《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》210.ホーエンハイム家の孫息子

結局、実家の馬車を借りて、私、リリー、マーカス、ルックの四人でホーエンハイム家へお邪魔することになった。

あのあと、お父様にもご報告して、誰か大人を付き添いにつけるかどうかと相談した。

「でも、デイジー自が『プレスラリア準男爵』として招待されたんだろう? 先方のお言葉もあるし、なら君が代表でいいんじゃないか?」

そう、お父様が判斷なさって、者と騎士が一人ずついるものの、子供達だけで訪問することになった。

休日である安息日。

ホーエンハイム子爵家に到著すると、主人からすでに伝られていたのか、玄関で待っていた子爵家の執事は私の名前を聞くとすぐに、子爵が待つという客間に私達を案してくれた。

「おお、よく來たね!」

ソファで本を読んでいた様子のホーエンハイム子爵が、本を閉じてテーブルに置き、立ち上がって私達の方へやってきた。

「お言葉に甘えて、大勢でお邪魔します。ご招待、ありがとうございます」

私が挨拶しながら、手で、みんな橫に並ぶように促した。

Advertisement

「錬金師の未來を擔っていく子たちがこんなにたくさん! 嬉しいねえ」

私の橫に一列に並んだマーカス達を順番に確認してから、ホーエンハイム子爵が目を細める。

「私はバイアス・フォン・ホーエンハイム。宮廷錬金師長をしているけれど、來年から、國民學校の錬金科の先生になる予定なんだ。よろしくね」

そう言って、年長のマーカスには握手をして、そして、リリーとルックの頭を優しくでた。

「みんなの名前を教えてくれないかな?」

ルックの頭をで終えると、今度は、子爵から自己紹介をしてしいと促される。

「私はマーカスです。錬金師として、デイジー様のアトリエで助手をしております」

「私は、リリー・フォン・プレスラリアです。錬金はまだお勉強中です」

「僕はルックです。デイジー様のアトリエに下宿しながら、教會の學校で読み書きの勉強中です。將來は生まれ故郷の村に戻って、錬金師として村のみんなを助けたいです!」

それぞれの挨拶の言葉に、一人ずつ、うんうん、と頷きながら子爵はしっかりと聞いていた。

そんな時、屋敷の外と思われる場所で、ドン! と何回か大きな音がして、軽く地面を揺らした。

「……子爵、これは……?」

私は連れてきた子達を守ろうと、そばへ來るように指示し、素直にみんなが私の近くに集まった。

「……あ〜。あいつだな」

子爵は、客間から屋敷を一できる、大きな窓から外を確認する。そして、額を手で押さえた。

「襲撃とかじゃないから、警戒を解いて大丈夫だよ、デイジー嬢。あれは、うちの孫息子のや(・)ら(・)か(・)し(・)だ」

「……それにしても、大きな音がしましたが……」

子爵のそばに歩み寄って、彼が眺めている方向を見ると、屋敷の離れ、昔の私の実験室を思い出させるような小さな小屋があって、そこから、白い煙がもくもくと立ち込めていた。

しばらく見ていると、その小屋の扉が開き、そこからさらに煙が外に溢れ出て、使用人と思われる男と、リリーやルックと似たような年頃の男の子が、煙にむせながら出てくるのが見えた。

子爵が窓を開けて、その年に聲をかける。

「こら! アル! 発はなしだと約束しただろう! 無事なのか?」

すると、アルと呼ばれた年が、むっつりとした顔で答えた。

発する予定じゃなかったんだよ! 実験に失敗はつきものだって教えてくれたのは、じいさんだろ!」

埃まみれ、煤まみれの顔をりながら、文句を言う。

「すみません、子爵。私の見守りが不十分で……」

使用人の男は、心苦しそうに眉を下げて子爵に頭を下げる。

「お前は悪くないから、頭は下げるな! 俺がやったことは俺が責任を取るんだ!」

年がそう言い切ったことに、事故を起こした事実は置いといても、心してしまう。

……あの年で、自分の責任と言い切って、使用人を庇う。なかなかできることじゃないわ。

私は、子爵の孫だというその年に興味を持つのだった。

やがて、子爵の指示で汚れたなりを整えたアルという年もえて、客間のソファでお話しをすることになった。

「アルフリート・フォン・ホーエンハイム。私の長男の子でね。その中の三男坊なんだ。火薬研究にしか目がなくてね……。君たちと同じく、錬金師の卵だよ。よろしくね」

「……よろしく、お願いします」

子爵の紹介で、年の立場が明らかになった。

「かやく、だけ……?」

リリーは、その紹介に疑問を持ったようで、首を傾げている。

「錬金師は、みんなの役に立つお薬を作る人じゃないんですか?」

私と同じように、まずポーション作りからったリリーからすると、當然の疑問なのかもしれない。彼はそれを口にして尋ねた。

そのリリーの疑問に、ホーエンハイム子爵はにっこりと笑って、そして首を橫に振るのだった。

    人が読んでいる<【WEB版】王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください