《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》80.とチーズとフライのコラボレーション

『料理図鑑』を読んでいると、この間作った『フレッシュチーズ』ではなく、『セミハードチーズ』というものが良く出てくることに気がついた。

……紅花の種もまだ殘っているしなあ。

うん。ミィナのレシピの幅も広がるに違いない!

「作りますか!」

途中までは作り方は一緒だから思い出しながらやりましょう!

紅花の種から分を出する。

すり鉢で種を潰して、それを量の牛に浸す。種の分が牛に出るまで、かき混ぜながら魔力を注ぐ。

十分に種のエキスが牛に移ったら、布で搾って、エキスり牛は置いておく。

私たちが普段よく飲む牛は、暖かいところに三日も放置すると勝手にヨーグルトになるほど、『酸っぱくなるエキス』はっているので、これは牛の力に頼って追加はしない。

鍋に牛れて加熱で溫め、指先でれられる溫度(お風呂よりもだいぶぬるめ)に溫めたものに、さっきの紅花のエキスがった牛を足す。火を消して錬金発酵させると、牛がヨーグルトからプリンの間くらいのさに固まるので、包丁で関節の長さくらいの間隔で縦橫鍋の底まで切る。

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し待つと、部分が滲み出て來るので、火を弱火にして溫める。ゆっくり底の方も攪拌し、再び溫度をぬるいお湯程度にゆっくり上げていく。溫度が上がったら、火を消して蓋をして二刻ほど放置する。

二刻待つと、固形とに分かれているので、ザルで固形部分を集める。

ここからが違うところよ!

の空いた陶に集めておいた固形部分をれて、ぎゅっと上から押せるくらいの蓋には一回り小さい丸い板を用意する。今回は、私の掌よりもふた周り大きいくらいのサイズで挑戦する。

そしてこのひと回り小さい蓋でぎゅっと上部を閉じたら、重石などでぎゅっと押し続ける。ここは教會の鐘五回分から半日くらい。そうすると中の水分がもっと抜けていくの。

終わったら、今度は塩水につけて一日放置。

……まんまるチーズみたいに熱くて大変な作業はないけれど、かなり時間がかかるわね。

そしてまた日の當たらない一日風通しの良い涼しい場所で乾燥させる。

さて、ここからが錬金師の出番!

長期間自然にさせる分を、一気に錬金させちゃうのだ!

乾いた布を用意して、魔力を込めて部の乾燥を促していく。そして時々かわいた布で拭ってあげていると、だんだん白かった表面が黃味を帯びてくるの。

は自然に行っても最低一か月から四十八か月は必要だから、その分錬金にも時間がかかる。暇を見つけて、チーズの上に手のひらを添えて魔力でを促し、布ででてあげることを続けていると……。

味がかった固くて丸い(陶の形)チーズの出來上がり!

「ミィナ〜!マーカス〜!新しいチーズができたわ!」

「「は〜い!今行きます!」」

そう元気な返事がして、ミィナとマーカスが店舗から実験室へやってきた。

みんなが揃ったので、ナイフで出來たてセミハードチーズをカットする。そして小指の先端くらいの大きさに切ったチーズを皿に乗せる。

「「「味しい!」」」

外の表皮の部分はすぎて食べられないが、そこを取り除いて口に含むと、塩味とナッツのようなコクが口の中に広がり、ねっとりと舌の上で溶ける。

「舌の上で溶けるということは、料理で加熱したら溶けるはず……!これ、今日のお夕飯に使いましょう!」

ミィナのになにか響くものがあったようだ。

その日の夜、私とマーカスはメイン料理を、一口食べて大興した。

チーズを棒切れサイズに切ったものを、薄く切った鶏でくるりと巻いて、その上から保存食であるハムを巻いたもののフライだったのだ!

「アッツアツの出來たてでどうぞ!チーズがとろけて出てきますよ!」

ミィナが出來たての熱々のものを用意してくれていた。

「うわ、中のチーズがとろけてる!」

マーカスがとろっとろのチーズに夢中になっている。

「ハムを足したのは正解ね、ミィナ。もう、このまんまで味しいわ!」

そう言って絶賛して、みんなではふはふしながら新作を楽しんだのだった。

ここは緑の霊の住む領域。

明るいに照らされて、若葉が萌える常春の世界だ。一面緑の中、妖たちが気ままに空を舞い、霊が木々と対話している。

そこで、緑の霊王が、らかい若葉の上に腰を下ろし、し深さのある皿の上、そこに水を満たし蓮の花が一浮かぶ水鏡をとおして、味しそうにアツアツのチーズフライを食べている、そのデイジーの笑顔を見守っていた。子供たちが仲良く味しい食事を楽しんでいる姿は心が和む。

「うん、今日も元気そうだ。味しいものを食べて幸せそうだね」

そこへ、土の霊王がやってきた。

「おいおい、また見てるのか。ほんっとお前は自分のし子が好きだなあ」

水鏡の傍らに侍る緑の霊王の橫に來て、立ったままの彼も腰を曲げて水鏡を覗く。

「おーおー、味しそうに食べてるねえ。ま、あんな笑顔が見られるんじゃ、覗きたくもなるか」

初めは呆れていた土の霊王も、一緒になって覗いている。らしい子供たちの姿に、その口元には微笑ましげな笑みが浮かんでいた。

……霊界も、平和である。

一応、今回のチーズはゴーダチーズもどきになります。

セミハードだから食べやすくて味しいですよね(´˘`*)

カツはうちの母が作ってくれたものを書きました(*≧v≦)

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