《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》209.ホーエンハイム家からの招待
「錬金師や、そうなる予定の子供を一緒に連れてきてもいいですよ。分も問わないから、気軽にみんなでおいでなさい」
ホーエンハイム子爵が、私をお宅へ招いてくださったときに、そう私におっしゃってくださった。
しかも、お孫さん達とも一緒に住んでいるそうで、子供の扱いに慣れた侍さん達が多いそうだ。訪問の気遣いのために、わざわざ付き添いをつける必要もないよ、と、言ってくださる。
……確かに、錬金で有名な名家にお邪魔できるって、貴重な験よね。
だとすると、お言葉に甘えて、の錬金師やその卵達は一緒に訪問させていただきたい。
とすると、マーカスを筆頭に、アトリエに住み込みして勉強中のルックと、実家のリリーを連れていくのが良いかしら?
それと、実家にお手紙を出してくださるって言っていたから、実家にもそのことの説明と報告が必要そうだわ。
なので、私は、久しぶりに実家に帰ることにした。
私は、フェンリル姿のリーフをお供に実家を訪ねた。
Advertisement
すると、いつものようにセバスチャンが玄関で待っていてくれる。
「ただいま、セバスチャン」
「お帰りなさい、デイジーお嬢様」
変わらないこのじが嬉しい。
帰ることを事前に伝えていたからか、居間にまだ勤務中であろうお父様を除いて家族全員が揃っていた。
「お帰りなさい、デイジー」
お母様が座っていたソファから立ち上がり私のもとへやってきて、頬にキスをくれる。
「「おかえり、デイジー」」
そして、同じようにやってきた、お兄様、お姉様も、私の左右の頬に、互にキスをくれた。
「デイジーお姉様、お帰りなさい」
最後に小さなリリーが急いで歩いてきて、私の腰に抱きついた。
「お茶でも淹れさせましょう。さあさあ、みんな立っていないでソファに移しましょう」
そう言ったお母様の言葉に従って、みんなでソファに腰を下ろす。
その橫で、お母様が侍のエリーにお茶とお菓子を用意するようにと指示していた。
「デイジー、アトリエの方はどうだい?」
お兄様が、エリーが用意してくれた紅茶を一口飲んでから、尋ねてきた。
「うん、アトリエの経営は順調よ」
「それなら良かった」
そう言って、笑顔を見せるお兄様の橫から、今度はお姉様が尋ねてくる。
「教科書作りの方はどうなったの? 陛下からのご依頼と聞くし、そっちも気になるわ」
國王陛下が來春開校なさる、『國民學校』に錬金科も設けることになって、その教科書の原案を手がけることになったことは、決まった時にすぐに実家に伝えておいた。
そして生徒としてリリーも通わせるか、我が家でも検討中なのだ。
「そうそう。錬金科の先生は、あ(・)の(・)宮廷錬金師のホーエンハイム子爵が就かれるらしいの! 宮廷の方はお年の関係で職を辭めるらしくて。 でね、先日原案を見ていただいたのよ!」
すると、お母様が『ホーエンハイム』の家名に興味を持ったように、目を見開く。
「まあ! 錬金師が今でこそ不人気とはいえ、ホーエンハイム家といえば、あのパラケルスス様を輩出した錬金の名門じゃない! そのご當主自らが教鞭を執られるなんて!」
まぁ! としたように驚きで開いた口元を隠す。
……あれ? お母様って意外に錬金師について詳しかったのかしら?
私は、お母様がそこまで驚くことに、びっくりしたけれど。
「でね。今度教科書の原案をご相談するにあたって、子爵家にお招きいただいたんです。で、その時には、年齢も分も問わないから、錬金師の職をいただいた子を一緒に連れておいでって言ってくださっていて……」
私は、もう一つの報告について口にした。
すると、家族みんなの視線がリリーに注がれる。
「私、ですか?」
キョトンと瞳を大きくして、リリーはその視線をけ止める。
「そう。錬金で有名なおうちの方が、リリーくらいの歳でもいいから、いらっしゃいってってくださっているのよ」
私のその言葉に、リリーは、目線をお母様の方へ向ける。
「お母様。私、お呼ばれって初めてだけど……大丈夫なのかしら?」
うーん、と首を傾げてリリーが悩んでいる。
「先方は、良いと言ってくださっているんでしょう?」
お母様が私に向かって確認をする。
「ええ。子爵家にはお孫さんもいるらしくて、子供の世話に慣れた侍もいるので、気負わずにどうぞ、と勧められているんです。分も問わないとおっしゃって下さっていますから、アトリエからも、二人連れて行こうと思っています」
私が答えると、お母様は表も明るく、ポンと手を打たれる。
「だったら、お邪魔させていただいても良さそうね。錬金を生業とされているお宅だから、きっとリリーにもいい刺激になるでしょう!」
そう言って、お母様がリリーをそばに引き寄せ、抱きしめる。
リリーは、その腕の中で嬉しそうに微笑んで、「はい!」と元気に答えるのだった。
【電子書籍化】退屈王女は婚約破棄を企てる
☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
8 132【書籍化】白の平民魔法使い【第十部前編更新開始】
魔法使い。 それは魔法を駆使して戦い、守り、救う超越者。 だが、魔法使いの世界は才能が物を言う。長く続く魔法の歴史は才能ある一族だけを拾い上げ、今では魔法使いは貴族のみとなった。 ここマナリル國でもそれが常識。 マナリル國有數の教育機関であるベラルタ魔法學院には今年も優秀な魔法使いの卵が集まっている。 そう、一人を除いては。 一際目を引く素樸な少年。 煌びやかな世界とは無縁の田舎者。 そこにいたのは學院唯一の平民だった。 "魔法使いになりたい" 魔法になりきれない魔法の使い手による夢を葉える物語が今始まる。 ※この度KADOKAWA様から書籍化する事となりました!11月13日発売です! ♢ 第五部完結しました! 第一部『色の無い魔法使い』完結。 第二部『二人の平民』完結。 第三部『初雪のフォークロア』完結。 第四部『天泣の雷光』完結。 第五部『忘卻のオプタティオ』完結 第六部『灰姫はここにいる』完結。 第七部『氷解のミュトロギア』完結。 第八部『翡翠色のエフティヒア』完結。 第九部『呪われた魔法使いとお姫様』完結。 第十部前編『星生のトロイメライ』更新準備中……。 第十部後編『???』 王道ファンタジー、だと思います。
8 156高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
8 170パドックの下はパクチーがいっぱい/女子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー
京都競馬場のイベント。著ぐるみを著た女が階段から落ちて死んだ。その死に疑問を持った女子大の競馬サークルの後輩たちが調査を始める。なぜか、顧問の講師に次々と降りかかるわけの分からない出來事。 講師に好意を抱く女子學生たちの近未來型ラブコメディー&ミステリー。 講師の心を摑むのは、人間の女の子か、それとも……。 そして、著ぐるみの女の死は、果たして事故だったのか。推理の行方は。 「馬が教えてくれる」という言葉の意味は。 そして、妖怪が仕掛けた「合戦」によって得られたものは。 推理とはいえ、人が人を殺すという「暗さ」はなく、あくまで楽しく。 普通の人間、ゾンビ人間、妖怪、ペットロボットが入り亂れ、主人公を翻弄します。 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリーです。 錯綜したストーリーがお好きなミステリーファンの皆様へ。 第四章から物語は不思議な転換をし、謎が大きく膨らんでいきます。お楽しみに。 かなりの長編になりますので、少しづつ、ジワリと楽しんでいただけたら幸いでございます。
8 186【WEB版】身代わりの生贄だったはずの私、兇犬王子の愛に困惑中【書籍化】
11月11日アリアンローズ様より【書き下ろし2巻】発売! 伯爵家の長女ナディアは、家族から冷遇されていた。実母亡き後、父は後妻とその娘である義妹ジゼルを迎え入れ溺愛し、後妻はナディアを使用人以下の扱いをしていた。そんなとき義妹ジゼルに狂犬と呼ばれる恐ろしい王子の侍女になるよう、國から打診がきたが拒否。代わりにナディアが狂犬王子の生贄として行くことになった。そして噂通りの傲慢な態度の狂犬王子クロヴィスは、初対面からナディアを突き放すような命令をしてきた。ナディアはその命令を受け入れたことで、兇犬王子は彼女に興味を示して―― ◇カクヨム様でも掲載 ◇舊題『身代わりの生贄だったはずの私、狂犬王子の愛に困惑中』※狂犬→兇犬に変更
8 74ファルダーミール -明日の世界-
どこにでもいる普通の高校生。 甘奈木 華彌徒[カンナギ カヤト]は、平和な日常を送っていた。 顔も性格も家柄も普通な彼には誰にも……いや……普通の人には言えない秘密があった。 その秘密とは、世に蔓延る亡者、一般的に言えば幽霊や妖怪を倒すことである。 ある時、友人にその事がばれてしまったがその友人はカヤトに変わらずに接した。いや、むしろ、自分からこの世ならざる者と関わろうとした……。 ───────────────────── 【目指せ、お気に入り1000人達成!?】 2018/10/5 あらすじの大幅改変をしました。 【更新は気長にお待ち下さい】 ─────────────────────
8 111