《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》227.従魔契約

國王陛下達との會談のあと、々な調整が整ったと知らせをけて、私はウーウェンを迎えに行くことにした。護衛は、賢者の塔の大量の書の移送作業に攜わっている騎士達がしてくれた。

「ウーウェン、迎えにきたわ!」

騎士達の力を借りて、四十五階までたどり著くと、竜の姿のウーウェンがのそりと起き上がった。

「デイジー様?」

顔を持ち上げた彼の瞳が喜びを湛えている。

「待たせちゃってごめんなさいね。でも、ちゃんとあなたが私と一緒に住めるように、調整してきたわ!」

すると、ウーウェンの大きな瞳が涙で潤んでくる。

「もう、ボクはここで一人で過ごさなくていいんだね!」

そう言ったかと思うと、ウーウェンがぽふんと人型に変化する。

私を護衛していた騎士達は、その様子を間近に見て、目を瞬かせた。

「これは……一見だけではドラゴニュートのにしか見えませんね」

人型になったウーウェンにあるのは、竜種に屬するものだと主張する側頭部のツノだけ。それ以外は、人間ののものと変わりはなかったのである。

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そうして、の姿になったウーウェンが部屋の奧から駆け寄ってくる。

「デイジー様ぁ!」

が私の首周りに腕を絡めて抱きつく。

それを見ていた騎士達は、驚きとともに、なんだか子供に対して「仕方がないなあ」といった表が混じる。

「竜だというから構えてきましたが、心は人間のと変わりませんね」

無邪気に抱きついて泣いているウーウェンを見るみんなの目は、とても溫かだった。

結局、私はウーウェンと一緒に一足先に王都へ戻ることになった。

そうそう。本は國に寄贈という形になったけれど、錬金産についてのその後の取り扱いについて話してなかったわね。

錬金産、アランビックといった古い錬金も、貴重な産だという陛下の判斷が下って、皆さんで検討してくださった結果、國民學校の錬金科の展示資料として展示、保管されることになった。

そういうものが過去にあったのだということ。

そしてそれは、古の錬金師達が自分達で創意工夫して作ったのだということを知ることができれば、そういうことも技の躍進に必要なことなのだと、學ぶことができるだろう。

実際に目で見てれる環境は、これから錬金師になろうという學生達のためになるだろうというのが、陛下や宰相閣下、ホーエンハイム子爵の判斷だった。

もちろん、私もそれに賛同している。

「ではデイジー様。こちらの塔の産については、陛下のご命令のとおりに王都へ順次運びます。デイジー様は、その竜を連れて戻れとのご命令。どうぞ、ここは我らに任せてお帰りください」

騎士はそう言って、ウーウェンに抱きつかれたままの私に向かって一禮した。

「さすがに竜が護衛だったら、デイジーの護衛は他にはいるまい」

國王陛下のご判斷だった。

それは私も正しいと思う。

だって、ウーウェンが本気になれば、どんな敵もドラゴンブレスでごうっとできてしまうのだから。

「ああ、そうだ、ウーウェン。あなたを王都に迎えるには、一つ條件があるのよ」

そう言って抱きついているウーウェンを優しく引き剝がすと、至近距離の彼が首を傾げた。

「條件?」

うん。前回お別れしたときには、そんな話はしていなかったから、疑問に思うわよね。

「あなたを疑うわけではないの。けれど、あなたはとても強いわ。だから、私に服従しますという証に、従魔契約をすることが條件なの。れてくれるかしら?」

私はテイマーという、スキルとして魔獣を従える力は持っていない。だから、宰相閣下が特別に調達してくれた、従魔契約のための魔道を持ってきているのだ。

そうは言っても、従魔契約は互いの了解がなければり立たない。

だから、私は彼に問うたのだ。

私はポシェットからその金る魔道を取り出して、手のひらに載せてウーウェンに見せる。

「私は、あなたがも(・)し(・)王都に害をなすようなことをしそうになったら、それを戒めるためぐらいにしかこの力を使う気はないわ。そうは言っても、契約してしまうと、自由は減ってしまうから……」

今持っている完全な自由と引き換えなのだということを、優しくウーウェンに説明しようとした。

けれど、その言葉は、ウーウェンの明るい聲に上書きされる。

「大丈夫! デイジー様はグエンリール様の志を継ぐ方! だったら契約でもなんでもするよ! デイジー様がダメって言うことは絶対にしないと誓う!」

そう言うと、私の手のひらに乗っている魔道をぎゅっと両手で握りしめた。

「デイジー様、契約してよ! そして、ボクをれて!」

そうして見上げてくるウーウェンの瞳は、期待でキラキラしている。

「私も責任重大ね。ウーウェン。あなたに無なことはしないと誓うわ」

ウーウェンの言葉と私の言葉が部屋に響くと、魔道から黃金が溢れ出して、私とウーウェンの額にそれぞれが照らされた。

次にそのは、私とウーウェンの額の間で線を描いて繋がる。

頭の中に、荘厳な聲が響いた。

『あなたは、赤竜ウーウェンを従魔としてれますか?』

「はい」

私は、それをんだ。

そして、目の前のウーウェンも「はい」と答えていた。

私たちの間を繋ぐは強さを増し、まるでそのつながりが揺るぎないものであると言うかのように、強く強く輝き続けた。

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