《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》75.安全な白を作ろう③

まだ、商業ギルドでの検品は続く。

「ああ、石があるね。これもベースにはいいかもね」

アナさんがそう言うので、私も興味を持ってそこへ行ってみた。そこには、いくつかの石と、そのが置いてあった。いわゆる、石板の上に文字を書く「チョーク」と言われる鉱だ。

石(タルク)】

分類:顔料

品質:良質

レア:B

詳細:粘土鉱。細かくすれば白いになる。によく馴染む。

気持ち:が白く見えるよ!

石(タルク)】

分類:顔料

品質:低品質

レア:B

詳細:粘土鉱。細かくすれば白いになる。によく馴染む。

気持ち:が白く見えるよ!でもごめん、僕の末を吸い込むと悪腫瘍ができる分が混ざってる……。

え?これはどういうこと?

私はオリバーさんを呼んで尋ねた。

「この『石』って、いくつかあるうちの一つだけ、に害のある質を含んでいるみたいですが……」

「これは産地が違うものを幾つか置いてみたんですが……場所によって危険な質を含むものが産出するんじゃあ使えませんね。さすがにうちの職員には希な【鑑定】持ちはおりませんから、チェック制は作れませんからね」

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そう言ってオリバーさんは肩を落とす。

「おや、本當かい。石がダメとなると……絹雲母か白雲母はないのかい?」

アナさんが、じゃ次は……と言って辺りを見回す。それを補うように、カチュアが絹雲母のある場所まで案する。

「絹雲母はこちらにありますわ。末化したものもご用意しております」

【絹雲母(マイカ)】

分類:顔料

品質:高品質

レア:B

詳細:粘土鉱。細かくすれば白いになる。脂に富んでに馴染みやすい。

気持ち:が白く見えるよ!

「うわあ、純白でにも馴染むわ!」

私は、狀のものを指の腹にとって手の甲にばしてみる。

「はい、我が國の北の山岳地帯で採れる絹雲母は純度が高く、極めて白いのが特徴です。ベースにするとしても、輸出にも耐えうる埋蔵量を誇ります」

アナさんが、満足そうにうんと頷く。

「ベースはこれがいいかもね。絹雲母のに、量『亜鉛華』を混ぜる。すると、以前の『白』よりも、消臭作用と日焼け予防による白効果のある『新しい白』の出來上がりだね!」

アナさんは、大の構想がたったことで、満足気にしている。

「より良い容効果のある『新しい白』との無償換であれば、売れてしまった『白』の回収も進むでしょう!」

オリバーさんは、もうひとつの課題である『回収』についても目処がたちそうなに、ほっとした顔をしている。

「でも、『亜鉛華』は、亜鉛が空気とれている面だけで量できるですわ。これはどう量産するのでしょう?」

だが、カチュアは『解らない』といった表で、眉を寄せて困った顔をしている。

「……そこは、錬金師の出番だね。そして、そのやり方を見て量産化の方法を考えるのが商人のあんた達の仕事だ」

そう言って、アナさんは私を引き寄せて肩を抱き、もう片方の手でカチュアとオリバーさんの二人を順番に指さした。

私たち四人は、亜鉛を持って、商業ギルドの馬車で私のアトリエまでやってきた。

「「おかえりなさい」」

ミィナとマーカスが仕事の合間に出迎えてくれた。

「今から四人で実験室を使うから、引き続きお店の方はよろしくね」

二人に斷ってから、三人を引き連れて実験室へり、錬金釜の前までやってきた。

「デイジー、かなり熱くなるから、手袋とエプロンをするんだよ」

アナさんが注意してくれたので、私は手袋とエプロンをにつけ、攪拌棒を手に握りしめた。そして、アナさんはと言うと、続けてこれからやる事の説明を始める。

「みんな、水は知っているね。溫度が低いと氷になって固まり、溫かくなると解けて水になり、火で加熱すると蒸発する。これはね、金屬だって同じなんだよ。塊のイメージしかないと思うけどね、熱すれば溶けて、もっと熱すれば蒸気になるんだ。ただし、水と違ってその溫度はとても高いから、『魔力』を使ってやるんだよ」

「「「えっ!」」」

説明された三人は驚いて聲を上げる。

……そりゃあ合金を作ったことがあるから溶けるのはわかるけれど、蒸気になるってびっくりだわ!

「デイジー、ぼーっと突っ立ってないで。アンタがやるんだよ」

ほら、と背をぽんと叩かれる。

「はいっ!」

背を叩かれたことで、背筋がしゃんとびた。

亜鉛の塊を錬金釜の中にれて、攪拌棒を釜の中に差し込む。

「デイジー。攪拌棒を通して錬金釜を熱く熱く加熱しておいき。沸騰してもびっくりするんじゃないよ」

「はいっ!」

の中央のオヘソの下から、どんどんと腕を通して攪拌棒に魔力を流し込み、そして錬金釜の中を熱く熱く加熱して行く。大量の魔力が持っていかれるのをじる。すると、亜鉛はどろりと溶け、やがてボコボコと沸騰し始める。そして、さらに加熱していくと亜鉛のの量が減って、最後には消えてなくなった。そして、はらはらと白いが錬金釜の中に降り積もっていく。一連の変化は錬金釜の中で行われている。

「これは……?」

私とカチュアとオリバーさんがその一連の変化を確認して、思わず呟く。

だって、亜鉛はどこかに消えてしまって、何故か殘ったのは白い

……どうして蒸発したら消えてなくなるの?そして現れたこの白いは何?

「亜鉛は蒸発して気になると、空気と結びついて『亜鉛華』になるんだよ」

【亜鉛華】

分類:顔料

品質:良質

レア:B

詳細:亜鉛が空気にれてできた化合。白顔料。日焼け予防や殺菌作用による匂い消しの効果がある。

気持ち:人にしてあげる。日焼けを防ぐ効果もあるよ!

アナさんが言う通り、亜鉛は『亜鉛華』に変わっていたのだ。

そして、出來上がった時には錬金釜がとても熱くなっていて、部屋の暑さに私もみんなも汗だくになっていた。

まだ続く(`・∀・)ノイェ-イ!

ちなみに石の除外要因はアスベストです。今市販されているものは、ちゃんと検査されたものなので大丈夫ですが、昔は裁判になったりしたのです。

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