけると、オリバーさんが「ではこうしましょう」と、提案を出してきてくれた。
「薬が無事に完して娘の足が治った場合には、功報酬として金貨三枚、殘念ながら薬が完しなかった場合には、手間賃として銀貨五枚をお支払いする。これでどうでしょう」
「失敗した場合もお金をいただけるのですか?」
私は不思議に思って首を傾げる。
「お嬢様、これから商売をなさるのでしたら、貰うものはきちんと貰うようになさらないといけません。たとえうまくいかなかったとしても、お嬢様はその貴重な時間を私の注文のために割くのです。そう言った手間賃も、きちんと料金として含めてお考えになるべきですよ」
私は、こうして生粋の商売人のオリバーさんとの取引の中で、また一つ商人として心得ておくべき常識を學んだのだった。
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