《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》104.妖達の忙しい一日
し閑話風かも?
私は、緑の妖から進化した霊のの子。デイジーと一番の仲良しだって自負しているわ!
世界樹がやってきてから、デイジーの畑の狀態はすこぶる良いのです。イキイキとした葉を茂らせているのは言うまでもなく、長自も早くなりました。
そして、世界樹自の長も早い。既にデイジーの背丈を超え、とうとう花を付けました。世界樹の花のは私達霊や妖たちのあまーいご馳走なので、代わる代わる世界樹の花にキスをしています。
そんな平和なデイジーの畑にも、天敵たちはいるのです。
イキイキと茂る味しそうな葉を食べに來る蟲や、実った実を食べに來る小鳥やカラス達です。
ある日、デイジーの畑に植わっている『萬年草』、栄養剤の材料になる栄養価が高い植に、蝶が一匹迷い込んできて卵を産んで行ったから、さあ大変!
卵は順調に長し、たくさんの小さな芋蟲たちが孵り、葉っぱを「さあ食べよう!」と群がります。
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「大変だわ!」
私はその景を見て顔が真っ青になりました。
ここはデイジーがとっても大事にしている畑。そして、彼の錬金には欠かせない素材がたくさん植わっている畑なのです。
……芋蟲たちに食い荒らされたら、デイジーがとっても悲しむに違いないわ!
「妖達!集まりなさい!事件発生よ!」
私は、デイジーの畑にいる妖達を集合させました。
「みんな聞いて!たくさんの芋蟲が孵って、デイジーの大事な素材の葉っぱを食べようとしているのよ!」
私は、妖達に事を説明します。すると、集まった妖達も大慌て!
「葉っぱがかじられたら大変だ!」
「デイジーが悲しむよ!」
「デイジーが泣いちゃったら霊王様にお叱りをけちゃうかも……!」
「「「どうしよう!」」」
妖たちは右往左往する。
「みんな!慌てないで!幸いデイジーのおうちは、王都の端っこにあるわ。だから、壁を越えて芋蟲を野原へポイッとすれば、彼らは外で生きられるし、デイジーの畑にも被害はないわ!」
私は、解決策を提案します。
「それはいいね!」
「みんなで一匹ずつ捕まえて外に出せば、全部追い出せるんじゃない?」
「でも、僕達のことは人は見えないけれど、蟲は見えちゃうんじゃないの?」
「芋蟲が空を飛んでいたら変かな?」
「まだ小さいし、そんなに気にしないんじゃないの?」
パンパン!と手を叩いて口々に言いたいことを言っている妖達を黙らせます。
「人がいないルートを通ります!じゃあ、作戦開始よ!」
私と妖達は、一人(?)一匹ずつを捕まえて、次々に空を飛んで壁を越え、王都の外の野原へ芋蟲を放り出すのを繰り返します。
何度か往復すると、やっと芋蟲は全て排除出來ました。
「「「やったね!」」」
妖達は、ハイタッチをします。これで、私たちの大切なデイジーが悲しむことはありません。
ところが。
そんな喜びもつかの間、今度は、カラスがやって來ました!目當ては、デイジーが実がなるのを楽しみにしていた、『すばやさの種』と『力の種』の実です。デイジーが、種を増やして配してみるのを楽しみにしていた、あの種です。中にっている種まで持っていかれては大変です!
「「「うわ、大きい!僕たちには無理だよ!」」」
まだ小さな妖達は怯えてしまっています。それはそうでしょう。彼らよりカラスの方が大きく、そして鋭いにつつかれたら大怪我をしてしまいます。
「私がやるわ!みんなは避難していて!」
私は霊。大きくなっただけでなく、魔法も使えます。デイジーのために、追い払わなくっちゃ!
「茨の鞭(ローズウィップ)!」
とは言っても、私が出せるのは、小さな私と同じく細い蔦たち。
でも、ぎゅーんとカラスに向かって蔦はびて行って、カラスを追い払うようにペシペシ叩きます。
「ガァガァ!」
カラスは怒って蔦をで挾もうと躍起になりますが、いくら捕まえても、次から次へ蔦がびて來てを叩かれるので、嫌になって飛んで行ってしまいました。
「「「やったぁ!」」」
私も妖たちも一安心です。
これでデイジーの楽しみにしていた種も無事にすでしょう。
ところが、喜んだのもつかの間!
今度はアリです!
今日はなんて忙しいんでしょう!
アリが隊列を組んで、またもや『すばやさの種』と『力の種』の実に群がろうとやってきました。
「「「蟻は無理だよ〜」」」
彼らは、妖達が捕まえると、反撃に噛み付いて來るのでとても痛いのです。私たちの天敵です。
「「「どうしよう!」」」
もう、アリ達は、まさに木に登らんとしています。
そこへ、貓獣人のミィナがやって來て、アリがいるのに気づいてくれました!
「はわわわ!大変です!アリが行列を作ってデイジー様の大切な木に登ろうとしてます〜!」
ホンワカとした口調とは裏腹に、ミィナは靴底で行列を組んでいるアリを順々に踏んでいきます。そして、その足はやがて、新しく庭に出來たアリの巣に辿り著きました。
「もぅ〜。お庭に巣なんか作らないでくださいよ〜」
そう言うと、彼はやかんに熱湯を沸かして持ってきて、巣を水沒させます。
「ん。まだ出てきますねえ、もう一回〜」
さらに熱湯を注いでしばらく待っても、アリは出てこなくなりました。
……可いのにやることえげつない子ね……。
「これでもう大丈夫ですね〜」
にこにこ笑って、畑のトマトを収穫すると、空のやかんを持ってミィナは行ってしまいました。
夕方。
デイジーが、私たちの好のジャムを持ってやって來ました。
「いつもありがとう!」
平和な畑の様子を見てデイジーはご機嫌です。畑に置いてある小さな置の上に、私たちのためにジャムをれたお皿を置いてくれました。
「「「仕事のあとのジャムはひときわ味しいね!」」」
妖も私も、一緒になってご褒のジャムを舐めました。
「デイジー、今日も畑は無事よ!畑のことは私たちに任せてね!」
私がデイジーの前までふわりと飛んで報告すると、デイジーはその綺麗な空の瞳を細めて笑顔になります。
「いつもありがとう。頼りにしているわ!」
私は、やっぱりこの笑顔が一番大好きだわ!
そう、今日の幸せを噛み締めるのだった。
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