《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》214.再戦のための旅立ち

結局、リリーの今後の進む道については、お父様とホーエンハイム子爵、そしてリリー本人の間で決めて行くことになり、次の日の朝早くに、私はアトリエに帰ることにした。

開店前の朝の準備の時間に、當然のように私とマーカスの間で話題に上がる。

ちなみに、一緒に子爵家を訪ねたルックは、學校の登校時間を過ぎていて、外出中。

そして、私も今日から外出予定なのだけれど。

「リリー様は、てっきりデイジーお嬢様とご一緒されるものと思っていました」

そう言いながら、マーカスはその日に使う蒸留水の準備をしている。

「それはね。私も、アトリエの居住階を増築するくらいには、そう思っていたわ」

私も、同意しながら、リリーの將來の選択肢に現れたきっかけ、アルフリートとの出會いを思い出す。

そして、かつてのエルフの里で出會った王様の言葉に思い出す。

「人が生まれ、どんな環境で育ち、何を選びとって生きていくか……そんな一人の運命が、そうやって違う人間が選び取ってきた人生と錯するわ。そして、その出會いがさらに運命という語を壯大なものにしていくの」

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ならば、リリーとアルフリートが出會うことも、壯大な運命の一部なのだろうか。

今日、のエルフの里を訪れるきっかけになった、賢者の塔に再戦するため、北西へ旅立つことになっている。だから、リリーのに起こったことも、必(・)然(・)だったのではないかなんて、そんな風に考えてしまった。

……そうだったら、一緒にこのアトリエで肩を並べていくものとばかり思っていたから、し、いえ違うわね。かなり、寂しい。

リリーに現れたもう一つの道を考えると、柄にもなく傷的になるのだった。

「デイジー様。ぼうっとして大丈夫ですか? 今日はまた危険を伴う場所に赴かれるのでしょう? 準備は萬全ですか?」

想いに耽って、ぼうっとしている私をみかねて、マーカスが尋ねてくる。

「あ、そうね! そろそろ約束の時間だし、裝備や持ちの再確認をしてくるわ!」

私はマーカスにそう告げると、慌ててその場を立ち去り、上階の自室に戻った。そんな私の後を、子犬姿のリーフが追いかけてくる。

今回の裝備の要は、火鼠の皮から作ったマント。

皮加工の技者のバルバラさんが、全員分を採寸して作り上げてくれたものだ。もちろん、リーフ達の分もあるわ!

「うん。必要な裝備も全部れたし、ポーション弾以外でポーションが必要になった時の薬瓶もれたし。大丈夫かしら」

私は、いつものお供のポシェットの中を確認して頷く。

でも、マジックバッグ仕様に加工してもらったとはいえ、裝備品までっちゃうっていうのが、やっぱり違和がある。

だって、この中に、アゾットロッドまでっているのよ?

空間魔法ってすごいわよね。

そうして持ちものの點検をしていると、アトリエの外から、私の名を呼ぶ仲間達の聲がした。

「デイジー! アリエル! 迎えにきたぞー!」

うん、あの聲はマルクね!

私は自室の窓を開けて、表へ顔を出す。

すると、見下ろした先に、大きく手を振るマルクと、レティア、リィンがそれぞれの馬や聖獣とともに、立っていた。

「今行くわ!」

私は彼らに手を振ってから、窓を閉めて施錠し、ポシェットをにつける。

そして、部屋を出て、アリエルと合流し、階段を駆け降りていく。

廚房に顔を出してミィナに聲をかけ、途中ですれ違ったピーターとアリスに、アトリエにトラブルがあった場合の対応をお願いする。

「「「任せてください!」」」

みんな、頼もしい。

裏口を開けて顔を出して、霊さんと妖さん達にも、挨拶。

そして最後に、マーカスにアトリエのことを任せて、扉を開けて、私は外に飛び出す。

「お待たせ!」

「お待たせしました!」

私とアリエルが、外で待ってくれていたみんなに挨拶をする。

リーフとレオンはお互いにクルクル回りながらおの匂いを嗅いでいる。健康狀態をチェックしているのかしらね?

アリエルが、ピィ! と指笛を鳴らすと、王都の外からティリオンが空を駆けて彼のもとにやってくる。

「準備は萬全か?」

マルクの最後の確認に、うん! と私とアリエルが大きく頷く。

「じゃあ、行くか!」

マルクの言葉に促されて、以前、賢者の塔に向かった時のように、北西門に並ぶ。

そして、警備兵さんのチェックをけて、王都の外に出た。

ーー私たちは、あの時の失敗に、もう一度チャレンジする。

そうして、街道に沿って、賢者の塔を目指すのだった。

とうとう、賢者の塔、雪辱を果たすための旅に出ます!

そして、いよいよ書籍版も7/9(金)に発売です!

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