《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》51.石化解除薬を作ろう②

オリバーさんに自宅に來ていただいてから、一週間ほど。

手元になかった磁鉄鉱、石化の袋、そしてワイヤーが屆いた。中でも石化の袋は、仮にそのが破れでもすれば中の毒がこぼれ出て大変なことになってしまう。そのためか、瓶にれられた上に緩衝材として綿でくるんだ上にさらに布で、と厳重に梱包されていた。

……これはやっぱり手でっちゃいけないものだよね。

石化解除薬を作ろうとして、自分が手を石化させたなんて、笑い話にもならないわ。

らないで済む方法、ねえ。

うーん、と腕を組んでしばらく考え込んだ。と、不意に『アレ』に思い至った。

抜きだわ!」

私は思わず口に出してんで、ぽんと手を叩く。

そうだ、お父様やお母様がなりを整える時に使ってるアレだ!

あれならば、抜きの先で摘んで作業ができるから、丁度いいじゃない!

抜きがしいわ!

「……お嬢様、抜きがどうかしましたか?」

そんな時、たまたま通りかかったケイトが、いきなり『抜き!』と居間でぶ私に聲をかけてくれた。ただし、表は若干引き気味だ。そう、殘念な令嬢の突然の奇行を見てしまった、その微妙な表

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「実験をするのに、絶対に手でれないものがあるの。抜きだったら直接らず摘んで作業ができるから、しいなと思って」

子爵令嬢なのに『抜き!』とんだ私自をちょっと恥ずかしく思いながらも、ケイトに余っている抜きがないか尋ねてみた。

「倉庫に予備の品があると思います。奧様に、お嬢様にお渡しする許可を頂いてから、持ってまいりますね。々お待ちください」

理由を説明すると、納得がいったのか、ケイトはすぐにお母様の許可を得るために廊下へと歩いていった。

ケイトは暫くしてから抜きを持って私の元に戻ってきた。

「奧様から言伝です。屋敷と言えど、突然『抜き!』などとはしたなくばないように、とのことです」そう言って、お母様からのお叱りの言葉と共に抜きを渡してくれたのだった。

「黙っていてくれればいいのに……」

私は、屆いた荷の箱に抜きをれ、箱を両手で抱えながらしょんぼりと肩を落として実験室へとぼとぼと歩いていったのだった。

実験室に向かう途中、今日は赤い花のマンドラゴラさんにっこをくれるようにお願いした。彼?はポキリ、ポキリと數本を折って、にっこり笑って葉っぱの手でっこを手渡してくれる。マンドラゴラさんって個によって格が違うのかしら。青いお花さんとはだいぶ違う。

青いお花さんは男の子で、赤いお花さんはの子なのかな、なんて夢想しながら実験室へ向かう。

そして、屋敷の離れの実験室にる。『この実験室にお世話になるのもあと一年とちょっとなのかあ』としんみりしながら、荷を床に下ろして椅子に座る。

蒸留水は、いつものようにマーカスが準備してくれていた。

『さあ、実験を始めましょう!』

私は自分に気合いをれようと、自分で自分の両頬をペちんと叩いた。

まずは、ワイヤーからコイルを作る。お手本は、『錬金教本』。そこに、コイルの形が描かれている。

まずはワイヤの真ん中辺りにくるくるの部分を作る。……って、作ってみようと曲げるんだけど、くるくるというよりぐにゃぐにゃになった。

もうし頑張ってみると、くるくるにはなるんだけれども、なんだかくるくるの大きさがまちまちになってしまう。

うーん。指ぐらいの太さに均一にくるくるにしたいんだけど……。

じっと私の指を見る。

あ、そうか。

私は、一度手ぶらで実験室を出た。

そして、庭師のダンを探して、庭を探す。もう季節は秋もすぎて、庭はすっかり寂しい風景になっている。そんな中、ダンは枯葉の掃き掃除をしていた。

ちなみに私の畑だけは、妖の園狀態のためか、一年を通して春のように若葉が生き生きとしているのだけれど。

「ダン、おつかれさま」

私が聲をかけると、ダンは箒をかす手を止めて、ぺこりと挨拶をしてくれる。

「これはお嬢様。こんな寂しい庭でお散歩ですか?」

そういうダンの周りには落ち葉が地面に模様を描くだけだ。

「私の親指の太さくらいの、真っ直ぐな枯れ枝って落ちていなかったかしら。もしあればしいのだけれど」

そう言って、私は自分の親指をダンに差し出す。

「そうですねえ、こっちに掃いたものを山にしたものがありますから、し待っていてくださいね」

そう言って、枯葉や枯れ枝の山の中からゴソゴソと、私の要に合いそうなものを探してくれる。

「これなんかどうでしょう」

ダンが差し出してくれたのはダンの指くらいの長さの、真っ直ぐですべすべとした折れた枝だった。邪魔になりそうな節の部分も丁度ない。

「うん、こんなじよ!ダン、ありがとう!」

私は目的のものを手にれて、その喜びに大きく笑ってダンにお禮を言うと、実験室へ戻ったのだった。

実験室にって椅子に座ると、私は枝とワイヤーを手元に準備する。

そして、枝にくるくるとワイヤーを巻き付けていった。うん、やっぱり、綺麗なくるくるになるわ!

そして、十分にくるくるの部分を形作ったら、枝を引き抜く。

あとは、ビーカーの中にるように、くるくるのコイルの部分が上に來るようにして、ワイヤーを四角くコの字型にしたら完

これでやっと、実験を始める準備が整った!

抜きネタとワイヤーくるくるで話が長くなったので、わけます(。ᵕᴗᵕ。)

抜きは要はピンセットの代用品です。

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