《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》54.件探し
そして日は変わって、平日の、とある日、私とカチュアさんのふたりで、アトリエを開くための件を探すために不産業者の元へ出かけた。
そして今は、その業者の男従業員の案で、件を見せてもらうために馬車で移中だ。當然リーフも一緒に馬車の中。私の膝の上で大人しく眠っている。
「その子はデイジー様の従魔ですの?護衛もつけないでご両親が出してくださるなんて、実はこの子が余程強かったりするのですか?」
カチュアさんが不思議そうに尋ねてくる。カチュアさんは、そっと向かい側から手をばして、恐る恐るリーフの背にれてくる。
「うん、この子、リーフって言うんだけれど、実は元は大人ぐらいの大きさがある大きな狼なの。下手な護衛より強いですよ」
私がそう答えると、『大きな狼』に反応して、リーフをでるカチュアさんの手がビクッと止まる。
その気配をじて、目を瞑っていたリーフが片目を薄く開けてカチュアさんを確認すると、そのまま何事も無かったように再び目を瞑った。
Advertisement
リーフの背からカチュアさんの手が離れていってしまったので、代わりに私がリーフの背をで、そのらかいを梳いてやると、心地よさそうにリーフの尾が揺れた。
そんな雑談をしていると、一軒目の件についたようで、馬車が、ガクンと揺れて止まる。
馬車の扉が開いて、業者の男が顔を出す。
「お嬢様方、一軒目の件に著きましたよ」
そう言って手を差し出して、二人が馬車から降りるのを補助してくれる。
「ここは、下級貴族街と商人街を道を隔てたちょうど境目の立地です。ご商売をするにあたって、貴族と平民のどちらも顧客層として想定可能な立地ですね」
そう言って、業者の男が件の口の鍵を開け、中に案してくれる。私たちと一緒に、當然といった様子でリーフも中へってきた。
「こちらの件は、庭を中心として、建がそれを覆うようにぐるっと立っているのが特徴です。どの角度からも庭が見えて……」
「それじゃダメよ!畑の日當たりが悪いわ!」
Advertisement
私が、業者の説明を途中で止める。これじゃあ、決まった時間しかが當たらなくて、妖さんもマンドラゴラさんも悲しいだろう。
「……畑、ですか?」
業者がびっくりしたような顔で目を丸くする。何せ、貴族のお嬢様が畑を理由に件を拒否するのだ。庭ではなく、畑を。
「ごめんなさいね、デイジー様は、錬金を行うのに、薬草の栽培から手をれてらっしゃるの。だから、薬草栽培のための畑にする予定の庭については、日當たりや広さが大事な條件になるのよ」
びっくりして固まっている業者に、カチュアさんがわかりやすくフォローをれてくれた。
「なるほどなるほど、そういうことでしたらこちらはお嬢様の條件にあいませんね」
固まっていた業者は納得がいったのか、うんうん、と頷いてしばし考え込む。
と、その時だった。
口の扉が、ガチャっと音を立てて施錠される音がした。
荒々しい足音がして、ガラの悪い男が三人見學中の屋敷にしてきたのだ。
「件屋さんよう、商売中に悪いねえ。でも俺らは、そのなりのいいお客様のお嬢さん二人に用があるんだなあ」
そう言ってガラの悪い男たちはニヤニヤ笑いながらこちらへ近づいてくる。
リーフは小さなままので、小さな牙を剝き出しにしてウウーッとうなっている。
業者の男も私達を背にして庇うように間に立ふさがる。手には護用の短剣が握られている。
「あっははは!ちっちゃなワンちゃんと手が震えてるお兄さんじゃ、ちょっと力不足じゃないかな」
ガラの悪い男たちは懐からナイフを取り出してさらに近寄ってこようとする。
「どちらのお嬢さんもなりからして代金を頂戴しても良さそうだし、可い顔してるから売っぱらっちまってもいい金になりそうだっ!」
そう言って一人の男がナイフを振り上げた瞬間、リーフが元の大きなフェンリルの軀に戻る。唸り聲をあげる口から覗く牙は、大人の男の指より太い。
「……へ?」
自分達に覆い被さるように突如現れた獣の影に、三人の者のきが固まる。
リーフはその隙を見逃さず、一人目のナイフを持つ男の腕に噛みつき、ナイフを落とさせ、ドガッと腹に當たりをかます。男は壁に勢いよく背中をぶつけて失神した。
そして、殘りの二人の橫をすり抜けて背後に回ると、その鋭利な爪でシャッと橫薙ぎ一閃、四本の足首をまとめて切り裂いた。足の腱を切られた殘りの二人のならず者は、どうっと音を立てて仲良くその場に倒れ込んだ。
「お嬢様方、一度ここを出て警備兵を呼びましょう!早く、こちらへ!」
私達は、業者の案で出口へと移する。足のきがまだぎこちないカチュアさんは、業者が一言失禮を詫びてから抱き上げる。リーフは、ならず者の見張りのつもりなのか、その場に留まっていた。
業者は鍵を開けてまず私たちを外へ逃がし、大聲で警備兵を呼ぶ。
すぐに警備兵が二人走ってきて、業者の説明をけて建の中にる。すると、れ違いにリーフは子犬の姿に戻って私の元へやってきた。私はすかさずリーフを腕に抱き上げ、ありがとうと、耳元に謝の言葉を伝える。
ならず者たちは、警備兵に捕縛され、貴族令嬢と大店の商人の子の拐未遂容疑で引っ張られて行った。
「……確かに、下手な護衛より強いですわね」
カチュアさんは、小さならしい子犬の姿になって私に抱かれるリーフを見ながら、ほう、と安堵の溜息をついていた。
その後も、リーフがいるなら大丈夫だろうということで件を見てまわった。そして、一軒の件が私達の目に止まる。
王都の北西門、その側にその『空き地』はあった。城門には警備兵の詰め所も併設されていて、閉門時も常時二名の警備兵が待機しており、安全面もいいと言えるだろう。
そして、ちょうどそこは下級貴族街と商業地の境にあり、私とカチュアさんの実家からも近い。文句のない場所だ。
また、北西門は王都の西隣にある迷宮都市に向かう冒険者や商人たちで人通りも多い。
その土地は、立地條件も広さも良いのだが、まとめて売るには高額なために買い手がなかなかつかず、かといって分割して売るのもどうかと、業者も悩んでいた土地なのだという。
「ご予算があるなら、土地を買って好きに上を作るのが一番ですわよね」
一日中かかって探して、もう日は茜だ。そのがよく當たる広い空き地を眺めながら、カチュアさんが満足げに立っている。
私もその隣に並んだ。
「ありがとう」
そう言って、私は夕日を浴びながらカチュアさんの手を握った。
手を繋いだ二人の影が、長く長くびていた。
余談だが、私がその土地の購契約をした後、その報が、この國で一番の権力をお持ちである方の耳にった。
「それは良い土地に目をつけた。北西門の警備兵を一年後には倍の四人に増やせるよう、詰所を増築するように」
そんなご命令が下ったとか。
下記をどうかお願い致します(。ᵕᴗᵕ。)
・面白かった
・続きが気になる
と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップorクリックすればできます。
【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔術師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ
第一部完結。 書籍化&コミカライズ決定しました。 「アンジェリカさん、あなたはクビです!」 ここは獣人は魔法を使えないことから、劣等種と呼ばれている世界。 主人公アンジェリカは鍛錬の結果、貓人でありながら強力な魔法を使う賢者である。 一部の人間たちは畏怖と侮蔑の両方を込めて、彼女を【劣等賢者】と呼ぶのだった。 彼女はとある國の宮廷魔術師として迎えられるも、頑張りが正當に認められず解雇される。 しかし、彼女はめげなかった。 無職になった彼女はあることを誓う。 もう一度、Fランク冒険者からやり直すのだ!と。 彼女は魔法學院を追いだされた劣等生の弟子とともにスローな冒険を始める。 しかも、どういうわけか、ことごとく無自覚に巨悪をくじいてしまう。 これはブラック職場から解放された主人公がFランク冒険者として再起し、獣人のための魔法學院を生み出し、奇跡(悪夢?)の魔法革命を起こす物語。 とにかくカワイイ女の子+どうぶつ萬歳の內容です。 基本的に女の子同士がわちゃわちゃして、ドタバタして、なんだかんだで解決します。 登場する獣人のイメージは普通の人間にケモミミと尻尾がついた感じであります。 ところどころ、貓や犬やウサギや動物全般に対する獨斷と偏見がうかがえますので、ご注意を。 女性主人公、戀愛要素なしの、軽い気持ちで読める內容になっています。 拙著「灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営」と同じように、ギャグベースのお話です。 評価・ブックマーク、ありがとうございます! 誤字脫字報告、感謝しております! ご感想は本當に勵みにしております。
8 57キチかわいい猟奇的少女とダンジョンを攻略する日々
ある日、世界中の各所に突如として謎のダンジョンが出現した。 ダンジョンから次々と湧き出るモンスターを鎮圧するため、政府は犯罪者を刑務所の代わりにダンジョンへ放り込むことを決定する。 そんな非人道的な法律が制定されてから五年。とある事件から殺人の罪を負った平凡な高校生、日比野天地はダンジョンで一人の女の子と出會った。 とびきり頭のイカれた猟奇的かつ殘虐的なキチ少女、凩マユ。 成り行きにより二人でダンジョンを放浪することになった日比野は、徐々に彼女のキチかわいさに心惹かれて戀に落ち、暴走と迷走を繰り広げる。
8 180世界がゲーム仕様になりました
『突然ですが、世界をゲーム仕様にしました』 何の前觸れもなく世界中に突然知らされた。 何を言っているかさっぱり分からなかったが、どういうことかすぐに知る事になった。 普通に高校生活を送るはずだったのに、どうしてこんなことになるんだよ!? 學校では、そんな聲が嫌という程聞こえる。 外では、ゲームでモンスターや化け物と呼ばれる今まで存在しなかった仮想の生物が徘徊している。 やがてそれぞれのステータスが知らされ、特殊能力を持つ者、著しくステータスが低い者、逆に高い者。 ゲームらしく、勇者と呼ばれる者も存在するようになった。 そして、 ステータス=その人の価値。 そんな法則が成り立つような世界になる。 これは、そんな世界で何の特殊能力も持たない普通の高校生が大切な人と懸命に生きていく物語。 ※更新不定期です。
8 192ちょっと怒っただけなんですが、、、殺気だけで異世界蹂躙
子供の頃から怒るとなぜか周りにいる人たちが怖がりそして 気絶した。 主人公、宮城ハヤトはその能力を絶対に使わぬよう怒らないようにしていた。異世界に転移するまでは、、、 「なんで俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ!このクソボケがーー!!!どいつもこいつもムカつく奴は俺のスペシャルなドロップキックをプレゼントしてやるぜ!?」 最強系ブチ切れ主人公のストレス発散異世界物語です。 ギャグ要素も入れていくので気軽に読んでください。 処女作なので読者の方々には生暖かい目で見守っていただけたら幸いです。5日に1回更新予定です。
8 124世界にたった一人だけの職業
クラスでもあまり馴染むことができず、友達にも恵まれず高校生活を送っていた高校二年生の主人公の柏沢蓮斗。そんなある日、クラスでいつも通り過ごしていると先生の魔法詠唱によって足元に魔法陣が現れた。魔法陣に吸い込まれた後、目を覚ましたら異世界の王宮の中にいた。皆それぞれ職業に目覚めており、主人公もまた例外ではなかった。だが、主人公の職業はー 異世界の複雑な事情に巻き込まれていく ストーリーです。 新作 「スキル『日常動作』は最強です~ゴミスキルだと思ったら、超萬能スキルでした~」も興味のある方は見に來てください。 お気に入り1000突破! ありがとうございます!!
8 134殺しの美學
容疑者はテロリスト?美女を襲う連続通り魔が殘した入手困難なナイフの謎!--- TAシリーズ第2弾。 平成24年七7月8日。橫浜の港でジョニー・アンダーソンと合流した愛澤春樹は、偶然立ち寄ったサービスエリアで通り魔事件に遭遇した。そんな彼らに電話がかかる。その電話に導かれ、喫茶店に呼び出された愛澤とジョニーは、ある人物から「橫浜の連続通り魔事件の容疑は自分達の仲間」と聞かされた。 愛澤とジョニーは同じテロ組織に所屬していて、今回容疑者になった板利輝と被害者となった女性には関係がある。このまま彼が逮捕されてしまえば、組織に捜査の手が及んでしまう。そう危懼した組織のボスは、板利の無実を証明するという建前で、組織のナンバースリーを決める代理戦爭を始めると言い出す。ウリエルとの推理対決を強制させられた愛澤春樹は、同じテロ組織のメンバーと共に連続通り魔事件の真相に挑む。 犯人はなぜ3件も通り魔事件を起こさなければならなかったのか? 3年前のショッピングモール無差別殺傷事件の真実が暴かれた時、新たな事件が発生する! 小説家になろうにて投稿した『隠蔽』のリメイク作品です。
8 133