《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》73.安全な白を作ろう①
「そういう訳で、安全な白を作ることになったのよね」
陛下からの依頼をけたその日、アトリエに帰った私はマーカスとミィナと一緒に夕食をとりながら、大変なことになったなぁと思ってため息をついていた。
「「おしろい」」
白なんて最近上流社會に流行りだしたものだ、マーカスもミィナもそれが何か知らない。二人して首を傾げているので、「顔をより白に見せるための顔料よ」と、簡単に説明しておいた。
「……をもっと白く、ですかぁ。貴族のは大変なんですねえ」
パクリ、と今日のメインである『じゃがいものグラタン』を食べながら、ミィナは心している。
うん、その白ぷりぷりおにピンクの頬のミィナには不要なものだよね。まあ、お姉様にはあれこれ言われたけれど、私にもまだいらないものだと思う。
「要は、に馴染みやすい白の顔料を作れということですかね」
マーカスが、かなり率直に的をた質問をしてきた。
「そうねえ。真っ白すぎてもお化けみたいだし、程よく明があって、でもの隠しはしっかりってところかしら?」
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お母様とお姉様の化粧を見た想を元に所を述べる私。
「そう言えば、じゃがいものって庶民発想すぎてダメですかねえ。でも、食べですから口にっても安心ですよ?」
ミィナがじゃがいものグラタンをフォークに刺したものを見下ろして呟いた。
「じゃがいもの?」
逆に料理に疎い私が首を傾げる。
「じゃがいもって、皮をむいて切って使おうとするだけでは、表面にすごーく細かい白いがついているので、水にさらして落とすんですよ。すりおろしとかしたらもっとこの沢山出てくるんじゃないかと思って」
ミィナの提案に、ふむ、と思案する。確かに、普段から食べ馴染んだで化粧品を作れるなら、それ以上の安心はないわよね。
「ちょっと作ってみましょうか」
私たちは、食事を終えてから、じゃがいもを使った『白い』作りに挑むことにしたのだった。
◆
じゃがいもは三つ用意した。
「まず皮をむいてすりおろしちゃいますね」
手際よくミィナがじゃがいもを処理していく。すり下ろされたじゃがいもがどんどんボウルに溜まっていく。
「すりおろしたじゃがいもの繊維が邪魔ね」
そう、すりおろしたじゃがいもは、じゃがいもの繊維部分と水分、そして水分にじって確かにミィナの言う『白い』がボウルの底に沈んでいた。この『白い』だけがしいわ。
「めの布巾で搾ってみましょうか」
ミィナはそう言って、布巾ともう一つボウルをマーカスに取ってきてもらい、新しいボウルの上に布巾を乗せる。そして、元のボウルにっていた中を全部布巾の上にひっくり返した。そして、じゃがいもを閉じ込めて、ぎゅっと麻紐で口を縛った。
ぎゅっと搾ると、水と白いが布巾の目を通して出てきた。
「でもこれだけじゃちょっとなすぎるわね」
「じゃあ、水に曬しながらんでみましょうか。まだ、布巾の中のじゃがいもに紛れているかもしれません」
ミィナはボウルの中に水を足して、しばらくんだり振ったりしていると、水のが白くもわっとするので、『白い』がまだまだ布巾の中にあることがわかった。作業は白い、もわっとするのが収まるまで続けた。
殘ったのは赤茶けた水と、そこに溜まった白い。
そーっと上に溜まった水を捨てる。
念の為、もう一回水を足して、明の水を捨てた。
水気を含んだ『白い』が殘った。
「じゃあ、これは明日まで自然乾燥させ……」
「水気は加熱して飛ばしちゃおうか!」
私は、ミィナの言葉をさえぎる。そして、ミィナが作ってくれたった『白い』を奪い取り、ボウルの中をフライパンにあけて加熱し始めた。だって、完品を早く見たかったのだ。
「ほら!はっきりした白になってきたわ!」
私は、自分のアイディアに満足気にを張る。
「……あれ?明でいつまでたっても水気が飛ばない部分がありますね」
顔を覗かせて、マーカスが不思議そうな顔をする。
「……火を止めるわ」
ヘラを使って、火にかけた『元白い+水』をつついてみる。すると、『ぷるん』としたっけとゼリー質の混ざったようなものが出來上がっていた。
……私の背後に、怒りの気配をじる。
「デイジー様ぁぁぁ!」
ミィナがヘラごとこびりついたぷるんとしたものを奪い取る。その手は怒りでぷるぷると震えている。すると、その手からヘラを通じて繋がっている『ぷるぷる』も、ぷるぷると揺れる。
「ぜっがぐ、あだじが頑張って作ったのにぃぃぃ!」
ああああ!ミィナを本気泣きさせちゃったわ!しかも、しっぽがありえないくらいに「ぶわっ」と膨らんでいるし!
「ごめんなさい!ミィナ!私が悪かったわ、だから泣かないで!」
私はポケットからハンカチを出して、ミィナの涙と鼻水を拭う。
「……もう、いいって言うまで余計なことはしないでくれますか?」
じっと上目遣いでミィナが確認してくる。
「しないしない!もうしないわ!……だからもう一回作ってくれないかしら……」
パンっと両手でミィナを拝んで懇願する。
「……仕方ないですね」
優しいミィナは、『白い』作りを最初からやり直してくれた。
そして、出來上がった水気を含んだ『白い』は、バットの上に広げて一晩自然に乾かしたのだった。
そして、翌日出來上がったものはこうなっていた。
【澱】
分類:食品
品質:普通
詳細:食品にとろみをつけることが出來る。のを白く見せることも出來るが、カバー力は低め。
気持ち:赤ちゃんの汗疹に塗っても安心だよ!舐めても大丈夫さ!
ミィナが、そのを指の腹につけて、手の甲に塗ってみた。
「確かに白くなりますね」
……うーん、だけど何か違う。
「……ただ、白さが足りないというか、明がありすぎ、かなあ」
安全、はクリアしているが、道はまだ遠そうだった。
最初は拍子抜けでしょうか?
デイジーのイタズラ(火にかける)は私が実際にやって失敗した結果です(´ー`A;)
まだまだデイジー達の開発は続きます٩( 'ω' )و
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