《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》96.苔むす癒しの

だべり回。

翌朝朝食を済ませ、テントなどの野営の片付けをして、一行は、次の目的地である『苔むす癒しの窟』へ向かうことにした。

今まで、王都の北西出口から出て、街道沿いに北西方向へ進んできた。今度は、國の北部山脈沿いを東西へ繋ぐ街道を使って、東を目指すことになる。

この道は、北部の山沿いに転々と存在する鉱山を行き來するのによく使われており、見回り警戒中の兵士さんや、人數調整などの関係で移をする鉱夫さんたちに出會う。人通りも多く、暫く魔獣に出くわすことも無く、平和な旅を続けていた。

旅は安全で、時々魔獣と兵士さんが戦っているのに加勢するくらい。だから、旅は會話混じりに進んでいた。

「ねえリィン、ちょっと作ってしいものがあるんだけど、聞いてくれないかしら?」

「ん?アタシに作れるモンだったら相談乗るぞ」

そうそう、私には今しいものがあるのよね。それは杖!當然、普通の魔導師用の杖とかじゃないわ。

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「杖を作ってしいのよ。ポーションを二種類くらいれておけてね、スイッチを押すと、ポーションが中から噴出されるの」

「は?なんだそりゃ」

リィンが、あまりにも想像とかけはなれた『杖』なるものの構想を聞かされて、顔を顰めて首を傾けた。

「そしたら、私が水魔法で制して、ポーション弾か、範囲回復させるのよ!なんて言うか、ポーション瓶を開けるのが面倒なのよね」

そう、ポシェットからポーション瓶を取りだし、蓋を開ける。この工程を省略したいのよね。

「……デイジー、それ、使い切ったらどうするんだ?」

「ポーション瓶から補充……ってあ!」

そこで、しゃがみこんで杖と何本ものポーション瓶の蓋をあけて、ポーションを補充している自分の姿を想像した。

……全然ダメだわ。

「それにさ、れておくんだろ?杖が揺れる度にその重さで手に負擔かからないか?」

回復師のように杖で回復をするという計畫がだらけだったことに気づいて、ぷうぅ〜と私は頬をふくらませる。

「……いや、ポーション弾だけで十分アタッカーは助かるぞ?」

「……既に規格外だしな」

レティアがめと、マルクがなんかボソッとこぼしている。

「それじゃあ、杖は置いといて。ドレイク対策って、どうするの?」

私は、賢者の塔を攻略する気満々だ。きっとあそこにはお父様たちのお役に立つような魔導書や裝備品があるに違いないわ!

「炎を吐くドレイクなら、相反する氷屬には弱いだろう。だから、武に氷屬を付與するとかだな。まあ、俺とレティアとリィンの『魔剣』の類の製造をお願いすることになるかな」

マルクが馬に揺られながら答えた。

「私も、熱に強そうなドレイク相手だと決め手に乏しいので、氷屬を付與した矢なんかがあれば、お役に立てると思います」

バッサバッサと翼をはためかせるティリオンに揺られながら、アリエルが希を述べる。

「あとは防かなあ……熱や炎に耐があるような防を作ることが出來れば、格段に被ダメージは減ると思うぞ」

「あとはデイジーの力を上げたいところだけど……、十歳のの子の力が、ドレイクのブレスに耐えるということ自がまずありえないから、みんなの回復に徹して、口のところに隠れているというのは必須かなぁ」

そして、マルクが私に釘を刺した。

……うっ、どうせ私は力ないですよ。ぷんぷん。

と、今後について相談しながら歩いていると、目的の『苔むす癒しの窟』に著いた。

「あ、ここもなにかある気がする」

そう言って、リィンが窟の奧にっていく。

そうして、レオンから降りて、窟の奧まで辿り著くと、彼の周りにたくさんの土の妖、黃い小人さん達が現れた。

「鉱出!」

リィンがそう言って窟の壁に指を指すと、黃い小人さんたちが一斉に両腕を掲げた。そして、窟の奧の壁が黃金に輝き、キラキラと輝く粒子が壁一面から出てきて、宙を埋め盡くす。

「鉱再結晶!」

リィンがそうぶと、小人さんたちが宙のある一點をいっせいに指さす。すると、キラキラ輝く粒子はその一點に集まり、複數のごろごろした鉱石になって、リィンの掌に落ちた。沢山いた小人さんは居なくなっていた。

リィンが私たちの方に向き直り、その鉱石を手のひらに乗せながら、私たちに見せる。

「うーん、優しいじがするけど、デイジー、ちょっと見てみて」

そう言われて、私はリーフから降りて、リィンの元へ駆けて行ってその鉱をじっと見る。

【癒しの石】

分類:鉱・材料

品質:良質

レア:B

詳細:裝備品に加工することで、自然に力回復の効果を発揮する。他の裝備品におなじ効果がある場合は加算される。

気持ち:僕がいれば、安心安全!

「裝備品にすると、自然に力が回復するらしいわ!しかも効果加算よ!」

私は興して、結果を伝える。

「ってことは、この『守護の指』の回復量にさらに加算か……もし裝備出來れば、凄い楽になるな」

マルクが中指にはめた指を見下ろす。

「これで全員分の裝備に足りる量のインゴットができるといいんだけどな!デイジー、これよろしく」

やはり、まずは私の加工が先ということで、リィンから鉱石をけ取り、ポシェットの中にしまった。

あとは、當初からの目的の『癒しの苔』だ。

この窟中が苔むしていて、ちょろちょろと湧水が流れ出している。この水が苔たちを育んでいるのだろう。辺り一面が苔だらけで、その中から『癒しの苔』がびっしり繁している巖を見つけた。

【癒しの苔】

分類:植

品質:高品質

レア:B

詳細:魔力があり、薬剤の元に使われる。とても瑞々しくイキイキしている。

気持ち:水をたっぷりちょうだいね!ひなたは嫌いだよ!

「この巖に付いた苔がしいけれど、出來ればアトリエで栽培したいのよね……」

苔って剝がして持って帰っても繁させられるものなのかなあ?ちょっと、剝がしていくことを躊躇っていたその時。

「じゃ、この巖割るからな!」

止めるまもなく、リィンがハンマーで巖の下部を叩き割った!

……ということで、私はやっと當初の目的の二品を手にれて、王都への帰途につくのであった。

次回からは、気になる実家に話題が移ります(*´艸`*)あの人達ですよ!

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