《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》65.久々の家族の再會

マーカスにお使いに走ってもらって、実家と王室ご一家宛にしたためた手紙を屆けてもらった。

するとまず、次の安息日にレームスお兄様が帰省するので、その時に家族で集まりましょうと言う話になった。

安息日當日。

マーカスは実家に顔を出すといい、ミィナは私と一緒にプレスラリア家にお供したいと言うので、一緒に帰省した。

自宅に帰ると、レームスお兄様が、私の事を今か今かと玄関で待ち構えていた。だって、まだかまだかって言いながら玄関をウロウロしているんだもの。かなりびっくりしたわ。

……え?久しぶりと言っても大袈裟じゃない?

そう告げる間も與えられず、私は玄関にるなり駆け寄ってきたお兄様にぎゅっと抱きしめられた。

「聞いてよデイジー!君のおかげで凄いんだよ!」

割と穏やかな気のお兄様にしては興度がすごい。どうしちゃったのかしら?

「えっと、お兄様、興してどうしたの?」

ハグをお返しして、お兄様の顔を見上げる。なんて言うか、ちょっと背がびた気がする……。

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「魔力量だよ!デイジーが気づいたとおり、魔力を使い切って寢るっていうのちゃんとこなしてたんだけどね。そのおかげで學院の學試験の能力検査で、魔力量で前代未聞の最高値更新しちゃったんだよ、僕!それで先生たちがみんなして、將來の賢者かって大騒ぎさ!」

ありがとう!ってんで、またお兄様にぎゅっとされた。

……ふふ。よっぽど嬉しくて言いたくて仕方なかったみたい。私もお兄様のお役に立てて嬉しいわ!

「お役に立てて嬉しいわ、お兄様!たくさんお勉強して立派な魔導師になって、お父様のお力になってね!」

「勿論さ!」

そういうと、お兄様はやっと抱きしめる腕の力を緩めて、ニコリと笑って片手を差し出す。

私はその手を取ると、仲良く手を繋いで並んで居間に移したのだった。

居間に著くと、もう既に家族全員が揃っていた。

「あらあら、賑やかだと思ったらやっぱりレームスに捕まっていたのね」

お母様が手を繋いでやってきた私たちを見て、微笑ましげに笑みを浮かべる。

「私も來年學だから、お兄様の結果を聞いたら、今から學試験の結果が楽しみになってきたわ!」

ちょっと気が早いお姉様。でもなあ、単純な計算だと、お姉様の方が學まで一年長い分、お兄様の記録をさらに上書きするんじゃないかしら……。

「デイジーの洗禮式の時は本當にどうなるかと思ったが、結局デイジーはくして陛下の覚えもめでたい錬金師として既に頭角を現しつつあるし、レームスとダリアも魔導師としての將來が非常に楽しみだ。我が家の子供たちはまるで神に祝福されているようだね」

「まあまあ、貴方。確かに素晴らしい子供たちに恵まれましたけど、親バカがすぎますよ」

そう言って、お父様は久しぶりに揃った子供たちの長ぶりに目を細めている。そしてお母様は、そんなお父様を微笑ましそうに見ていた。

「そうそう、今日集まっていただきたいって言ったのにはね、みんなにプレゼントがあるのよ!」

そう言って一人ずつ、『守護の指』を手渡していく。

「……これは、隨分力をじますけど……魔法かしら?」

お姉様が真っ先にその力に反応したらしい。魔導師としての勘が一番鋭いのはお姉様なのかしら。

「はい、これは『守護の指』と言って、あらゆる狀態異常を防ぎ、裝備者の力を徐々に回復する魔法の指です。ただし、側の特殊な文字で、悪人にはその効果を発揮しないように制しています。お父様、そして、お兄様お姉様もゆくゆくは國のために魔獣退治などの戦場に赴かれるでしょう。そしてお母様は、私の大事なお母様だから、につけていてしいんです」

「ちょっと待てデイジー、あっさり説明するけれど、説明が正しければこれは國寶級じゃないのか?えっと……デイジーが作った……のか?」

お父様は話を聞いて冷や汗をかいている。そして、指を持つ手が震えている。それは當然かもしれない。結局私たちは値を付けなかったけれど、つけたとすれば大変な代だ。

「とある方のご好意でいただいた守護石と銀を混ぜて、私と、師匠になってくださった方と一緒に合金にしました。そして、お姉さんのように優しくしてくださる鍛冶師の方に依頼して、指の形に作っていただいたものです」

私は、『霊王様』のところは伏せて、指ができた経緯を説明した。

「……お父様、僕たち家族だけという訳にも……ここまでの品、まずは陛下方に獻上するのが筋じゃないかと思うのですが……」

お兄様もさすがに國寶級の代を「はい、付けて」と言われても困するといった様子だ。

「デイジーのことだから、そこはしっかり陛下一家の分は確保していそうですけど。どうなの?」

お姉様はやっぱり勘がいいな。というか、私のしそうなことがわかっているのかしら?

「お姉様のご推察のとおりです。陛下には、獻上したい旨をお手紙にてお伝え済みです」

そう、ちょうど今、日程を調整してもらっているところだ。

「それだったら、私たち一家が娘の好意に甘えてもいいんじゃないかしら。それにデイジーがこれを私達ににつけてしいと願うのは、私達を大切に思ってくれているからじゃないかしら。それに私は、ヘンリー、貴方が仕事で傷つかないかいつも不安でおりますから、貴方が、そして、將來レームスやダリアもこの指の加護をけられるのでしたらとても安心ですわ。あ、デイジー、ご好意で貴重な品をくださった方や手伝ってくださった方たちにもこれをけ取っていただいたか、相応のお禮はしたんですよね?」

お母様が、お父様に向かって、につけてしいことを告げてから、今度は私の方に向き直って確認を取ってくる。

「手伝ってくださった方たちにもちゃんとお渡ししていますから、大丈夫です……あ。でも、守護石をくださった方にはご好意に甘えっぱなしです……」

ふっと、あまりに霊王様達が遊びにいらっしゃってからかっていかれるから、きちんとお禮をしていないことに気が付かなかったわ……。お母様の言葉で、初めて気づくことが出來た。

「じゃあ、その方が喜んでくださるようなお禮をしなくちゃね、デイジー」

「はい!」

私はお母様ににっこり笑って頷いた。

結局、お父様もお兄様も納得してくださって、家族みんなで同じ指をはめることになった。

その夜は、ミィナ特製チーズづくしなお夕飯を披した。

あっつあつのチーズがけじゃがいもグラタン、ホロホロチーズのサラダ、まんまるチーズのスライスのトマトバジル乗せ、チーズケーキ。

家族にも大好評!

楽しくっていい夜だった!やっぱり家族は最高!

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