《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》89.エルフの王と世界樹の話
なんかツイッターで見たんですが、今日はロリの日らしいです。どういう理屈なんでしょうか?
エルサリオンの案によって、私たち一行は白い石畳の道を歩いて奧へ奧へと進む。すると、木々に視界をさえぎられていたのが、ぱぁっと開けて、その先に大きな湖とその中央の島に佇む城が見えてきた。
「うわぁ、綺麗!」
湖の明度が限りなく高く、そよ風が吹くと小さなさざ波が日のをけてきらめく。それはまるで寶石のようだ。そして、石畳の道から続くように石造りのアーチ橋がかかっていて、城への道を繋ぐ。
城は、白い粘土質の鉱を練って作ったのだろうか。二階建てほどのそう高くない建で、真っ白な城の城壁にはバラの蔦が無數につたい、そして、大小様々なバラが咲きれている。
城の二階の中央、アーチ型のベランダには、とてもしいが腰を下ろしてハープを爪弾いている。淡い金の緩やかに流れる髪は長く、瞳は淡いラベンダー。ふわふわな髪からはエルフ特有の尖った耳が覗いている。白いに乗ったぽってりとしたは、さくらんぼのように紅く、艶やかだ。頬は彼の周りを飾るベビーピンクのバラの花びらのよう。頭には、銀でできた頭を一周する薄く繊細な作りの王冠を被っている。絹だろうか、沢のある薄い薄い布を幾重にも重ねた緩やかなドレスはその波打つドレープがしい。そして、その緩いドレスを持ち上げるかな。
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「……エルサリオン?あら、お客様をお連れしたのね。まあ、可らしいし子様がおふたりも……。皆様をここまでお招きしてちょうだい」
さくらんぼのようながゆっくりといて、私たちは彼に客人として招かれた。
王様と思われるそのは、ハープを弾く手を止め、側仕えのエルフに客人をもてなす支度をするように指示をしていた。
アーチ型のベランダには、私たち四人と、王様、エルサリオンの席が設けてある。そして、リーフとレオンの分の飲み水も陶のが床に置かれていた。
「ささ、皆さん座って。エルサリオンも……し子様がいらっしゃるなんて何百年ぶりでしょう!」
……た、単位が違うわ。
勧められるままに席に著いて、側仕えのがカップに注いでくれた飲みを口にする。それは優しい花の香りをじさせるハーブティーだった。……味しいわ。
テラスからエルフの里の方を見ると、森が生い茂りその中央に元気がない世界樹が真っ直ぐ天に向かってびている。そして、エルフたちの住処なのだろうか、白壁の家々が私たちが歩いてきた石畳沿いに連なっていた。
「世界樹に呼ばれるままに里に迷い込んでしまいました。すみません……」
王様に謝罪の言葉を述べると、王様はふんわりと微笑む。
「だったらそれは必然。謝るべきことじゃないわ。機織の神達が紡ぐ運命に描かれていたことなのよ」
さも、神様の存在が當たり前のように語るのね……私も信仰心が無いわけじゃないけれど。
だから、ふと興味が湧いて聞いてみたの。
「神様って本當にいらっしゃるんですか?」
それを聞いて、王様は瞳をぱちぱちさせる。
「……それをあなたが言うの?だって、霊王とはいえ神に等しい存在。彼らにお會いしているんでしょう?あなたも……そしてあなたもね」
微笑みながら王様は私とリィンを互に見やる。
「そうね、まず自己紹介をしたいわ。私はのエルフ……三種族いるエルフの一種族の王をしているアグラレスよ。で、彼は騎士隊長のエルサリオンね」
「私は、緑の霊王様のし子のデイジーと申します。錬金師をしていて、素材を探しにザルテンブルグの王都の外に出たらここに偶然迷い込みました」
「私は土の霊王様のし子のリィンです。デイジーと同じくザルテンブルグの王都で鍛冶師をしています」
「私たちは、彼達の護衛をしている冒険者のマルクとレティアと申します。ただの人のでエルフの里に足を踏みれかつ、このような歓待、恐に存じます」
王様が、各自の自己紹介を終えて満足そうに笑みを浮かべる。
「そうね、マルクとレティア……あなたたちは、二人に巻き込まれてこんな遠い土地まで來てしまって、今は困しているでしょうけれど……あなたたちこそ彼たちを守るのに相応しいわね」
にこり、とさくらんぼのが撓む。
「……そう、なのでしょうか?」
真面目な格のマルクが首を傾げた。やはりここは自分には場違い、そう思っているから。
「そうね、特にね『出逢い』というのは運命の中でも大切な事柄だわ。人が生まれ、どんな環境で育ち、何を選びとって生きていくか……そんな一人の運命が、そうやって違う人間が選び取ってきた人生と錯するわ。そして、その出會いがさらに運命という語を壯大なものにしていくの。マルク、あなたはその生き方によって選ばれた。そして既に、あなたの人生はあなたの語であり、デイジーとリィンの語の一部になっているのよ」
そう言って、王様はカップに口をつける。
「そうね、例えばあそこに立っている世界樹。あの子を含め、世界に三本ある世界樹たちは枯れゆく滅びの運命を辿っていたわ。でも、あの子はデイジーを呼んだ。そして、デイジーが彼を見つけ出した。この出會いによって、『世界樹の滅びの運命』が変わるかもしれないわ!」
ふふっと笑って、王様が立ち上がる。それはそれは嬉しそうに微笑んで、両手を天にかざしてくるりとドレスを翻しながら回った。
「三本ある世界樹たちは、天に聳え神々の住まいを支え、地にを張って、人とエルフと魔族や様々な命が栄える地上と、地下奧深くにある冥界を支えているわ。彼らが枯れてしまえば、エルフの里が滅びるという以上に、この世界は支えを失い滅びてしまうという大変な事態なの。その滅びの運命が変わるわ!」
ちなみに、この世界の地上には、中央に人の住まう大きな島があり、海で隔てられながら中央の島を囲むように、三種族のエルフが住まう島三つと、魔族が住まう島がひとつあるのだそうだ。
……えっと、私の人生ってそんなに壯大なものの一部だったのかしら?
……私のアトリエで実験するための素材採取に來ただけのはずなんだけど、世界が広がりすぎだわ。
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