《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》84.アイスゴーレム戦①
2ページ目に、『デイジーの錬金ノート』を追加しました。
氷の窟の最奧に立ちはだかったアイスゴーレム。そして床面も氷で覆われていて足元も覚束無い。
その難敵、難況を前に私たちは足を踏み出せずにいた。そして、まだ距離があるからか、アイスゴーレムも起はしていなかった。
「デイジー、火魔法は?」
「ごめんなさい、出來ないわ」
「リィン、鍛冶師って火を……」
「それとこれとは違う」
マルクが戦力を全部把握できていない私とリィンに、なにか打開策がないかを探って質問してくる。
……そう、私は四屬の中で火だけはどうしても出來なかったのよね。
火魔法って、冒険者とすると、素材を焼いてダメにしてしまったり、森の中では使えないから、現場ではあまり役に立たないしいいかなって思っていたんだけれど……。まさか、こんな狀況に出くわすなんて。
……火じゃなくてもいい、溶かせればいいのよね。でも、そんな方法あったかしら?
「私たちは、ブーツをピック付きに変えるけど、そっちはけるか?」
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マルクとレティアは、こういう時用に専用のブーツを持っていてそちらに変えるらしい。
「私達は腳に鋭い爪を持っています。デイジー様とリィン様は、私達に騎乗していただいていればくのに問題は無いかと」
リィンの聖獣であるレオンが答えた。その言葉にブーツを履き替え終えたマルクが頷く。
「……今なら引ける。あれは厄介だ。それでも行くってことでいいか?」
最後にマルクが全員に確認する。
リィンの肩の妖さんが、アイスゴーレムを指さして頷いている。
「ここには、何かある。それをいただく!」
土の妖さんの様子を確認すると、リィンがはっきりと返答した。すると、安心したかのように土の妖さんは空気にとけるように姿を消した。
「あいつが亜種でもゴーレムだとしたら、潰すところは部にある魔石だ。それを探し出して潰す。いいな!」
マルクが全員に最後の確認をとる。
全員無言で頷いた。
「石の楔(ロックバイル)!」
私が先制で、魔力を練り上げ、アイスゴーレムのいる下の土に命じる。すると、氷の床を突き破って楔狀の太い巖が何本も生え、アイスゴーレムのを々に破壊した。
……あれ?もっといんじゃないの?
致命傷ではないにせよ、いともあっさりを破壊できたことに驚いた。
赤いをした核は、ゴーレムを人とみなすなら、その心臓がある部分に存在していた。しかし、氷の欠片となったアイスゴーレムを形する氷たちは、砕けた欠片は地に落ちずに宙に留まり、再び核の周りに引き寄せられて、元に戻る。
「の中央、心臓の部分、そこに核があるわ!」
「「「了解!」」」
……核の場所さえ解れば、あとは、消化試合ね!
でも、私の魔法程度で思ったよりあっさりを破壊できたことに、拍子抜けと言うよりは、なにか一抹の不安をじた……。
「レオン!あいつのとこに飛べ!」
「承知しました」
リィンを乗せたレオンが後ろ足の太い爪を氷に引っ掛けて、力強く飛び出し、アイスゴーレムに薄する。リィンはハンマーを両手に持ち替え、渾の一撃を振るう構えをとる。そして、手でを支えられない分、両方のに力を込めて聖獣にを固定する。
「まとめて潰し損ねたら、マルク、レティア、核は頼んだ!」
「「了解!」」
「うおぉぉりゃあ!」
そして、リィンの渾の一撃がアイスゴーレムのを襲う。は々に砕け散り、赤い魔石が宙を舞う。
「うっしゃ、貰ったぁ!」
マルクが駆けて行って、ハルバードの斧頭を撃ち下ろして赤い魔石を々にした。
赤い魔石の欠片は、アイスゴーレムを構していた氷の欠片と共に、パラパラと氷の床に舞い落ちる。
「「よっしゃ!」」
リィンとマルクが、腕をぶつけ合い、勝利を祝った。
勝利に酔う私たち四人。だが、リィンの肩に再び現れた黃い小人さんは、慌てた様子で違う違うと首や手を振っている。
「……やっぱり終わりじゃ、ないの?」
他の三人とは距離をとって佇んでいる私は、遠くに見える黃い小人さんの慌てた様子に首を傾げた。
そして、その答えは直ぐにやってきた。
氷の窟の部が地響きをあげて、まるで巨大な地震にでも見舞われたかのように震え出す。天井から無數にぶら下がる氷柱の一部が折れて宙に浮いて留まり、その鋭利な先端を私たち四人に向けていた。黃い小人さんは慌てて姿を消した。
「……ちっ、そういう事か!」
レティアが舌打ちする。そう、私たちは勘違いしていたのだ。
「ゴーレムは一じゃない。この窟自も、ゴーレムだ」
レティアの言葉に、私は混する。ゴーレムとは、のどこかに魔石という核を持ち、それを破壊しなければ倒すことは出來ない。
「……この広い窟のどこに核があるって言うの……?」
ビュン!と音を立てて、氷柱が私たち四人をいっせいに襲った。
マルクはハルバードでたたき落とし、レティアはその軽なきで橫に逸れ、攻撃を防ぐ。そして、私とリィンの前には『霊王の守護の指』のおかげで理障壁が展開されて、氷は目の前で破壊される。
……一撃目は、全員無傷。
そして、再び天井あたりでピシピシと氷柱が折れる音がする。氷の窟に擬態したゴーレムが、二撃目の準備をする。次は、一人一本ずつでは無い。そして、退卻を許さないという窟の意志かのように、口側の氷柱も折れて宙に浮く。私たちは氷柱に周りを囲まれていた。
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