《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》217.竜殺しというもの
「ご主人様の匂い!」と喜の滲んだ聲でドレイクに言われ、見つめられて、當しない人がいるだろうか?
普通、いないよね?
そう、デイジーは心の中で思う。
デイジーにとってそれは、まさかの事態としか言いようがなかった。
ドレイクが、攻撃の意思を見せるどころか、むしろ喜びに溢れんばかりに目を輝かせて自分を見ているのだから。
さらに、そのドレイクの姿は、まるでデイジーからの聲がけを、今か今かと待っているようだ。
「……どういう事態なんだ? これ」
見つめ合うデイジーとドレイクを遠巻きに見守りながら、マルクが傍らにいるレティアに問う。
「まあ、様子を見守りつつ、危なくなったらすぐ出られるように、構えておくしかないんじゃないか?」
レティアが冷靜な判斷を下す。
「……戦うのは本じゃない。違うか? まあ、確かに打倒ドレイクを目標にしてきて、これらを念に準備してきたのは確かだ。肩かしな気分はしなくもない」
レティアにしては珍しく、饒舌にマルクに意見する。
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そして、手に握る剣を、彼は目の高さにまで掲げる。
それは、階段での準備作業の時に綺麗にを拭い取られており、窓から差し込むを反する。
「なあ、マルク」
レティアが、そのしい刀を眺めながら、マルクの名を呼ぶ。
「機はどうあれ、彼たちの生み出した武や防の類(たぐい)は、私たちを……國や領主、困っている國民からの願いを葉えるのに、十分に役立った。そして多分これからも。……そうだろう?」
「……ああ、そうだな」
マルクは、自分の中指にはまる指を見下ろす。
これのおかげで、彼らは國を守るA級冒険者として、狀態異常攻撃を持つ敵ですら恐れる必要はない。
そして、この二年近くの間だって、別に彼らは、彼たちの護衛だけをしていたわけではない。彼らの本來の仕事を、彼たちが作り上げた防をにつけて、解決してきたのだ。
そして、おそらく今の自分たちの実力が、彼たちの作り上げた裝備によって、S級にすら匹敵するだろうと薄々じている。
けれど、彼たちの『永久護衛』をしてしいという願いと、自分たちの『國を守りたい』という理由から、あえて昇格申請をしていないのだ。
Sに昇格してしまえば、活範囲も討伐要請も増え、彼らのむもの以外にも対応せざるを得なくなる。
「なあ。ドレイクを目標にしてきたことに拘って、彼たちを不要な危険に曬したいか?」
「……したくないな」
「なあ、マルク。エルフの王が言っていたとおりじゃないか?」
唐突に、レティアが懐かしい人の名を持ち出してくる。
「……アグラレス、様……」
アリエルの母であり、(ひ)のエルフの王の名を、マルクは口にした。
「そう。全ては、機織りの神の紡ぐ運命のように。……デイジーが、そもそも賢者の塔(ここ)にきたがったのも、この結果も含めてのことだったんじゃないのか!?」
レティアは、まるでアグラレスが夢見心地に語った時のようなことを、頬をほんのりと紅させながら言い出すにまで至っている。
マルクは、そんな彼の様子と、その言葉にし思い込みが過ぎるのではないか、と一瞬思う。
けれど、今目の前に展開されている狀況は、否定をするのに躊躇いをもたらすのだ。
「なあ、マルク。私たちに敵対したり、災いをもたらすのならともかく、そうでないドレイクや竜を、倒す必要があるか?」
「……ないな」
マルクは、レティアに圧倒されて、その問いにも簡潔に答えるばかりだ。
いつからレティアはこんなに饒舌に、そして、的にものを語るようになったのだろうか? マルクは困する。今の彼は、己の知っているレティアではなかった。
そして、レティアの言葉のとおり、人の生活を脅かしたり、必要なものを求める旅の中で敵対する事態になったとしたら、それは倒すしかないのかもしれない。
そう。
全ては綺麗事だけで済むわけではないのだから。
『竜殺し(ドラゴンバスター)』の稱號、それは冒険者にとって蠱的な響きを持つ。
亜種であるドレイクであっても、おそらくその死を冒険者ギルドに持っていけば、大騒ぎだろう。
しかしその名譽を求めて、自ら竜の住処を侵し、敵対しない相手を殺す必要はないのではないだろうか?
あらためて長年の相棒に問われ、マルクは考える。
『竜殺し(ドラゴンバスター)』。
それは承認求や自己顕示や、金や名譽へのを満たすため。
冒険者の業(ごう)に近いものに突きかされた行為に過ぎないのかもしれない、と。
そうして、しばらくの問答を経て、マルクとレティアは、視線をデイジーとドレイクに戻すのだった。
……この熱視線、いつまで続くのかしら?
マルクとレティアが語り合っている間、ずっと、デイジーとドレイクは見つめあっていた。
……私からの聲がけを、待っているの、かなぁ?
じゃなきゃ、じーっと私を熱い眼差しで見つめながら、待(・)て(・)をしているような狀態で待ってないよね。そう、デイジーは思う。
……だったら、まずわからないことを、彼に「どうして?」って聞くのが、流れかなあ?
デイジーは心の中で、どうするかを決めるのだった。
「ねえ、ドレイクさん」
「はいっ!」
ドレイクは、デイジーに聲をかけられて、尾を振らん勢いで……というか、実際に尾を振っていた。
なんか、フロアの床がバンバン打ち鳴らされていた。
被害がないならいいんだけれどね。
幸い、仲間たちはドレイクの尾側にいなかった。
「あなたは、なぜ私を『ご主人様の匂いがする』なんて言うの? あなたは、誰でなぜここにいるの?」
デイジーは、ドレイクにそう、問いかけたのだった。
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