《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》216.対ドレイク戦
王都の外れの錬金師2 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~
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三十五階のノーライフキングを倒した私たちは、その上階のワイバーン達を薙ぎ払っていく。
そしてとうとう、私たちは、あ(・)の(・)敗北、すなわち撤退を余儀なくされた四十五階の目前にまで登り詰めたのだ。
「さて、ここまで來たな」
マルクが、全員を制止して、休憩と改めて裝備などの點検を促す。
私は、アゾットロッドへ、消費した分のポーションを補充する。
また、もし長期戦になっても大丈夫なように、『強力マナポーション』をポシェットの中でも取り出しやすい位置に數本確保した。
私以外の人は、手に持つ得が、ドレイクに一番効果のある、最高のものであるかを確認。
マルクは、被ダメージすら吸収して回復してしまう『大喰らいの大鎧』をにまとっている。
そしてその手には『氷地獄の槍斧』が握られている。
攻撃時には、基本攻撃のダメージに加えて、氷屬のダメージ追加0.5倍を與える。その上、一定間隔で最初に與えた氷屬のダメージを継続して與え続ける、火屬モンスター向けの逸品だ。
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氷屬ダメージを追加で三十%分與えることができ、さらに、その傷口に絶対零度の修復不可能な傷を與える、『絶対零度の槍斧』とどちらにするか悩んだらしいけれど、他のメンバーが『絶対零度シリーズ』の武を裝備するので、ならば自分は違うものと、前者に決めたらしい。
レティアは、剣を『烈火と結氷の剣』から『絶対零度の剣』へ持ち替える。元の剣が持つ炎屬が、萬が一にでも火屬のドレイクを回復させることがないように、考慮したのだ。
リィンは『絶対零度のハンマー』、アリエルも普段はにつけない矢筒を背負い、その中に『絶対零度の矢』を収める。
そして全員で、『火鼠のマント』を筆頭にして、フレイムワイバーンの皮裝備や、フレイムウルフのを混ぜ込んだといった、今までの旅で採取し創り上げた、防火効果のある裝備をにつけているかを點検したのだ。
『力の種』を私とアリエル、リィンが食べることによって、力が大幅に上がっていることも、この塔に來る前にみんなに説明してある。ドレイクに相対することも可能だ。
ドレイクへ再挑戦する道をアナさんに教えてもらった時は、正直気が遠くなるかと思った。
結局、一年から二年の間にし遂げたというのは、長いのか、短いのか。
今になってはわからない。
けれど、今の私たちは、ドレイクを前にして立てるだけの準備を、萬全にしていた。
「……そろそろ、行けるか? まだ時間がしいやつは?」
リーダー役のマルクが皆に問いかける。
けれど、誰もそれに頷く者はいなかった。
私はリーフに、リィンはレオンにる。
「じゃあ、行くぞ」
マルクを先頭にして、ドレイクがいる四十五階のフロアに駆け込んだ。
そして、いつ何が起きてもいいように、私たちは構えを取る。
今回は、部屋の最奧に、ドレイクは丸くなって眠っていたようだ。
その大きく丸い赤い塊が、ゆっくりといてその姿をわにする。
赤くる、質な鱗に覆われた。
金にる、縦に長い瞳孔を持つ、獣の瞳。
人間だったらこめかみにあたるであろう頭部に生える、黒りするツノ。
前腳と後腳には、まるでそれ自が鋭利な武であるかのような、大きな爪。
それがのそりと起き上がって、目と目が合う。
私たちの姿を認識しているようだ。
「來るぞ! 構えろ!」
マルクの言葉のとおり、ドレイクが首をもたげ、大きな翼を広げる。それとともに、開いた口の奧に焔が渦巻いているのが見えた。
……ドラゴンブレスが來る!
「リーフ!」
私は私の足になってくれている彼の名をんで、リーフと私のをまとめて『火鼠のマント』で覆う。
リィンとレオンも同じようにして、來(きた)る、ドラゴンブレスに備える。
ドレイクが、大きな翼をはためかせてこちらに飛んできながら、長い首を左右に振りながら、フロア全に満遍なく炎のドラゴンブレスを吐き出した!
「マントで避けろ!」
マルクが指示するとおり、レティアとリィンも自のをマントで覆い隠す。
一度ブレスを吐くと、次のブレスまでに時間がかかるのか、連続でブレスは仕掛けてこない。
だが、フロアの天井に合わせた低空飛行で羽ばたいて、ドレイクは理的な兇で攻撃をしようと、私の方に向かってくる。
アゾットロッドで全員を回復したかったのだけれど、そんなことをしている場合じゃない。
「「「「デイジー(様)!」」」」
「デイジー様! 大きく避けます! 捕まって!」
マルク達アタッカーとしては後方支援の私に、ドレイクがターゲットを向けるというのは、一番避けたい事態だったはずだ。
私の名をぶみんなの聲と、リーフの警告の言葉が混ざって耳にる。
來る!
私は、覚悟を決めて、その爪から逃げようとするリーフを信じて、そのにぎゅっとしがみついた。
けれど、もともと私がいた位置に留まったまま、ドレイクは私たちを追っては來なかった。
……あれ?
だが突然、攻撃を仕掛けようとしていたドレイクは、羽ばたいて宙に浮いたまま、その場に留まっていた。
「ご主人様の匂いだ!」
そして、なぜかドレイクの口から、の聲がした。
……ここのフロアにいるメンバーの中に、この聲の持ち主はいない。
ということは、それはドレイクの聲であるというこという理屈だ。
普通は、兇暴そうなドレイクの口から、の聲が発せられるなんて想像しない。
そして。
「ご主人様の匂いが、しする人間見つけた!」
ドレイクの目が、爛々と、ただ、とても楽しそうに思える目で、私を見ていた。
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