《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》224.大賢者との縁の由來

私たちは、ウーウェンを賢者の塔に殘し、王都に戻ってきた。

「デイジー。國王陛下に謁見するときに、証言者が必要だというなら、俺たちも一緒に行くからな!」

そういって、マルクが私に彼らが泊まる宿屋の場所をメモして渡してくれた。

「じゃあな!」

北西門から王都にった私たちは、すぐに道を分かった。

私はアリエルとリーフと一緒にアトリエに戻る。

「ただいま!」

「「お帰りなさい!」」

マーカスは、ルックに手伝いをしてもらいながらポーション作りをしていたようで、二人に挨拶をもらった。

「変わりはなかったかしら?」

「アトリエの経営には、何も問題はありませんよ。ああ、ルックが何か言いたそうだ」

クスリと笑って、マーカスがルックの背を押した。

「俺……、いえ、私はフラスコを洗うことができるようになりました!」

「あらすごい。それに、話し方の勉強もしっかりしたのね。偉いわ」

ルックは、いつも自分の呼稱は『俺』だった。

でも、し言いかけたものの、きちんと『私』ということができるようになったようだ。

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私はパン工房の方へと足を運ぶ。

「ミィナ?」

「はい! デイジー様、お帰りなさい!」

「「お帰りなさい!」」

ミィナと、ミィナのお手伝いをしていたらしい魔導人形のピーターとアリスが私を迎えれてくれた。

「変わったことや、困ったことはなかったかしら?」

「ピーターもアリスも気を配ってくれるので、大丈夫でしたよ」

どうやら、パン工房も仲良くやれているらしい。

どちらも特に問題はなく、私が実家や王城へ用事があるから、し空けるかもしれないということを告げると、どちらの工房からも、「大丈夫です!」という頼もしい返事が帰ってきた。

だから、私は、その日に実家に帰ることにして、それを早いうちに実家に早便の手紙で伝えてもらうことにした。

アリエルは、必要があれば呼ぶということにして、ひとまずアトリエにいてもらった。

そうして、私は久々に実家に帰ってきた。お父様の帰宅と合わせたいので、既に日は傾きかけている。

「ただいま帰りました」

「おかえりなさいませ、デイジーお嬢様」

セバスチャンがいつもの笑顔で迎えてくれる。その彼の笑顔は、帰るたびにいつもホッとさせてくれる。

「お父様とお母様にお話があるのよ。夕食もこちらでとらせてもらいたいんだけれど、都合はつくかしら?」

なにせ急な実家訪問だ。

裏方を擔ってくれているみんなには、食材の調節や私の寢室のセッティングなどで負擔をかけるだろう。そう思って、彼に尋ねてみたのだ。

「いえいえ。晝過ぎにはご連絡いただいていたので、間に合わせておきましたよ。我々へのお気遣い、ありがとうございます」

セバスチャンはにっこりと笑って、家の中へ案してくれた。

「お嬢様がいらっしゃるということで、ヘンリー様もローゼリア様もお待ちしておりますよ。ささ、こちらへ」

そうして、私はお父様の執務室へ通されたのだった。

「懐かしいわ」それが、その部屋に足を踏みれての想だった。

実家にいた頃は、よくここで、「ポーションができちゃったの」だとか「マーカスを雇いたい」などと言って、相談事を持ちかけたっけ。

まだまだ実家の離れで錬金師の駆け出しをしていた頃の思い出が蘇ってきた。

そんな慨に耽っていると、お父様とお母様が部屋にやってきた。

「デイジー、久しぶり! 何やら相談事があるんだってね」

「なんだか、小さかった頃のように頼られているみたいで嬉しいわ」

お父様もお母様も、思い出すことは同じだったようで、私は思わず笑みが溢れてしまった。

「……というわけで、賢者の塔の四十五階で赤竜のウーウェンという子に出會い、その上の階にある賢者グエンリール様の産を発見したんです」

正直に言いすぎると、々貴族の子……もとい、自分自が貴族なのに、と窘められるかと思ったけれど、そこは正直に伝えることにした。

賢者のハーブを取りに行って、賢者の塔に上りたくなったこと。

結局はドレイク(赤竜)に阻まれて一時撤退したけれど、再戦しに行ったこと。

その赤竜のウーウェンに再會すると、「グエンリール様の子孫だ」と言われたこと。

そして、グエンリール様の大量の産は全て私(もしくは私の家族)のものらしいということなど。

「全く、の子だというのに、ちょっと自由にさせたらこれだから……」

お父様が私の報告を聞いて、頭を抱えてため息をついた。

お父様からすると、産がどうのというよりも、我が娘の安全の方が心配になったようだ。

「……それにしても、バレちゃったわねえ……」

その橫で、おっとりと呟くのはお母様だった。

「「え?」」

その言葉に、私とお父様が首を捻った。

「あなた。まずは私とあなたの馴れ初めから、この子に真実を話してもいいかしら?」

「あっ、ああ……」

そうしてお母様が語り出した。

お父様とお母様は、賢者の塔近くの森で偶然出會い、に落ちたのだということ。

子爵家という貴族の中でも比較的低い分であったために、國に婚姻の報告までしなくて済んだ。そのために、お母様をお父様の知り合いの男爵家に養にしてもらい、結婚したのだということ。

お母様の家は、遠く系譜を辿れば貴族の出なのだけれど、それはだいぶ前に捨てて、賢者の塔のある近くの森で代々隠遁生活をしていたこと。

最初に森に隠遁したのは、グエンリール様の娘であり、食材などの必要資をグエンリール様に運ぶために付き添ったのだということ。

その荷運びにはウーウェンも協力していたから、彼の存在は伝え聞いて知っているということ。

「ええと、君はそんな偉大な方の子孫だったのかい?」

お父様も知らなかった事実が含まれていたようで、お父様の瞳が驚愕で大きく見開かれる。

「あなた、ごめんなさい。私はあの頃、あなたとのに夢中だったわ。絶対に一緒になりたいと思ったの。けれど、私が賢者グエンリール様の子孫だと他に知られれば、あなたとの結婚もままならなくなると思ったの」

ぎゅっと、隣に座るお父様の服の端をお母様が握りしめる。

「グエンリール様は大賢者とも稱された方。特に國や上位貴族に知られれば、たちまちそのの価値を以って、姻戚に取り込もうとしたかもしれない。でも私はあなたから引き離されるのは絶対に嫌だった。……だから、私の心のうちだけにしまっていたのよ」

お母様は、お父様と、そして私に「隠していてごめんなさい」と頭を下げた。

「グエンリール様の子孫」というのは、お母様由來のもので、そうと告げるウーウェンの言葉は、正しかったことが判明した。

そして、お父様とお母様が、語の王子様とお姫様のように、大の末に結婚したということも。

日々、応援、誤字指摘等、ありがとうございます!

「王都の外れの錬金師」の続刊が正式決定しました!

3巻は冬頃刊行予定です。

勿論、WEB版の更新も継続しますので、引き続きご顧のほど、よろしくお願いいたします!

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