《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》102.強力マナポーションを作ろう①

種まきを終えて、一週間くらい経ったある朝のこと。アリエルはまだ実家で特訓のお付き合い中だ。

「コンコン」

と、私の部屋の窓を叩く音が聞こえた。

……何かしら?

窓辺に移してみると、窓の外に例の霊のの子がいた。

「デイジー!そろそろ賢者のハーブと癒しの苔が落ち著いて、採取できるわよ!」

わざわざ教えに來てくれたらしい。

「ありがとう霊さん!朝ごはんを食べたら早速お庭に向かうわ!」

私は、寢間著からワンピースに著替えて、顔を洗う。そして、ドレッサーの前で髪のをとかして、お下げに編んで。前髪をヘアピンでとめたら完

階段を降りて、食卓テーブルのある二階へ降りていく。そして、みんなに聲をかける。

「おはよう!」

「「おはようございます!」」

ミィナとマーカスが揃って朝の挨拶を返してくれる。

テーブルに載っているのは、シンプルなふんわりパンと、ソーセージが二本と目玉焼き。そして、牛。我がアトリエの定番の朝食だ。

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「「「いただきます!」」」

椅子に腰を下ろして、みんなで揃って食事をはじめる。

「そういえば、アリエルさんがいらっしゃるのはまだ先になりそうですか?」

ミィナに質問された。うん、家事の都合もあるし、彼が一番気になるわよね。でも、アリエルは実家が落ち著くまではお兄様とお姉様の特訓の付き合いをすることになって、まだ帰ってこない。

「うちのお兄様とお姉様の決闘が終わったら、うちに來ると思うわ」

「うーん。デイジー様のお兄様とお姉様ですよねえ。決闘向けの指導をなさっているなんて、あんな可らしい小さなお嬢さんなのに、人の才能は見かけによらないんですね」

……小さいけど五十歳だしなぁ。

心しながら、朝食をパクパクと食べているミィナを眺めながら、『いつかちゃんと話した方がいいのかしら?』と悩む私だった。

朝食を終えて、苔を乗せるためのお皿を持って畑に出る。

「みんなおはよう!」

さんや霊さんたちに挨拶をして、まずは『賢者のハーブ』の所へ。

【賢者のハーブ】

分類:植

品質:高品質

レア:B

詳細:厚な葉に魔素(マナ)をたっぷり貯える。イキイキとしてやる気満々だ!

気持ち:もう、準備できているよ!

……ふふ。『やる気満々!』ですって。

鑑定さんの評価に思わずクスッと笑っちゃう。

「じゃあ、葉っぱを數枚いただくわね」

そして、『癒しの苔』は、と……。

【癒しの苔】

分類:植

品質:高品質

レア:B

詳細:魔力があり、薬剤の元に使われる。とても瑞々しくイキイキしている。

気持ち:準備萬端!

「じゃあ、必要な分いただいていくわね!」

スプーンで苔をすくって、お皿に乗せた。

そして、実験室へ移した。

「苔って扱うのは初めてね……。やっぱり、念の為にエキスは別々で出しようかな」

マーカスが朝一で準備してくれる蒸留水の在処を確認し、素材を洗って余分な水気をとる。

そして、賢者のハーブと癒しの苔をしだけ齧って苦味の確認をする。

「ん。どっちも苦くないのね。じゃあ、このままみじん切りにするだけでエキス出しましょ」

まずは、慣れている葉っぱのもの、賢者のハーブの葉をみじん切りにして、なめの水と一緒にビーカーにれて加熱する。

【マナのエキス???】

分類:薬品のもと

品質:低品質ーーー

詳細:分の出が出來ていない。

気持ち:もっと溫かくてもいいんじゃない?

したつと、ビーカーのガラス面に小さな気泡が付き始め、だんだんその気泡が大きくなってくる。

……うん、こういうのって久しぶりだわ。ビーカー使っての作業が私の錬金の原點だものね。

水が溫まり、その表が変わっていくのを、私は懐かしい覚を覚えながら微笑みを浮かべて経過を見守った。やがて、気泡がポコりポコりと水面に昇っていく。

【マナのエキス】

分類:薬品のもと

品質:低品質ー

詳細:分がし溶けだし始めている。

気持ち:うん、このくらいこのくらい。いい湯加減だね!

葉っぱはいつもこれくらいの溫度だと上手くいくのよね。しかも、『いい湯加減』ですって。じゃあ、この溫度で保てるように、加熱を調整して……と。

【マナのエキス】

分類:薬品のもと

品質:高品質

詳細:分が十分溶けだしている。

気持ち:最高だね!

しばらく一定の溫度を保ち続けると、エキスをちゃんと取り出すことが出來た。

……うん、久しぶりだったけれど、葉っぱのエキス取りは功したわ!

安堵に、ほう、と息をついて、今度は癒しの苔のエキスをとるために、新しいビーカーを取り出す。そして、癒しの苔をみじん切りにして、なめの水と一緒にビーカーにれて加熱する。

【癒しのエキス???】

分類:薬品のもと

品質:低品質ーーー

詳細:分の出が出來ていない。

気持ち:え?溫かくするの?

……ん?なんか気になることを言っているけど……。溫めて出するのって基本よね?

したつと、ビーカーのガラス面に小さな気泡が付き始め、だんだんその気泡が大きくなってくる。

【癒しのエキス?????】

分類:薬品のもと

品質:ヤバイ

詳細:分の出が出來ていない。それどころか有効分が変質しようとしている。

気持ち:あついのヤダヤダヤダ!

ええええええ!?ちょっとなにこれ解らないわ。品質が『ヤバイ』って何?しかも名前の『?』がどんどん増えてって……まずいわ、これは、『アレ』が出來ちゃうわ!

ボンッ!

【産業廃棄

分類:ごみ

品質:役立たず

詳細:捨てるしかない。有効分なんてどこにもない。

気持ち:ヤダって言ったでしょ!

うっわー。出來ちゃったわ。『産業廃棄』。

トホホ……。

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