《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》228.ウーウェンの変化

私とウーウェンの間を繋ぐ金が収まると、ウーウェンの額には金の従魔の印が刻まれた。

リーフが首から下げている従魔の証のプレートと同じデザインだ。

一括りに従魔といっても、その証の刻み方は々あるようだ。

「私と同じですね。もうこれで大丈夫でしょう」

私とともに賢者の塔へやってきたリーフが、満足そうに頷いた。

「私はリーフ。緑の霊王様から使わされたデイジー様の守護者です。これから協力して一緒にデイジー様を守っていきましょう」

一歩リーフがウーウェンの方へ歩み寄った。

「うん! ボクは赤竜のウーウェン! 育ててくださったグエンリール様の恩義に報いれるよう、その子孫のデイジー様を守ると誓うよ!」

「よろしくね、二人とも」

私は、私を守ると固く誓い合ってくれる二人の気持ちに嬉しくなって、二人に笑いかけたのだった。

「さてと。契約が済んだら、デイジー様は帰ってもいいんでしたよね」

リーフが私に問いかけてきた。

「そうね。私は行きと同じようにリーフに乗せてもらって走るとして、ウーウェンは翼があるから飛べるのかしら?」

一応、竜といえば空を飛ぶものよね、という認識があったので、ウーウェンに確かめてみた。

「もっちろん! それにボクは自由自在に姿を調節できるんだよ!」

そう言って、ぽふんと人型から小さな……というか、子供の竜のような姿に変化する。

「これは、一番ちっさいやつね!」

お腹がぷっくりとした子竜姿のウーウェンは、背中に生えた小さな翼でパタパタと宙に浮く。

……なんかこのシルエット見たことあるわね。

私は、思わずその可らしい姿をじっと見た。

……あ! ミィナのまたたびりぬいぐるみじゃない!

かつての冒険で手にれたまたたび、それをしいと願ったミィナが作った、またたびを納めるためのぬいぐるみだ。

「いつかレッドドラゴン(赤竜のことね)に乗って空を飛んでみたい」というのが、おとなしい彼にしては意外な夢だった。

ミィナは今でもあのぬいぐるみを抱いて眠っているらしい。

「ミィナが喜びそうだわ」

私は思わずウーウェンのらしい子竜姿を見て、ミィナを思い出して小さく呟くのだった。

そうしてし私が惚けていると、子竜姿のウーウェンがパタパタと翼をはためかせながら私の目前にやってきた。

「ちょっと、デイジー様。ボクの変化はこれだけじゃないんだから!」

子竜がぷうっと頬を膨らませていた。

……ちょ、可いんだけど……!

膨れっ面をしているウーウェンには悪いのだけれど、思わずぷっと吹き出しそうになって、両手で口を押さえた。

「ボクは竜だからね。本來は大きな竜の姿が生來の姿なんだ」

それはそうね。

最初にここ、賢者の塔で出會ったときは、大きな赤竜の姿だった。

「何を言いたいんだ、ウーウェン」

リーフがむくれているウーウェンに問いかけた。

「何って。走って帰るとか言っていたけど、そんな必要はないんだよ!」

ウーウェンが小さな翼を広げて、えっへんとばかりにを張る。

その姿を見た私とリーフは、どういうことかと顔を見合わせた。

「ボクの背中に乗って、飛んでいけばいいんだ! あっという間だよ!」

その提案を聞いて、思わずリーフと再び顔を見合わせる。

そうか! そうよね!

空を飛んで帰ればいいんだわ!

私たちは、ウーウェンに乗って帰ろうということに決めて、地上へと下りるのだった。

もとの赤竜の姿のウーウェンが、ばさりと大きな翼を羽ばたかせる。すると、私とリーフを乗せたそのが徐々に浮き上がっていく。

塔の橫の地面が、どんどん遠ざかっていく。

あんなに上階へ登るのに歩いた塔の窓が、流れるように視界から流れて去っていく。

「うわあ、すごいわ!」

ウーウェンの背の上に伏せているリーフの隣に並んで座って、私は彼にしがみつく。

「しっかり摑まっててね!」

やがて、賢者の塔のてっぺんかという高さにまで浮き上がると、ウーウェンは、一際大きく翼を羽ばたかせた。すると、ウーウェンのがぐんっと前に進み出す。

「いっくよー!」

ウーウェンのその聲とともに、馬なんかの旅とは比較にならない速さで飛び立ったのだ。

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