《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》93.賢者の塔攻略①
一階。
地上と続くここには敵はいない。命綱のポーションの殘數の確認や荷チェックを行ってから階段をあがった。馬とティリオンは、ここで待機。リーフとレオンは階段も登れると言うので付いてくることになった。
二階~五階。
敵は、小鬼とも言われるゴブリンたち。五階のボスもゴブリンロードで、瞬殺だった。
六階〜十階
敵は、豚とかって言われるオーク達。豚の要素がないのに豚という蔑稱があるのは太め型だからかしら?そうだったらちょっと酷い。
十階のボスはオークキング。やはり瞬殺だった。
十一階〜十五階。
敵は鬼とも呼ばれるオーガだった。十五階のボスのキングオーガは、レティアが首を一閃して終わった。
十六階〜十九階。
敵は、トロル達。いわゆる『巨人』だ。オーガより大きく力はあるが、太っており愚鈍できも遅い。棒で毆りつけようと腕を振り上げたところで、私の氷の楔(アイスエッジ)や、アリエルの弓で眉間を撃たれ大きな音を立てて倒れていく。殘りをゆっくりと振り回される棒を避けながら、マルクとレティアが首を切りつけ、リィンが頭にハンマーを打ち付ける。うん、まだ過剰戦力かな。
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二十階。
ボスはサイクロプスだった。
いわゆる『一つ目の巨人』。顔全が大きな目だけど、目って急所よね?的が大きすぎないかしら?
なんかアリエルがグサグサとその目を的にしていた。可い顔してやることえぐいよ。
二十一階〜二十四階。
アンデッドのフロアだった。
スケルトンに、ゾンビ、グールにリビングデッド達。しかもすごい數で、フロアが腐臭で臭うのだ。
「……いちいち打つのヤダ」
そう言って、アリエルはフロアごと浄化して終わらせた。さすがにエリア浄化は魔力を消費するので、マナポーションを飲んで貰ってから次のフロアに向かった。
二十五階。
ボスは死霊魔師(本人も骸骨にローブ姿)だった。
えっと、さっき片付けたアンデッド達をフロアにぎっしり召喚するもんだから、アリエルが臭い!と怒ってフロア浄化するのに巻き込まれて消えていった。さすがに哀れになってくる。ボスの威厳もありがたみもなかった……。
二十六階〜二十九階。
リビングアーマーとアンデッドマジシャンがふよふよと浮いていた。
リビングアーマーは、鎧だけのアンデッドで、アンデッドマジシャンはローブだけのアンデッドだ。
「……また私ね」
そう言って、アリエルがエリア浄化する。
……が、リビングアーマーは消えたが、アンデッドマジシャンは消えずに殘っていたのだ。
「あれ?」
アリエルが首を傾げる。
「アレは魔法攻撃をけると、魔法障壁が発するらしいな」
様子を見ていたレティアが説明した。
「そうすると、理攻撃か〜。よっし!」
アリエルが、聖屬の魔力で作った矢でってみるが、やはり魔法障壁が展開されて弾かれた。魔力で作った矢は魔法扱いらしい。彼には魔法が効かない相手用にし実の矢も持ってもらわないとダメね。
「む〜、そう來るなら、武に聖屬付與しちゃうもんね〜!聖戦(ジハード)!」
ぷうっと頬をふくらませたあと、アリエルが聖屬付與の支援魔法を全員に展開した。
……そういえば、私って武ないわ。
みんながローブに隠されたコアである魔石を叩き割って歩いている。
私だけが役に立たなかった。
三十階。
ボスはチャリオットという古代の戦車に乗ったデュラハンだった。なぜか首が既に切れていて、その首を自分の手で大事に抱えているアンデッドの騎士さんだ。あれって手が塞がれて邪魔じゃないのかな?左手で首を持ち、右手で槍を掲げている。
乗っている戦車は、車の中央に鋭利な串をつけた、巻き込んで殺そうっていう有名な戦車だ。エグい。
……が、彼はその戦車を走らせることなく、アリエルの聖屬魔法の前にと消えた。
三十一階〜三十四階
いかにもなマント姿のヴァンパイアと眷屬のコウモリたちが飛び回っている。そうすると、未踏破の三十五階って、ヴァンパイアの王様なのかしら?彼らは、私たちのを吸おうと積極的に群がってきたが、アリエルの聖屬のエリア魔法に消されて行った。
ここからが問題の未踏破エリア。三十五階以降だ。
アリエルには、今まで散々頑張ってもらったから、マナポーションでしっかり魔力を補給してもらう。
階段を上がって、フロアの口をくぐった。
そこには、おびただしい數のヴァンパイア、ただし、いかにも元冒険者の姿のヴァンパイア達でひしめき合っていた。みなは青白く目が走って赤い。の涙を流している者もいる。
「……うっ」
階下のモンスター然とした姿ではなく、いかにも『人から人ならざるものになった姿』は、私たちの胃を刺激した。みな、口を塞ぐ。
そして、フロア最奧に、この狂気のフロアをつくりあげた存在がいた。
『ノーライフキング』。ヴァンパイア達の王たる存在だ。そして、これが『賢者の塔』が未踏破である元兇だ。
「諸君。私のフロアへようこそ!どうだ、私の下僕(コレクション)は素晴らしいだろう!そして、お前たちも我が下僕になるがいい!」
そう言って、禍々しい牙を剝き出しにして、黒いマントを翻しながらこちらへ飛んでくる。
「アリエル!」
「任せて!不浄者消滅(バニッシュ)!」
アリエルが頭上に掲げた利き腕から、神々しい懲罰のが放たれた。
……が。
「アリエル!危ない!」
ザッと割ってったレティアの剣が、ノーライフキングの牙をかろうじて捉え、その狂撃からアリエルのを救った。
「……アンデッドなのに、聖魔法が効かないの?」
アリエルが驚愕にその瞳を大きく見開く。
タン、と三者それぞれが床を蹴って距離をとる。
「王たる私は賢い。それくらいの備えくらいはしておりますよ。ああ、その絶に満ちた表はこの上なく愉快だ」
そう言ってノーライフキングは、紅いを歪めてくつくつと笑う。
アリエルはその言葉を挑発とけ取って、さらに攻撃をしかける。
「だったらぁっ!火はいかがっ!蒼い炎(ファイアーボール)!」
アンデッドにもう一つ有効なもの、それは炎だ。ファイアーボールとはいえ、蒼炎は上級にあたる。それをアリエルはありったけの個數をノーライフキングの腹に叩きつける。
「そおれっ!」
そして、ノーライフキングの背後からはリィンがハンマーを振り下ろし、レティアが剣を持って風のように駆け抜け、マルクが斧頭で首を叩きおろうと得を振り下ろす。
だが、そのいずれもが、彼に糸ほどの傷を付ける事もかなわなかった。
「あっははは!理攻撃も、聖も、闇も、も、邪も、火も、水も、土も、風の屬魔法も、全て私には無効です。さあ、諦めなさい、絶に泣きわめきなさい!そしてその果てに我が下僕となるがいい!」
ノーライフキングは、勝利の確信に酔い、高らかに笑う。
……ん?私、それ以外の屬持ってなかったっけ?
「茨の鞭(ローズウィップ)!」
私がダメ元でぶと、地上から生えてきたのだろう、塔のあちこちの窓から茨の蔦が侵してきて、ノーライフキングを羽い締めにすることが出來た!やったぁ!
「な、なんだこれは!なぜ魔法が私に効くのだ!」
暴れるノーライフキングだが、そのあがきは締めつけをきつくするばかりで、やがて立っていられずに床に倒れ込んだ。
……だって、あなたが言ったのにっていない、『緑魔法』だもの。
「とりあえず、コイツの無効化は完了?」
ほっとした顔のマルクが私の元へやってくる。
「何を!手足がかずとも魔法で……!」
「蔦さん、お願い」
私がお願いすると、ぐるぐると開かれた口にも蔦が巻き付く。
「でも、どうやってコイツ処分するんだ?」
レティアが床をゴロゴロして足掻くノーライフキングの首を剣でペちペち叩く。
ボスを倒さない限り、次の階への扉はあかない。
……さてどうしよう?
みんなで顔を見合せた。
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